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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode09 通常運転

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ラビスシティーへの帰還

~前回のあらすじ~

お金をもらうためにレイシアの家にお邪魔した。

 洞窟の奥は意外と快適空間が広がていた。

 天井にあいた穴からは太陽の光が差し込む形になっているようだ。

 雨水は入らないのか心配だが、そのあたりは工夫されているようだ。


 なんでも雨の少ないこの地方では、雨水は別の場所に溜め込み、湧き水となり、浄化して飲み水や生活用水に変えているそうだ。


 レイシアの部屋は一番奥にあった。そこまでいくと、太陽の光が入ってこない。

 壁に賭けられた松明の光で照らされた部屋だ。


 ちなみに、部屋の奥に地下を流れる川に続く穴があり、二酸化炭素を排出するようにはできているようだ。

 ベッドしかない、なのにダンベルやら剣やら、打ち込み用の人形やらが置かれている、武骨な部屋だ。


「私の寝室に人を上げるのは久しぶりだ。まぁ、適当に座ってくれ」

「座れって、椅子も何もないだろ……」


 俺はアイテムバッグから椅子を二つ取り出して、ひとつをクリスに渡した。


「相変わらずコーマさんのアイテムバッグは便利ですね」


 うん、自分でもそう思う。

 アイテム図鑑を埋めるために作った木の椅子と石の椅子だ。


 俺達はその椅子に座り、クリスの実家の状況を説明した。


「事情はわかった……ディードが戦争用の資金を調達してきたのは知っていたが、まさかクリスの実家からだったとは……すまない、私の責任だ」

「いえ、それはいいのです。それより、お金を――」

「金はない」


 レイシアは言い切った。


「ないのか?」

「あぁ、戦争が早く終わったが、兵の給金、そして先の戦いで痛手を被った南北それぞれの国境砦の修復に大金が必要だった」

「南の国境砦はお前が勝手に壊したんだろうが」

「それを言われたら耳が痛いな」


 レイシアは困ったように言った。


「ディードって、そういえば行方不明になった男だったよな?」

「あぁ……思えば戦争がはじまったきっかけは奴だったな……コーマ、聞いたか? グルースのことを」

「グルース? 誰だっけ?」

「アルジェラの養父と言えば思い出すか?」


 ……あぁ、そういえばそんな名前だったな。

 すっかり忘れてた。


「あいつがどうしたんだ?」

「行方をくらましたそうだ。奴を見張っていた兵とともにな。そして、アースチャイルドが戦争をはじめるきっかけを作ったのもそのグルースだったという」


 戦争をはじめるきっかけの二人が行方不明か。

 確かにそれはにおうな。


「あの、コーマさん、どうしましょうか……お金」

「あぁ……仕方がない、できれば使いたくなかったんだが、奥の手を使うか」


 俺はそう言って、アイテムバッグから、持ち運び転移陣を取り出した。


「あ、持ち運び転移陣ですよね。ルシルちゃんから私も一つ貰ったんで、いつでもコーマさんの家に行けるんですよ」

「ん? クリスも持ってるのか……レイシア、とりあえずここに置かせてもらうぜ」

「あぁ、そのくらいならお手の物だ」


 レイシアに許可を貰い、持ち運び転移陣を置く。

 ちなみに、俺の持っている持ち運び転移陣はどこにもつながっていないのでレイシアが入ってしまっても問題ない。


「クリスもそこで待ってろ」


 俺は転移石を使い、持ち運び転移陣に入った。

 そこは――


「ここは変わらないな」


 俺がいたのは、ラビスシティーの中央。

 迷宮10階層に続く転移陣の上にいた。


 感慨深い気持ちになりながらも、俺はフリマへと歩いていく。

 メイベルに心配かけたなぁ。


「あれ? コーマ様じゃないですか?」

「げっ」


 俺に声をかけてきたのは、レモネだった。

 荷物をいっぱい持っている。


「げってどういう意味ですか?」

「ははは、久しぶりだね、レモネさん」


 はぁ、レモネのドジっ子ぶりのせいで、コーリーから元に戻れなくなったことがあるからな。

 正直あまり会いたいとは思っていなかった。


「久しぶりですね、コーマ様。店長が心配していましたよ。会っていかれますか?」

「そうだな……ちょっと込み入った話になるから、応接室を使わせてもらっていいか?」

「はい、ではご案内しますね」


 裏口に回り、もともとは従業員の寝室代わりに使われていた部屋に通された。


「では、店長を呼んできますから待っていてくださいね」


 ソファに座り、メイベルを待つことに。

 そういえば、ここに座るのははじめてだな。

 俺が作ったソファなんだが、座り心地は最適すぎる。


 このまま寝てしまいたくなるな。

 そう思った時、誰かが歩いてくる足音が。

 扉が開いた、次の瞬間、


「コーマ様、ご無事なようでなによりです」


 小柄な緑髪のエルフ美少女――メイベルが笑顔で俺を迎えた。

 その目は赤く腫れていた。


「メイベル、もしかして――」


 泣いていたのか?

 そう思ったら、


「いいえ、コーマ様。私はいつでもコーマ様の帰りを笑顔でお待ちしております」


 ……笑顔で言うメイベルを見て俺は思った。

 なんでクリスと結婚しようだなんて思ったんだろうか?

 俺が本当に結婚する相手はこのメイベルではないのだろうか?


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