風車を改造せよ
作業にとりかかった。まず、取り出すアイテムはこれだ。
……………………………………………………
魔動スクリュー【魔道具】 レア:★★★
船にとりつけ、回転して船を加速させる推進装置。
じっと見ていると船酔いも加速します。燃料は魔石。
……………………………………………………
茶色いスクリューを取り出す。
船に取り付けると進む。以前、これと同じものを用意し、浮島を動かして一角鯨と戦ったことがある。
「懐かしいですね。でも、これ、船を動かす道具ですよね? 何に使うんですか?」
「普通に風車の羽根の代わりにこれを取り付けるんだよ」
最初は、スクリューを扇風機代わりにして、その風で風車を回せばいいんじゃないか? とかバカなことを考えたが、普通に風車の代わりにしたほうが効果的だ。
そのまま取り付けるのではなく、微調整が必要だが、俺は細工のスキルも持っている。金鎚さえあれば簡単な調整などお手の物だ。
実際作業は微調整を三度繰り返しただけで終わり、風車の代わりにスクリューを取り付けることができた。
作業をしているうちに、村人達が集まってきた。
今では五十人の村人に囲まれて、
「しかし、よろしいのですか? 魔石といえば東の大陸のラビスシティーでしか取れない貴重な石。それをこんなにいただいても」
「あぁ、気にしなくていいよ。腐るほどあるから」
本当に腐るほどある。前はクリスと暇さえあれば迷宮に潜っていたしな。いろいろとアイテムを作っているが、まだまだ残っているからな。このスクリューを三十年動かすくらいの魔石を提供したが、それでも俺の持っている魔石の一パ―セントにも満たない。明らかに密輸だが、まぁ、ユーリの弱味を握っているからな、レメリカさんにばれなければ平気だ。
それよりも、ここまで人を集めてしまって、失敗しないよな? 今更失敗しました! なんてなったら恥ずかしすぎるよな。
いや、大丈夫だ。ロープもこれまでの麻の縄から、カーボン製の丈夫な縄に換えたし、水質検査もした。うん、問題ない。絶対に。
なにしろ、俺はアイテムマスターだからな。
燃料庫に魔石を入れ、スイッチを入れた。
スクリューがゆっくりと回転をはじめ、だんだんとその速度をあげていく。
そして、それに連動して、縄が巻かれ、空の桶が上がってくる。
そして、何個目かの桶になったとき、中に水が入っていた。
桶はてっぺんまでくると大きく傾き、水が桶から零れ、その下にある石製の窪みに入っていき、風車小屋の外に流れていく。おそらく、これが水道の役目を果たしていて、村中に広がっていくのだろう。
「水が、水が流れていく」
「助かった! 村が助かったぞ!」
「救世主様だ!」
村人達は水が出てきたことに歓喜し、俺に頭を下げた。
「あぁ、そういうのはいいから。ほら、はやく畑に急げって。枯れかけている畑も水があれば蘇るかもしれないだろ?」
「そうでした、ありがとうございます」
そう言って、村人たちは足早に去っていく。それにしても、村人の男はほとんどが五十歳以上だったな。爺さんと婆さんのほうが多い。少子高齢化の波がこんな村まで来ているのか。
ってそんなわけないか。
「若い男はみんな、兵として連れていかれた。前までは兵農分離――専業の兵しかいなかったものなんだがねぇ。神子様が豹変なさり、風が止まり、男は連れていかれた」
「風が止んだのは、神子様が変わったのと同時期なのか?」
「うむ、そうなる。本来、このあたりは精霊様の力により風が止むことなどなかったはずなのにね」
神子が豹変し、戦争が起こって、風が止んだ?
もしかして、精霊に何かがあったのか?
だとすれば、その精霊が宿っているはずの風の宝玉も。
きな臭くなってきたな。
「コーマさん、私も畑仕事手伝ってきますね!」
クリスはそう言って、何も考えずに走って行った。
全く、あいつは勇者なのか何でも屋なのかどっちかはっきりしろよ。
いや、俺も魔王なのか校長なのか鍛冶師なのかはっきりしないといけないな。




