レモネの活躍
~前回のあらすじ~
レモネがクリスの実家のアドバイザーになることに。
レモネの活躍は目覚ましいものだった。
「……カガミよ」
レイシアが俺の名を呼び、見つめてきた。
「何も言わんでくれ……弁償はする」
転移陣から、転移石を使ってフレアランドの城に戻った俺達。
そこで、レモネはさっそくある成果を残した。
何もないところで盛大にすっころび、水瓶を割ってくれただけでなく、水瓶の中に入っていた水をぶちまけ、辺り一面水浸しになった。
「レモネちゃんは相変わらずですね……ところで、なんでレモネちゃんを連れて来たんですか?」
「あぁ、メイベルから金貨5万枚を支援をしてもらった」
「本当ですか!? よかったです」
クリスは少し涙を流し、嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべた。
完全に店が救われたと思っているんだろう。
「ただし資金援助する代わりに、ひとつ条件が出されて、だな」
「条件ですか?」
「あぁ、その代わりに、レモネをアドバイザーとして雇ってもらうこと。それと同時に彼女に店長権限を与えること、というのが条件だ」
クリスは、涙目を浮かべて雑巾で水気を拭きとっているレモネを見て、
「メイベルはもしかして私のことを嫌っているのでしょうか?」
「……かもしれんな」
俺と同じ感想を述べたクリスに同意した。
お前も普段は似たようなものなんだけどな。
「とりあえず、エリザさんの店に行ってみるか。レモネさん、行くよ」
「は、はい!」
「カガミ、私も行って良いか? クリスの実家、フレイム交易所はフレアランドにとって重要な施設だからな」
レイシアが訊ねる。彼女なりに責任を感じているのかもしれない。
「神子って暇なのか?」
俺が茶化して言うと、思いっきり脛を蹴られた。
※※※
先にエリザさんのところに戻り、指令所を貰い、フレイム交易店に。
クリスの実家、フレイム交易店はフレアランドの東部、海岸沿いにあった。
交易船も保有しているほどの大きな商店らしい。
港は働く男達が荷物を船に積み込んでいる作業中だった。
大量の倉庫が並ぶ中、その店はあった。
「三階建ての建物か。なんというか普通だな」
国一番の大富豪の店だと聞いたから、てっきり大きなビル……は流石にないが、城のような店だと思っていた。
「交易商ですからね。その代わり、ここにある倉庫は全部、うちのものですよ」
「ここにある倉庫って、何棟あるんだよ……」
この国一番の金持ち(だった)というのは嘘ではないようだ。
ということは、この港で働いている男達も全員フレイム交易店の従業員ってことか。
つまり、この交易所がつぶれたら、ここで働いている人が全員露頭に迷うことになるのか。
「レモネ……さん、荷が重いのならやっぱりフリマに帰るか?」
「呼び捨てでいいですよ、コーマ様。大丈夫です! これでもメイベル店長にしっかり鍛えられていますから」
レモネはそう言って、店の中に入って行った。
俺達も後に続く。
「お待ちしておりました、レイシア様。それに、クリスティーナお嬢様、大きくなられましたな。エリザベート様からの使者に伺っております。そちらの方がコーマ様とレモネ様ですね」
そう言って俺を出迎えたのは、口ひげを生やした恰幅音いい男だった。
奥には他にも従業員らしいと人達がいろいろと仕事をしている。
「ラビスシティーのフリーマーケットから資金援助いただけるようで、従業員一同こころより感謝申し上げます。私が店長のムサビと申します。いえ、元店長と申したほうがよろしいですね。レモネ様、短い間ですがよろしくお願いします」
「はじめまして、ムサビさん。ところで、早速帳簿を見せてもらってもよろしいでしょうか?」
レモネは挨拶も早々、そう切り出した。
「帳簿……でございますか? 帳簿でしたら過去五年分の帳簿が地下の資料室にございます」
「では、拝見させていただきます」
「こちらです」
ムサビに案内された地下の資料室。
そこは――どこの図書館かというくらいに本だらけだった。
五千冊くらいあるんじゃないか?
「……これらがこの店5年分の帳簿になります。どの時期の帳簿からご覧になりますか?」
「全部です。これは徹夜コースですね」
レモネはそう言って、一番左上の帳簿を手に取った。




