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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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アクアタウンの散策

~前回のあらすじ~

激流をマユと上がった。

 水面が見えてきた。

 あの光は――太陽の光なのだろうか? いや、太陽にしては、淡い光だ。


「ここは……一体?」


 水面からあがった俺が見たのは遺跡のような場所だった。

 なんだろうな。ゲームのなかでは一度は絶対に登場する地下下水道みたいな場所に思えるが、下水道にしては水が綺麗すぎる。

 とすれば、逆か?

 これは上水道なのか?


「……地下の町ですか……街としての機能は生きているみたいですね」


 水の中からマユが声をかけてきた。

 マユの言う通り、この遺跡の機能は生きているようだな。

 地下街を照らすように建てられた街灯の光は生きている。

 でも、この光――魔石による魔力灯の光だよな? 魔石はどこから補給されているということは、誰かが管理していることになる。それにしては人の気配はまるでない。

 マユが水の中からあがってくる。

 二本の足が生える。靴と靴下は履いていない。


「……クリスのやつ、余計なことを言いやがって」


 気になってしまうな。つまり、マユが今、パンツを履いているかどうかが。

 でも、あまり気にしたらダメだ。うん、気にしたらダメだ。

 俺はアイテムバッグの中に入れていたウォータースライムをマユに渡した。

 このウォータースライムは、天然のスライムではなく、スライムの核と水とで作った魔法生物なので、アイテムバッグの中にも入れることができる。


「コーマ様、変なことを考えていますか?」


 ウォータースライムを頭からかぶったマユがじと目で俺を見て来た。


「な、なんでそのことを!? さては、マユ! 友好の指輪を使って俺の心を――」

「いえ、その顔を見たらわかります」


 だよねー、わかるよねー。

 でも、悪いのは全部クリスだ。そのクリスはというと、何か古い家のような場所の前の石碑を見ている。


「クリス、何かわかったのか?」

「すみません、古い文字なので――」


 クリスが残念そうに言う。

 古い文字だから読めないか。

 どれどれ――


「えっと、『水の都アクアタウンへようこそ』って書いているな。その後は街の観光名所の方角と距離が書かれている」

「コーマさん、読めるんですか?」

「あぁ、この世界に来たときに、ルシルに翻訳魔法ってのをかけられてな。ある程度の文字なら読むことができる。全部じゃないらしいんだが、この文字は読めるらしいな。ところでアクアタウンって?」

「アクアポリスの旧都市ですね。もともとは水とともに生きる町というコンセプトのもと設計されたんですが、どこかの悪い人が水の中に毒を流して、市民の七割の人が死ぬ事件が起きて、新たな都市――アクアポリスをこのアクアタウンの上に建設したそうです」

「……クリス、詳しいんだな」

「だから、学校の教科書に書いているじゃないですか。コーマさん、学校の校長なら教科書を一通り読んだ方がいいですよ」

「いいんだよ。そうだ、クリス、お前が校長を――いや、クリスはないな、うん。やっぱり委員長が育つのを待つしかないか」


 普段から仕事をサボっている俺もさすがにそこまで無責任にはなれない。

 風車の村の村長の言う通り、アクアポリスに来ることができたわけだ。

 どこから地上に上がればいいのかわからないが、でもまぁ、管理している人間がいるということは、普通に上がれる場所があるんだろうな。

 しばらく歩いてみるか。


「無人の町ってなんとなく怖いですよね」 


 言われたら、確かに幽霊でも出そうな雰囲気だよな。

 そう思うと、何者かの気配を感じる。ひしひしと。

 まさか、魔物がいるのか?


「……音が聞こえました。コーマさん、気付きましたか?」


 横でクリスが炎の剣を抜いたので、俺は無言で頷いた。

 俺は音は聞こえなかったが、誰かがいるのは間違いないようだ。


「マユはそこで待っていてくれ――」


 俺もまた、エクスカリバーをアイテムバッグから取り出し、それを構えた。

 ゆっくり歩いていく。

 気配は町の隅にある――地下への階段の奥から聞こえてきた。


 俺とクリスは頷きあい、階段を下りていく。

 光が漏れている。階段を下りた先は、牢屋だった。

 気配は牢屋の中から出ているようだ。

 もしかしたら、罪人を囚えておく場所としては現在も使われているのだろうか?

 だが、気配はひとつだけ。看守もいない。ただの牢屋としてもおかしい。

 俺がゆっくり歩いていくと――そこにいたのは――ひとりの青色の髪の美女だった。二十歳代の女性が、青いドレスを着て鉄格子の向こう側のベッドの上で眠っていた。

 美女なのは間違いないが、ドレスもその肌もひどく汚れていて、正直、ここでも匂いが伝わってくる。


「……食事の時間ですか?」


 彼女はベッドから起き上がった。

 そして、俺は彼女を見て気付いた。

 彼女は――見えていないんだ。目が。

 診察スキルで見たら、蟲毒とある。かつて、アンちゃんが患い、失明した病気だ。


「食事の時間じゃない……ひとつ聞きたい。あんたは何者だ? なんでこんなところに囚われている?」

「……!? まさか――外の方ですか!? 申し遅れました。私の名前はアクアマリン。かつて、水の神子と呼ばれていたものです」


 その言葉に、俺とクリスは顔を見合わせ、


「「えぇぇぇぇぇぇえっ!?」」


 思わずそう叫んでいた。

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