はじまりの場所へ。
~前回のあらすじ~
パンを食って死にそうになった。
アルティメットポーションを一気に飲み、今わの際からの生還した。
別にパンを食べることには意味はない。ただ、あいつの作った料理を月に1度は食べてやるって約束したからというだけだ。
流石にさっきの三匹は危険すぎて食べる気はなかったが。
「懐かしいな、お前に最初に食べさせられたのがパンだったな……あの時も死ぬかと思ったよ。てか、だんだん危険性が増してる気がするんだが」
「失礼ね、私だって成長してるわよ! 今のパンにはなんとジャムが入ってたのよ!」
「あぁ、なんか熱いものが入ってきたと思ったらそれだったのか……ジャムが溶岩みたいになってたぞ」
そして、俺とルシルは笑い合った。
久しぶりの再会にをただ喜び合うように。
ただただ笑った。
「ルシル、悪い……あまり話している時間がない……俺の中のルシファ―の力を再封印してくれ……」
「再封印?」
「あぁ、俺は今、ルシルの封印魔法が3割程度しか作用していない状態なんだ……あの時、完全に封印が解けた時のせいでな」
「……3割!? よくそれで平気だったわね」
「あぁ、お前の親父さんに助けられてな。また今度ゆっくり話してやるよ」
「……お父様が……ちゃんと今度話しなさいよ」
「約束する」
俺が頷くと、ルシルはそれを取り出した。
持ち運び転移陣だ。
「再封印をするなら、あそこに行きましょ」
「あぁ、あそこだな。クリス、コメットちゃん、ちょっと待っててくれ。そういえばタラはどこにいるんだ?」
「タラなら、私のパンを試食して倒れているわよ」
……なんてひどいことをするんだ、こいつは。
タラは武士だからなぁ、主人の命令には絶対服従だろうからな。
「じゃあ、コメットちゃんはタラの看病を頼む……ちょっと行ってくる」
そう言って、俺とルシルは持ち運び転移陣の中に入った。
そして、その先は――魔王城だった。
タタミの部屋の中に入った。
ずいぶん久しぶりに帰ってきた気がする。
「コーマお兄ちゃん!」
「おぉ、カリーヌ、元気にしてたか?」
「うん」
俺はカリーヌの頭をなでてやる。冷たくて気持ちいい。
カリーヌは「えへへ」と嬉しそうに笑った。
その声に気付いたのか、会議室にマネットが入ってくる。
「ふーん、本当に生きてたんだ」
「よう、久しぶりだな、マネット。ゴーレムはできてるか?」
「まぁね。そこそこの量ができたから、農作業をさせたら199階層は全部畑になっちゃったよ。ゴブカリがゴブリン達の仕事がなくなるってぼやいてた」
「そっか……マユは?」
「マユも元気だよ。でも、ちょっとやることがあるからって最近は自分の迷宮に戻ってるみたい」
「あぁ、蒼の迷宮か」
そうか、元気なら別にいいか。
「コーマ、行くわよ!」
「あぁ、待ってくれ、すぐに行く。じゃあ、後でな、カリーヌ、マネット」
俺は二人にそう言って、目指した。
すべてのはじまりの場所に。
すみません、風邪でダウン。かなり短めです。




