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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode10 カリアナ

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仲直り計画 その2

~前回のあらすじ~

ルシルと喧嘩した。

 カリーヌと一緒に130階層を目指すことにしたのはいいんだが、歩いていくとなるとどうも困る。

 130階層って登って行くには大変だし、11階層から降りるのも辛い。


 ルシルがいれば転移陣を設置してもらえるのだが、あいつは部屋に引きこもって出てこないからなぁ。


 ということで、俺はマネットに相談しに行った。


「なるほど、そういうことならいいものを作ったんだ」


 マネットは自分の体から伸びている糸を、ゴーレムに手入れさせながら言った。

 芸能人は歯が命、マリオネットは糸が命のようだ。

 マネットは「ついてきなよ」と言って、俺を魔王城の外に案内した。

 そこは、


「いいものってなんだ?」

「上下可動式移動箱ってところかな。前に滑り台を作っただろ? あれは下りるの専用だからね。登るときも使える乗り物を用意したんだ」


 上下可動式移動箱?

 ……もしかして、エレベーターのことか?


 確かに、そんなものがあれば便利だ。


「でも、大丈夫なのか? ロープの強度とか」

「ロープの強度は、僕の体から繋がっているこの糸を使っている。切れる心配はないよ」


 マネットはそう言って、自分の体から糸を伸ばしてきた。

 丈夫な糸か。


「なぁ、お前の糸、少し俺にももらえないか? なんかいいアイテムとか作れそうな気がするんだが」


 俺は目を煌かせて、マネットの糸を要求する。

 結構、糸を素材として作ることができるアイテムは多い。服などの繊維や、紐飾りなどのアクセサリー類などだ。


「勘弁してよ。糸とはいえ僕の体の一部なんだ。今回は長時間かけて用意したけど、結構大変なんだよ」

「待ってるからさ」

「……はぁ、わかったよ。ただし、その糸で最初はコメットの服でも作ってやるんだな」

「なんでコメットちゃんなんだ?」

「前に悪いことしたからね」


 ……あぁ、こいつ、コメットちゃんを操ってたことがあったんだっけか。

 あの時の事をまだ反省しているらしい。意外と律儀なやつだ。


 服の作成か。俺のファッションセンスが問われる依頼だな。

 裁縫スキルは一応持っているから、アイテムクリエイトでなく、そっちで作ろう。


「ついたよ。これだ」


 と同時に、土の壁が開く。

 あ、この土の壁、周りと同化しているように見えるが、ゴーレムだ。


「全部の階層に取り付けていないけどね。ゴーレムの制御の都合で。でも10階層ごとに取り付けているから。糸を引っ張るのも扉を開けるのも全部ゴーレムだから、コーマはただ命令すればいいよ。コーマ以外にも、魔王軍の幹部は全員使えるようにしておいたから」


 音声認識装置と思えばいいか。それは便利だ。

 と思い、扉の中を見て俺は絶句した。


「……ちょっと不格好だけどね」

「ちょっとって、そういえば最近見ないなって思ってたけど」

「強度の心配はないのはこれを使っていたコーマが一番よくわかってるだろ?」

「……あぁ、まぁいろいろと強化はしたんだけどさ」


 エレベーターの箱として使われていたのは、俺がかつて背中に背負っていた竹籠だった。

 アイテムバッグを作ってから使うことがなくなり、アイテムバッグのなかに入れていたこともあったけど、最近はキッチンの食材入れとして使っていた。

 いつの間にか食材入れが陶器製の別のものになっていたけど。


「どうしても陶器で穴をあけると強度が落ちるんだよね。その点、この網目の粗い竹籠なら糸を通しやすかったよ。で、どうする? 乗る?」

「……はぁ、まぁお前を信じるよ」


 俺が観念して竹籠に入り体育座りになった。完全にひとり用だが、カリーヌが俺の膝の上に座った。間接がない軟体の彼女にしか乗れないだろうなと思ったが、カリーヌの奴、俺と向かい合わせに座って、その大きな胸を俺の顏に押し付けてきた。

 半透明の胸の向こう側で、マネットが手を振った。


 と同時に、竹籠が急上昇した。


   ※※※


 窒息するかと思った。

 でも、柔らかい胸のなかで窒息できるなら本望だ……ってダメだろ。俺はルシルのために生きるって決めてるのに。


 まぁ、でも死に方としては男の夢ではあるよな。


「どうしたの? コーマお兄ちゃん」

「ぐっ、いや、なんでもない」


 純粋な眼で“お兄ちゃん”と言うカリーヌの呼びかけに、俺の中に一気に罪悪感が膨れ上がった。


「本当になんでもない。ところで……なぁ、カリーヌはよくここに来るのか?」

「うん、ここも私の弟が生まれる場所だから」

「え?」

「ほら、あそこ」


 カリーヌが指さす場所に、黒いよどみのようなものが見えた。

 そして、黒いよどみが固まりとなって、半透明のゼリー状の物体がぼとりと落ちた。

 スライムだ……スライムが生まれた。


「なんで俺の迷宮って、スライムしか生まれないんだろ?」


 マユの迷宮には魚系の魔物が。

 ユーリ、いや、ルルの管理しているというギルド迷宮にはリザードマンやミノタウロスといった二足歩行の魔物が、ドリーの迷宮には植物系の魔物が生まれ、ブックメーカーの迷宮には人形系の魔物が、ベリアルの迷宮には獣系の魔物が生まれるという特性があった。


「マネットくんの迷宮にもスライムが生まれるって言ってたよ」


 そういえば、マネットの迷宮にもマグマスライムがいたな。

 むしろ、ゴーレムはあいつの能力で作られた魔物で、ファイヤードラゴンは外から連れて来た魔物だって言ってたから、純粋にマネットのいた迷宮から生まれた魔物はマグマスライムだけになる。

 と思って、ふと先程のカリーヌの台詞に違和感があるのに気付いた。


「……マネット()()? マネットお兄ちゃんじゃないのか?」

「えっとね、マネットくんがね、『お前のほうが先輩なんだからお兄ちゃんはおかしいだろ』だって。だからマネットくん」


 あいつ、結構序列とか気にするタイプなのかな。

 魔王なのに。


「マネットくんが言うにはね、何かを作る魔王の迷宮にはスライムが生まれやすいんだって」

「理由はあるのか?」

「私達スライムの特性が進化だからだって言ってたよ。意味はよくわからないけど」

「進化……か」


 わかるような、わからないような。

 んー、ならば、ルシファーがいたころはここにはどんな魔物がいたんだろうか?

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