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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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調和の魔王

~前回のあらすじ~

敵の正体が、水の精霊っぽいと知った。

「ちょっと待て、水の精霊が犯人って、精霊は神子がいなければ何もできないんじゃなかったのか? こいつみたいに」


 俺は、風の精霊ルフラが眠っている風の宝玉を持ち上げてそう尋ねた。

 精霊は単体では力を発揮できない。アクアマリンの言っていることが事実だとするのなら、彼女に代わる、そう、レイシアに対してのクリスみたいな別の神子が必要になるのではないだろうか?


「代替えの神子を作ったということでしょうね」


 マユが頷くように言った。


「代替えの神子を作った? ……ってあれ? マユ、いつの間にここに? 魔王城に帰ったんじゃなかったのか?」

「ずっといましたよ……それこそ、コーマ様がこの部屋に入ったときも一緒に入ってきました」

「なんと、俺に気配を悟られずについて来るとは――腕を上げたな、マユよ」

「上げてもいない腕を褒めないでください」


 まぁ、本当はいたのは知っていたんだけど、何しろ全く会話に参加してこなかったからな。

 知ってはいたけど、本気で忘れてはいた。


「代替えの神子って、アクアマリンを作ったってことか? さっきみたいに」

「いいえ、恐らくはもっと上の分身体を作ったのでしょう。それにアクアマリン様は心当たりがあるんじゃないですか?」


 その問いに、アクアマリンは静かに頷いた。


「魔王――という存在をコーマ様は御存知でしょうか?」


 その問いに、俺は息を呑んだ。


「魔王といっても、物語などに出てくる架空の存在ではありませんし、御存知ないのも無理はないかもしれません。魔王の多くはこの大陸ではなく、東の大陸に存在する者であり、そしてほとんどすべての方々はその存在すら知らずに生きています」


 その言葉に、俺は少し安堵した。俺とマユが魔王であることは気付かれてはいないようだ。まぁ、今更気付かれたとしても、本当は問題ない気がするんだが。


「私は東の大陸で、一人の魔王に出会いました。これもほとんどの人が知りません。その魔王の名前はアルモニー。調和の魔王と呼ばれていたそうです」


 その名前に、俺のコメカミが僅かに震えたのを感じた。どこかでその名前は聞いた覚えがある。いったいどこでその名前を聞いたのか? それが全く思い出せない。


「もっとも、その魔王は既に滅びました。多大な犠牲を払って――ですが」


 淡々とアクアマリンが説明を続ける中も俺はその名前をどこで聞いたのか思い出そうと必死だった。

 魔王というのなら、その話は魔王の関係者からしか聞いていないだろう。

 大魔王ルシファーの娘、ルシルとその部下であったメディナ。

 蒼の迷宮の魔王、マユ。

 現ギルドマスターのユーリ――いや、ルル。

 最強の魔王ベリアル。

 マリオネットの魔王マネット。

 巨木の魔王エントと、エントを復活させたドリアードの魔王、ドリー。


 しかし、今挙げた誰からもアルモニーの名を聞いた覚えがない。

 いや、待て――エントとドリーまで思い出したところで、ひとり、もう一人、謎の人物を思い出した。

 ベリアルにグリューエルと呼ばれていたあの少年――あの謎の少年から聞いたんだ。


『それにしてもアルモニーは……いや、そうか……なら仕方ないか』


 そう少年は言った。彼が言ったアルモニーと、今話題に上がったアルモニーが同一人物である確証はない。だが、恐らくは同一人物なのだろう。

 あの時――グリューエルはアルモニーという魔王に起こった異変――アルモニーの死に気付いていたということか。


「私はその魔王の体の一部を持ち帰りました。ディーネはその研究をしていました。研究をしている間は、私が力を渡し、彼女の姿を顕現化させていました。私は他の神子よりも力があったから、それが可能だったんです。そして、ある日――いつものように彼女が研究をしている時、私は誰かに襲われ、気が付けばあの地下に閉じ込められていました」

「つまり――ディーネはそのアルモニーの力を手に入れ、お前を裏切ったということか?」

「それはっ! ――違うと……思いたいです。ずっと考えていました。それ以外の可能性を。でも、あの時、私の分身を見たとき、それしか――」

「……はぁ、つまりは神子以上の魔王の力を持った精霊が相手ってわけか……予想の数百倍厄介だな」


 でも、関わらないわけにはいかない。

 なぜなら、今、その存在のわからない水の宝玉もまた俺が集めなくてはいけない72財宝なのだから。


 これはルシルの力を借りる必要があるな――と思ったその時だった。


「火急の用により失礼します!」


 近衛兵の男がノックもせずに入ってきた。


「ウィンドポーンの兵がアクアポリスに向けて出陣したとの報告が入りました」

「…………っ! 敵の数はどの程度ですか?」

「ウィンドポーン兵、その数約20万――規模から察するに、全軍だと予想されます」


 その報告に、アクアマリンの顏が青くなる。

 ……全軍出撃って、ゲーム以外でする奴がいるんだとはじめて知った。

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