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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode10 カリアナ

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トンネルを抜けるとそこは

~前回のあらすじ~

マユとメディナの三人旅をすることになった。

 カリアナへは徒歩でいく。

 マユも俺やクリス達同様神薬で鍛えているとはいえ、その量は少ない。

 そして、メディナに至って言えば、神薬を全く飲んでいないからな、結局は徒歩でいくことにした。

 幸い、森の中から街道まではすぐに行けた。そこからのんびり歩く。


 途中で、交易商人の者と思われる隊商の馬車を歩いて抜いていった。

 普通に時速40キロくらいの速さで歩いているだけなのに、隊商のリーダーと思われる男は俺達を見て口をあんぐりさせていた。


「少し目立ちますね」


 メディナが額に汗を浮かべながら言った。

 だが、顔はまだ余裕そうだ。


「そうか? クリスと一緒に走るときはこの三倍くらいの速さだが……」

「それ、とっくに人間の限界超えていますね」


 そう言われてみればそうかもしれない。

 世界最高速度ですら、100メートル9秒、時速に換算すると、時速40キロだから……そうか、俺達は今、地球での人類の最高速度ペースで歩いているわけか。


 まぁ、俺は魔王だしな。


「それにしても、見事に森ばっかりだなぁ……この国は半分以上が森ばっかりだと聞いたけど、本当に凄いな」


 ちょっと気になったので大きめの木の天辺に飛び移ってみた。

 そこからは大海原のような森が広がっている。


 かなり歩いたつもりでいたが、ユグドラシルの木はここからでもよく見えるな。

 西のほうには森の境目が見えた。山が見える。


 木の天辺から飛び降りた。

 足が十センチほど沈み、大きな靴跡を作った。


「もうすぐ例の国境だ」

『国境ですか。リーリウム王国からカリアナに入るには入国手続きもないそうです』


 マユから思念が送られてきた。

 そうなのか?


『カリアナは元々リーリウム王国の領土の一部でしたが、独立して作られた国なんです。もっともリーリウム王国の国民の大半は、今でもカリアナを属国と見ているらしいですよ』

「へぇ、よく知ってるな」

『どこにいても知ろうと思えば、情報は入ってくるものです』


 勉強熱心なことだ。

 そして、さらに歩くと山が見えてきた。


「これが国境か……」


 俺ははじめて見るタイプの国境に、少し感動さえした。

 リーリウム王国とカリアナとの国境は、トンネルだったんだ。

 おそらくは数キロにも及ぶトンネルだ。


 これを掘って作ったのだろうか?

 掘削機械もないだろうに。

 いったい、何年かかっただろうか?


 きっと、黒部ダムを作る時くらいのプロジェクトがあったに違いない。


 俺が頷いている。

 コレクターとは違うが、こういう大工事もまた男の浪漫を感じるな。


「あ、この穴はジャイアントアースモールが掘った穴ですね」


 メディナは穴の断面を見てそんなことを言った。


「穴を掘るのが得意なモグラ型の魔物です。たしか、アースモールの生息地がこのあたりでしたから、その変異種を捕まえて掘らせたんでしょうね」

「……あぁ、そうですか」


 いろいろと台無しだ。

 これだから異世界は嫌いだ。


 洞窟の中は暗かった。

 俺は魔石を使って光るタイプのランプを使って入って行った。


「トンネルといえば、怪談の本場だよな」

「怪談ですか?」

「あぁ、前から来る影が大きく見えたりだとか怖く見えたり、足音が響いたりして、お化けが出るんじゃないかってよく言われ――ん?」


 歩いていると何かが近付いて来た。

 あれは――馬車か。


 脇によけないとな。

 俺達が脇に避けた。メディナが避けようとしないので、彼女の手を強く引いた。

 その時だ。


 落ちた。それが落ちてしまった。


 そして、馬車が俺達の横を通り過ぎた瞬間、


「ぎゃぁぁぁ、化け物ぉぉぉぉっ!」


 御者がそう言って鞭を鳴らして物凄い勢いで馬車が走り去っていった。


 ……確かにトンネルの中でこれを見たら怖いわな。

 俺は横に落ちてしまったメディナの首を見てため息をついた。


「コーマ様、急に手を引っ張らないでくださいよ」

「……はぁ、俺が悪いのか」


 とりあえず、メディナの首を拾ってやり、体につけてやる。


「その首、もっと落ちにくくできないのか?」

「無理ですよ……」


 メディナが首を調整しながら言った。

 もういっそのこと、メデューサではなくデュラハンとして生活したらいいんじゃないだろうか?


「メディナの体は生まれたときからゴーレムなのか?」

「いいえ、私は勇者に首を切り落とされたんです。今の勇者ではなく、自称勇者って人ですけどね。その後勇者は石にして倒したんですが、体と首が繋がらず、体が腐ってしまって困っていたところで、ルシファー様に拾われたんです」

「へぇ……どうでもいいわ」

『自分で振っておいて、ひどいですよ』


 俺の率直な感想を、マユが窘める。

 この三人での旅も少し慣れてきた感じかな。


 と思った時、トンネルの出口が見えた。

 そして、トンネルを出て、俺が見た者は――


「うわぁぁぁ……とても綺麗ですね」

『はい、とても幻想的な風景です』

「……嘘だろ、今は春じゃないだろ」


 トンネルを抜けるとそこには桜並木があった。

 ……思わぬカリアナの歓迎に、俺達はしばしその桜の景色を楽しんだ。

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