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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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宴からの出立は突然に

~前回のあらすじ~

村の水が復活した。

 その日、風車の村では宴が行われた。村人たちは少ない蓄えを持ちだし、俺達を歓待しようとしてくれたのだ。その気持ちは非常にありがたいのだが、さすがに心苦しい。

 ということで、食材は俺が提供し、それらを村人の御婦人方に調理してもらった。

 こちらからの食材の提供に向こうは申し訳なさそうにしていたが、「今度この村に来たときに新鮮な野菜を食べさせてください。今後、俺が提供するもの以上の野菜や作物ができることを祈ってます」と言ったら納得してくれた。

 そして、夜になっても宴は続いた。

 キャンプファイヤーみたいな組み木が燃え、火の粉が空へと舞っていく。さらに空を見上げると、雲が流れていた。

 だが、風車は回らない。俺が用意したスクリュー風車以外の風車が――いや、回ってはいるんだ。微かにだが、動いている。だが力が足りない。


「コーマしゃん、飲んでますかぁ?」


 クリスが酔っぱらって俺に絡んできた。手にはグラスを持っていて、完全に酔っぱらっている。


「クリス、お前、そんな悪酔いするタイプだったか?」


 前にスーとシーと四人で飲んだ時はそれほど酔いつぶれていなかったと思うが。

 ……アルコール度数の違いか?

 こいつが普段飲むワインはアルコール度数は高くても14度程度だが、俺が米から作った酒――いわゆる日本酒はアルコール度数が20度もある。

 村人達は水で割って飲んでいた。まるで水が再び湧き出たことを喜ぶように。だが、クリスの奴はそのまま飲んでいる。そりゃ酔いがまわるのも早いな。

 最初から水を足しておけばよかった。日本で市販品の日本酒が加水して売られる理由がよくわかる。


「コーマ殿、ありがとうございます。このような宴を開いてくださって」


 そう言ってこの村の村長の婆さんが現れた。昼間は孔雀のような派手な格好をしていたのに、今は真っ赤なドレスを着ている。酒を飲んでいないのに俺も気分が悪くなってきた。


「なぁ、村長さん。少し話を聞きたいんだが、村長さんは神子様に会ったことがあるか?」

「ウィンディア様のことだな。もちろん、会ったことあるよ。ウィンディア様は子供の頃からよく神殿を抜け出しては馬に乗ってこの村まで遊びに来てね。大人になってからも年に二度は遊びに来たものだよ。それが、戦争が起こってからは一度も……。ふぅ、平和を愛するはずの神子様が、いったいなんで戦争なんて起こしたのかね」


 村長はため息をついて、首を横に振った。


「洗脳、されている可能性が高いか。なぁ、村長さん、俺はその神子様を元に戻したいと思っている。何か神子様に近付くいい方法はないか?」

「神子様の洗脳を解く……コーマ殿。本気で言っているのなら、ウィンディア様相手ではなく――」


 村長が何かを言いかけた、その時。

 

「村長、大変です! 軍が村を包囲するために進軍しています。手配中の旅人ふたりがこの村に潜伏している可能性があると言って――」


 村人達の視線がこちらに集まる。俺と、酔いつぶれたクリスに。


「きっと、俺とクリスのことだろうな。国境を越える時、ちょっと無茶をしちまって。悪いが、村長さん、俺達は逃げさせてもらう」

「待ってください、コーマ殿! ウィンディア様を洗脳できる者がいるとすれば、それは同じ神子の力を持つ方――水の神子アクアマリン様しかいらっしゃいないはず! アクアマリン様の住む泉には、この村の地下を流れる川から直接行くことができる」

「え? それはつまり――」


 ……俺は酔いつぶれて眠っているクリスを見て、ほくそ笑んだ。

 つまりそういうことだよな。


「ありがとう、村長! また来るからな!」


 俺はそう言うとクリスを担ぎ上げ村の中央に向かう。

 ここで兵を蹴散らして、いや、一戦交えずに逃げることは容易だが、俺がここにいた証拠を残したら、村人が何らかの咎を受けるのは目に見えている。


「さて、いってみよう!」


 井戸の中へと飛び降りた。

 え? 考え無しすぎるって?

 いざとなったら持ち運び転移陣で魔王城に戻ったらいいんだよ!


 大切なのは、勢いだ!

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