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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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スライムの神

~前回のあらすじ~

どうもきな臭い雰囲気が――

 グルースとアクアマリンの説明で、俺達は誰にも見つからない場所から外に出ることにした。

 このアクアタウンは封鎖された町ではあるが、町の中の水の浄化システムを利用するために複数の出口が用意されている。ただし、一カ所は見張りの兵がいるため、そこは使えないということで、もう一カ所の場所を使うことに。

 マユと合流し、その場所に行き、俺は嘆息をもらした。

 これ、どうしたらいいんだ?

 その道は、スライムで溢れていた。というか、スライムに満ちていたといったほうがいいか。


「湿度の高い場所にはスライムが発生しやすいんです。それで、スライムが下手に詰まって浄水システムが壊れないように、スライムをこの一角に集めているんです。この先にはスライムの好む花の匂いを放つ植物園があり、光を取り入れるために外に通じる穴があります」


 さすがは神子様、よく知っているな。

 さて、スライムを全部倒すか……そう思った時、マユが一歩前に出た。すると、スライムはぷるぷると動き、通路から出て来て俺達に道を開いてくれた。


「これでいけますね、コーマ様」

「マユ、いったい何をしたんだ?」

「私は何もしていません。したのはこのウォータースライムです」


 と、マユは自分が被っているウォータースライムを優しく触って言った。


「この子、スライムとしてはかなり強い力があるようで、この子がみんなに言ったんです。『ここにおわすは我等スライムの神であり創造主であるコーマ様だ。皆、このお方に敬礼し、道を開けるのだ』と」

「本当にそんなことを言ったのか? というか、スライムの神になんてなった覚えはないんだが」

「創造主であることは否定しないんですね」


 それは半分当たっている。

 実際、このウォータースライムを作ったのも俺だし、魔王軍の数万ものスライムも元々は俺の迷宮の瘴気から生まれた――スライムの創造主であるのは間違いではない。


「凄いんですね、コーマさんって」

「本当に凄いです」


 クリスは笑いながら言って、アクアマリンは心酔するように言った。

 どちらもカンベンしてくれ。


「今の話が本当だとするのなら、スライムに一定以上の知性があることになる。魔物学の新たな一ページになるな」


 グルースは研究者目線でそんなことを呟くように言っていた。

 スライムに知能があるのは、俺としてはカリーヌを相手にしているからよくわかっていることだが。

 ともかく、道が開けた。

 真っ直ぐ進むと――そこは花畑だった。四枚の赤い花弁がある、まるでラフレシアのような花がいくつか生えていた。

 これがスライムの好きな花なのか。良く見ると、スライムはその花の花弁の真ん中でくつろいでいる。

 どんな花なんだろうかと思って、鑑定したみた。


……………………………………………………

食スラ花【素材】 レア:★★★


スライムを好んで食べる大きな花。

スライムが好む匂いを出し、獲物をおびき寄せる。

……………………………………………………


 普通の花じゃないと思ったら、まさかの食虫植物のスライム版だった。


「マユ、ウォータースライム経由でスライムたちにあの花に近付かないように言ってくれ。食われるぞ」

「皆、食べられるのはわかっていて食べられているようです。食べられると花の香りが増し、他の皆が喜ぶからわざと食べられているようです」

「……スライムの価値観って凄いな」


 とりあえず、スライムたちには悪い(?)が、花をいくつか摘み取ってアイテムバッグの中に入れた。

 これからもいくつか作れるアイテムがあるからな。

 花に日差しが当たるように、天井に大きな穴がある。自然にできた穴のようだ。


「跳んで外に出るには、穴は狭いな。ということで、クリス! GO! 穴の上にいったらロープを落としてくれ」

「なんで私なんですか! 頭ぶつけちゃいますよ! ちょっと痛いです」


 普通の人間が天井に思いっきり頭をぶつけたら、ちょっと痛いで済むわけがないのだが、まぁ、そこは俺とクリスの体が丈夫すぎるから仕方がない。


「コーマさんが跳んだらいいじゃないですか」

「いやいや、ここはレディーファーストで」

「こういう時は男のひとが道を切り開くものでしょ」

「道を切り開くのはいつだって勇者の役目だろうが」


 俺が言い争っていた、その時。

 部屋中のスライムが動いた。

 すると、スライムが形造り、階段の姿になる。


「コーマ様、ここを登っていいそうです。神様の役に立てるのなら光栄だと言っています」

「へぇ、スライムの奴ら、クリスより役に立つじゃないか」


 俺がスライムの階段の上にのる。

 足が沈んで登りにくそうだな――と思ったら、その足のスライムが動き出し、自動的に上へ、上へと登っていく

 まさかのスライムエスカレーターだ。


 俺、クリス、アクアマリン、グルース、マユの順番でスライムエスカレーターに乗り、穴から外に出た。

 そして、俺は山の中腹に出た。そこから見えたのは――水の都、アクアポリスだった。

 水に浮かぶ島がいくつもあり、一番大きな島に神殿のような場所がある。

 あれがアクアポリスなのか。


「コーマ様、大変です!」


 最後に地上に上がってきたマユが驚くように言った。


「スライムたちが、神様についていくと言って――」


 マユがそう言った直後、俺達が出てきた穴からスライムの群れが溢れだした。

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