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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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ウィンドポーンの大地

~前回のあらすじ~

クリスとともにウィンドポーンに侵入することにした。

 遠くに国境砦が見えてきた。

 国境砦の向こうには緩衝地帯となっている草原があり、その向こう側にはウィンドポーン側の国境砦があるらしい。


「さて、どこから入ったらいいんだろうか」

「ふふふ、コーマさん、お忘れですか?」


 いつにもなく自信満々にクリスは言った。


「私は勇者なんですよ! 勇者特権があれば、国境を超えるなど、赤子の手を捻るよりも簡単です!」

「ほぉ……つまり、クリスは赤ちゃんの手を捻ることができるのか?」

「そんなかわいそうなことできるわけないじゃないですか!」


 クリスが叫ぶ。というか、本当にこいつは大馬鹿だ。


「いいか? 今、ウィンドポーンは戦争状態なんだ。かつてフレアランドとは同盟関係にあったとはいえ、現在、アークラーン、フレアランド、アースチャイルド、ダークシルドの四カ国間で同盟が結ばれている今、フレアランドは倒すべき敵なんだ。そして、クリス。お前はフレアランドの中でも一応は重要人物なんだぞ」

「え? 私が重要人物なんですか?」


 こいつ……自覚がないのか?


「当たり前だ。お前はフレアランドで一番の富豪の娘なんだ。本質は借金まみれの貧乏会社だが。あと、レイシアの友達で勇者。そこまで情報が揃っていたらもうクリスの似顔絵が出回っていてもおかしくない。それと、俺も危ないな」


 アークラーンの校長であり、四カ国同盟の影の立役者でもある。その情報がどこまでまわっているかは不明だが、正面から堂々と乗り込むのは危険だろうな。普通に考えれば。


「ならば、どうするんですか?」

「あぁ、だから、正々堂々と乗り込む」


 俺はそう言い切った。


   ※※※


「止まれっ! 止まれ、止まれ、止まってくれ!」


 止まれと言われて止まるバカはいない。真正のバカ(クリス)にも止まれと言われて止まらないようにしっかり言っているからな。

 俺達の姿は目出し防と黒いシャツという、これから銀行強盗に行く者みたいだ。これで包丁か拳銃を持っていれば完璧だな。

 目の前に現れたのはウィンドポーンの兵50人。

 そいつらを相手に、俺達はただ走っていた。

 剣がこようが槍がこようが矢が放たれようが関係ない。

 俺が剣や槍、矢の攻撃を全て躱し、クリスの銅の剣が全ての攻撃を受け流す。


「なんだ、なんなんだあいつら! このままだと砦が――まさか、アークラーンの秘密兵器か!? このままだと砦が――っ!」


 砦の上で錯乱して大声で叫んでいるのが敵の隊長か。


「跳ぶぞ」


 俺が言うと、クリスが無言で頷き、大きく上へと飛ぶ。

 俺達が跳びあがったのを見計らって敵の弓矢部隊から無数の矢が放たれるが、俺にはその矢が止まって見える。それらを全て掴んだ。クリスも全て剣で弾く。


 そして、俺達は、ウィンドポーンの国境砦の頂――つまり敵の隊長の横に降りたった。


「ぐっ、我こそはウィンドポーン第十七部隊隊長、シッケン・イナゴクエ! 正々堂々――って、待て! 貴様らどこに行く!」


 偉そうに名乗りをあげている隊長は無視だ無視。

 俺達は無視して砦を飛び降り、ウィンドポーンの領内に入った。


   ※※※


 追っ手がきていないことを確認し、目出し帽を外した。

 俺達はこうして無事にウィンドポーンにたどり着いた。

 横でクリスが文句を言っている「無茶しすぎです」だの「これじゃ勇者じゃなくて悪人じゃないですか!」だの言っているが、そのほとんどが俺の耳に届かない。

 なぜなら、俺はその景色に圧倒されていたから。


「これは凄いな……」


 国境を越えると別世界、なんていうのはよくある話だが、ここまで予想外の光景に俺は感動した。

 目の前に広がるのは、巨大な谷だった。グランドキャニオンが草原になっているといった感じだ。


「ウィンドポーンの領内は七割がこのような渓谷なんです。竜の爪痕といって、これらの谷は巨大な竜が残した傷跡と言われていますが、本当の原因は多くの学者の知識をもってしてもわかっていません。ちなみに、竜の爪痕のほとんどは、実は海抜0メートル地帯なんですよ」


 つまり、これらの谷がどこかの海と繋がれば、この谷は海に沈むということか。


「年に一度、北のヒヨイグア湖の水が溢れ、肥沃な栄養を含んだ水が流れ込みます。なので太陽があまり差し込まない谷の底でも牧畜や農業は結構盛んなんですが、そのせいで一年のうち三か月間は谷の中に入れず、またそこに定住することもできないんです」

「……へぇ、クリスのくせに物知りだな」

「くせには余計です。それに、この程度のこと、コーマさんの作った学校の図書室の本にも書いてあることですよ。調べてこなかったんですか?」

「事前に調べたら、こういう新鮮な驚きがなくなるからな」

「はぁ……そうですか」

「それに、何かあったら困るからクリスを連れて来たんだよ」


 俺がクリスに言うと、このバカは何か勘違いしたのか、


「こ……コーマさんに頼られるのは悪くないですね。えへへ」


 と気持ち悪い笑みを浮かべていた。

 俺は、何か困ったことがあれば、とりあえずクリスを人身御供として差し出してそのうちに一人で逃げるために連れて来た、と言おうとしたのにな。


「あ、見てください、コーマさん。あそこで豚さんが飼育されていますよ。やっほぉー」


 あぁ、本当だ。

 汚い豚が土を掘って泥だらけになっているな。

 養豚場なんだろうか? そう思って見下ろしたら、


「ん?」


 豚の世話をしている男と目があった。

 ……あれ? あいつ、どこかで見たような気がするんだが。

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