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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra01 短編集

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異世界の学園生活 ~前編~

 軟禁状態にいる妖精はいなかったというのに、今度は俺が軟禁されていた。

 いや、これはもう軟禁なんてものじゃない。監禁だ。

 昨日の夜から全く動くことができない。


 自由に動けるのは右手首と左手くらいなものだ。


 トイレに行く時以外は立ち上がることもできない。


 その状態が既に三二時間続いていた。

 相手は俺のことを熟知し、睡眠代替薬(飲めば、適切な睡眠を取ったのと同じだけの脳の疲労回復効果がある薬)を飲まされたため、寝ることすら許されない。


 くそっ、いったい俺が何をしたって言うんだ。


「何もしなかった結果だろう」

「くっ、そうだった」


 サクヤに怒られ、俺は書類を作成し、サインをする。

 二週間学校に顔を出さなかっただけで、まさかこれほどまでに仕事が溜まっているとは思わなかった。


 生徒の数も増え、教員の新規採用も行ったそうだ。


 そのほとんどをサクヤにやらせていたとはいえ、最終的にはここの代表の俺が作る書類やサインが必要なため、業務が滞っていたと怒られた。


「なぁ、サクヤ。いっそのことお前が」

「私に校長をしろというのならやぶさかではないが。そうなれば姉上とともにこの学校を忍術学校にするがいいか?」

「……くっ、やっぱりカリエルナが大きくなるのを待つしかないのか」


 俺はそう愚痴をこぼしながら、書類の処理を進めていった。

 そしてようやく仕事が終わった。


「今度からはここまで溜まらないように、せめて三日に一度は学校に顔を出せ……全く、私はシルフィア様の護衛もしないといけないというのに」

「一応、俺も全ての忍からの護衛対象のはずなんだけど。一応、忍の主になったし」

「私はすでにカリアナからは出奔した身だ。護衛が必要なら姉上に頼めばいいだろう」

「さいですか」


 全く……学校運営って、生徒との触れ合いとかはいいんだけど、こういう裏方作業は面倒だよな。


「一番面倒な学校の創設をやってのけた貴様が言ってもな。それでは、残りの書類作成に不必要なものは持って行かせてもらうぞ」


 サクヤはそう言うと、木箱に入った書類や道具を持って行った。

 そして、俺は残った木箱を見る。


 あぁ、制服の見本か。

 今年の生徒の制服は全て俺が作った。

 本当は裁縫スキルで作りたかったのだが、さすがに数が多すぎたので、材料だけを揃えてアイテムクリエイトで作った。

 それでも品質が良すぎるということで、来年から同じ質の制服を用意しようとすれば大変な額になると言われたため、とりあえずはコンペで決めることになった。


 その時のための見本用の制服だ。


(自分で作っておいて、着てないんだよな)


 幸い、学校には一八歳までの生徒が通っているため、サイズも幅が多い。

 十六歳の俺が着ても違和感がない。

 ていうか、この世界に来るまでは俺も高校生で、制服を着ていたからな。


 少し懐かしく思い、扉の鍵を閉め、試しに制服を着てみることにした。

 白いカッターシャツにブレザー、ネクタイもするタイプだ。

 この学校で最初に教わることがネクタイの締め方だというくらい、この世界の多くの者にとってネクタイはなじみがない。


 青いブレザーを着た。

 この青いブレザーは、俺がこの世界に最初に着ていた、釣り用の防水ジャージをモデルにしていることは俺だけが知るちょっとした秘密だ。


 アイテムバッグから手鏡を出して、ネクタイを調整してみる。

 腐っても一年間毎日ネクタイをつけて通学していたんだ。なかなか様になっている。

 襟章を見てこれは中等部の制服なんだと気付いた。

 中等部といっても、中学生の年齢と言う意味ではない。

 初等部で文字や算数、簡単な歴史などを学んだ生徒が中等部にあがる。

 中等部にあがれば、応用のきく様々な知識を学ばされる。


「うん、着心地もなかなかいいな。暫くこのままでいるか」


 学生気分を少し味わうのも悪くないな。

 そう思い、俺はアイテムバッグの中に、先ほどまで着ていた服を入れ、廊下に出た。


 さて、煩い女(サクヤ)が帰ってくる前に帰るか。

 そう思った時。


「キミ、そんなところで何をしている?」


 振り返ると、ワイシャツを着た無精髭の男が少し怒った様子で立っていた。


「いや、ここは校長室で――」

「そこが校長室なのは知っている。なんで生徒である君が校長室から出てきたのか? そう聞いている」


 ……え?

 あぁ、そういうことか。

 この目の前にいる男は新任の教師で、俺のことを生徒と勘違いしているのか。


「いや、俺が校長だから」

「何をバカなことを言っている。その襟章、そうか、君は中等部か。ならついて来なさい。これからちょうど授業がある」

「え? いや、だから――」

「若いうちからサボリを覚えてはいかんぞ」


 その教師は有無を言わせない形で俺を引きずり、中等部の教室へと向かっていった。

学園編突入!

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