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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra01 短編集

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思い出の写真

「コーマ、何してるの?」

 俺が何かをしていると現れるルシルを肩越しに見ながら、俺は畳の上に座り、それらを眺めていた。

「ちょっと、思い出を……な」

 俺の前に並べてあったのは、スマートフォンと予備の電池。クーラボックス。耐水性のある青いジャージ。他にも釣り竿やルアーといった釣りの道具、リュックサック。

 それは、俺がこの世界に召喚されたときに一緒に持ってきたものだ。

 元魔王城が崩壊した時も、当時倉庫として使われていたこの場所に運ばれていたため無事に残っていた。

 それらを見ていた俺の横に立ったルシルが、申し訳なさそうな顔になる。そんなルシルを見上げ、俺はルシルのツインテールを引っ張った。

「ひゃっ! 何するのよ!」

 突然のことに驚き、ルシルが悲鳴を上げて怒る。

「お前が変な顔をしていたからだよ。懐かしいとは思うが、別に日本に戻りたいとかそんなんじゃないよ。ただ、懐かしくなって出しただけだ。スマートフォンももう予備の電池もバッテリーが切れてるしな」

 むしろ、よく琵琶湖で溺れたときに壊れなかったなと感心していたほどだ。

「電池が切れる? コーマでもその電池って作れないの? 日本だとどこにでも売っているものだったって知識があるんだけど」

「無理だな。分解とかしても、俺は専門家じゃないから構造もわからん。アイテムクリエイトでも電池は作れない。仮に作れたとしても、電池って言うのは種類が多くてな、規格が違うと動かないんだよ」

「ふぅん……ちょっとその電池って見せてもらっていい?」

 ルシルが何気なくそんなことを言ってきた。

 俺のスマートフォンは防水だから、裏蓋は外したらダメなものだし、簡単に開かないようになっている。

 まぁ、どうせ使わないものだからと、力をくわえたら、パキっと嫌な音がして、裏蓋が開いた。これでもうスマートフォンからは防水機能が失われたわけだ。

 自分でやったことだが、少し後悔する。

 そして、俺は薄い板のような電池を取り出して、ルシルに渡した。

「ほれ、これだ」

 板型の電池をルシルに渡す。

「ふぅん……実際に見るのははじめてだけど、こういう造りになってるんだ」

 ルシルは電池を少し眺め、

「なるほどなるほど……もしかしたら、うん。たぶんこれで……」

 そんなことを呟いて、俺に電池を返した。

「たぶん、これで使えるはずよ」

「え?」

「電気エネルギーの代わりに魔力を流し込んで、魔力を電気に変換する陣を埋め込んだから。コーマのおかげで魔力もだいぶ使えるようになったし、このくらいお茶の子さいさいよ」

「お茶の子さいさいって言葉も久しぶりに聞いた気がするが……」

 俺は半信半疑で電池をスマートフォンに嵌め込み、電源を入れてみた。

 すると、本当にスマートフォンが起動した。

「おぉ、起動した」

「ふふん、当たり前でしょ」

 自慢げに、無い胸を張るルシル。俺は彼女の頭を撫でて、起動を待った。

 そして――時計の日時が変わっていることと、圏外であることを除けば通常通り起動している。


「まぁ、Wi-Fiも繋がっていないこんな場所じゃ、ネットもできないし使い道なんて……」


 と俺はギャラリーを見ていく。

 そこには、俺が琵琶湖で釣った魚の写真があった。


「懐かしいな」

「あ、これ、コーマと最初に会った湖ね」

「まぁな……ほら、これがビワコオオナマズだ」


 日本三大怪魚のひとつとも言われる巨大な鯰の写真があった。

 鯰の写真を見て、ルシルが嫌そうな顔をする。


「気味が悪いわね」

料理(もっと気味が悪いもの)を作ってるお前が言うなよ」


 俺は笑いながら、写真をスライドしていく。

 数十枚の魚の写真が終わると、今度はボトルキャップの写真になった。全48種類のボトルキャップ。昔はペットボトルのおまけといえばボトルキャップ! という時代もあったような気がするのだが、俺がこっちの世界に来た年からさかのぼること数年間はあまり見かけなかったが、珍しく売り出された時に集めたものだ。

 中身が見えないタイプの袋に入っているのだが、触ればある程度判別はできたので、集めるのはあまり苦労しなかった。苦労したのはジュースの処理の方だ。げろ不味かったのだ。

 俺のコレクターとしてのプライドとして、お菓子やジュースなどのおまけをコレクションするとき、そのお菓子やジュースは絶対に捨てない! というものがある。

 それは、かつてバッタ型のヒーローのスナック菓子がカードだけ取ってお菓子を捨ててしまうというコレクターが大勢いたせいで社会問題となったという昭和の時期の自称コレクターたちの愚行、そして父さんがベースボールチップスのカードを集めているときに俺のおやつが毎日ポテトチップスとなりげんなりしたこと等を反面教師にして決めたことだ。


 これらのボトルキャップは、きっと今でも俺の部屋で飾られているのだろうな。


 他に何か面白いものはないかと思って、次はメールを見た。

 といっても、クラスメートとのたわいないメールばかりで面白いものはない。


 ……ん?


 俺が最後のメールを見て……思い出した。


 その時だった。


「コーマ! 煙が出てる!」

「え?」


 見ると、スマーとフォンの裏蓋と本体との隙間から灰色の煙が出て、焦げ臭いにおいがした。

 その時だった。


 スマートフォンが爆発した。ボンっという小さな音で、爆発といっても弾け飛んだとかそういうのではない。

 ただ、裏蓋を開けてみると、電池の部分が焦げていた。


「……あぁ、やっぱり電池の無理な改造は危険か」

「ごめん、私のせいで」


 ルシルが落ち込んだ口調でいう。この優しい娘は、この大魔王の優しすぎる娘は、料理を食べて俺が死にそうな顔をしていいてもケロッとしているくせに、俺の故郷のこととなるとこういう顔をする。

 そんなルシルだから、俺はずっと一緒にいたいと思う。


「いや、予備の電池もあるし、ルシルのおかげでいいものが見られたよ。ありがとうな」


 そう言って、俺はルシルの頭に手を乗せた。


「もう、そういうので喜ぶのはコメットだけよ」

「そうか? じゃあルシルには特別大サービスだ!」


 俺はそう言って、ルシルの頭を思いっきり撫でた。彼女の髪がぐしゃぐしゃになり、


「ちょ、コーマ、やめ、やめてってば!」


 と笑いながら言った。


 俺が最後に見たメール。

 そこには、一枚のベースボールカードのレアカードを幸せそうに持っている父さんと、一緒に映っている母さんの笑顔だった。

本編で軽く語られている

仮面ライ○ースナック。

僅か15カ月の販売だったんですが、6億2000万袋も売れたんですよね。

妖怪○ォッチのメダルが、去年に2億枚突破したとか騒がれていましたが、それと比較しても凄いですね。


こんな話で短編集は終わりです。

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