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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode09 通常運転

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コーマの不覚

~前回のあらすじ~

ダークシルドに行くことにした。

 魔の森を抜けると、三人の兵装した男が待っていた。


「ルシル様、クリスティーナ様、賢者の道の復旧作業ご苦労様です。ところで、そちらの方々は?」


 俺とシグレを見て、兵が訊ねた。


「コーマは私の下僕よ」「コーマさんは私の従者です」


 ルシルとクリスが同時に言った。

 どっちも正しいんだけど、ルシルよ、頼むから人前で下僕宣言はやめてくれ。


「彼女は私の友達です」


 クリスはそうシグレを紹介した。

 兵士が聞きたかったのはそれもあるが、どうやって魔の森に入ったのか?

 ということなのだろうが、男は何か諦めたのだろう、


「それでは城に戻りましょう」


 そう言って、俺達を馬車へと案内してくれた。

 装飾の施された馬車の椅子は座り心地もよく、揺れもあまり気にならない。


 馬車といえば正直悪いイメージしかなかったが、これだと車酔いにもなりにくいだろう。


「コーマ、少し機嫌がよさそうね」

「まぁな」


   ※※※


 三時間後、馬車は城の中庭に停止した。

 馬車で城の中まで入れることに驚いた。

 そして、その中庭に、一人の男が倒れている。

 顔色の悪い男で、今にも死にそうな声を出している。


 それは俺だった。


「コーマさん、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない……ルシルの料理を食った方がまだマシなほど気分が悪い。なんで酔い止めの薬が効かないんだよ。一番効果があったのがシグレの干し梅ってどういうことだよ」


 乗り始めて三分、いきなり気分が悪くなった。

 前に馬車酔いしたときに今後のために作っておいた酔い止めの薬から安心だと思ったのだが、全く効果がなく、結果はこのざまだ。


「ちょっと俺はここで休ませてもらうから、お前たちは報告してこいよ」


 俺はそう言って、死んだ。

 いや、死ぬように倒れた。


 気分が悪い。

 何でも治せるはずのエリクシールも、どういうわけか俺の車酔いには効果がなかった。

 俺が魔王として世界征服を達成したら馬車を廃止しよう。そしてオーバーテクノロジーを駆使して電車を普及させよう。いや、魔石で動くなら魔列車か。


「もう、だらしないわね……行きましょ、クリス」

「え……えぇ、先に行ってますね、コーマさん。入場許可書を置いておきますから、腕に巻いていてくださいね。シグレさんは応接室に案内していただきますね」

「それでは、コーマ殿失礼します」

「わかったわかった……」


 うつ伏せになって倒れながら、俺は手を振って三人を見送った。


 それにしても本当に気分が悪い。

 水……そうだ、水を飲みたい。

 そう思い、俺はアイテムバッグをあさり、一つの瓶を取り出した。


   ※※※


 知らない、天井だ。


 そんなギャグをかまし俺は現状を確認した。

 気が付けば、俺はベッドで寝かされていたようだ。

 まさかベリアルとやり合って生き残った俺が、重度の車酔いで気を失うとは思わなかった。


 親切な誰か――もしかしたらクリス達かもしれない――が医務室に運んでくれたのだろうか?

 と思ったが、かなり豪華な部屋だ。


 少なくとも保健室ではない。


 天幕のついたキングサイズのベッドから立ち上がろうとして、思わずバランスを崩しそうになる。


 背が縮んでいた。

 それに、手も小さくなっている。


「まさか――」


 そう言って――疑念は確信へと変わった。

 声が自分の声がじゃなかった。


 こんな大きな部屋ならあるんじゃないか?

 そう思い、俺は探した。

 そして、それはすぐに見つかった。


 クローゼットの中、扉の裏に姿見があり、俺はその姿を見て愕然とした。

 そこにいたのはとてもかわいらしい少女だった。 


「コーリーになってやがる」


 どうしてだ?

 そうだ、思い出した。

 馬車酔いで倒れて水を飲もうとしてアイテムバッグを漁って、意識が朦朧としていたせいで、水と間違えて性別反転薬を飲んだんだった。ただでさえ気持ち悪いのに、間違って性別反転薬を飲んでしまったことでよけいに気分が悪くなって気を失ったんだった。


 相変わらずの黒髪美少女っぷりと、本当に微かにしかない胸を見て、ため息をついた。

 メイベルやルシルよりは大きいけどな。


「……この姿で運ばれたってことは!?」


 自分の体を確認する。

 着ていたのはこの城に入ったときの服のまま。

 着衣の乱れなどはない。

 よかった、どうやら乱暴はされていないようだ。


 一番の懸念材料であるアイテムバッグも無事だ。

 さっさと性別反転薬を飲んで元に戻るか。

 そう思った時、ひとりの少女が水差しを持って入ってきた。


「聖女様、目、覚めた?」


 そう言って入ってきたのは、褐色肌の少女だった。

 その姿に見覚えはあった。そして、俺のことを聖女様と呼ぶ人間は一握りに限られる。


「君は……あの時、目が見えなかった神子さん?」


 そうか……闇の神子ってこの子のことだったんだ。

 俺は改めてその事実に気が付いた。

コーリー再び。

すみません、TSF要素ありのタグは付けるつもりはありません。

とだけ先に言っておきます。

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