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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第二部 西大陸編 Episode08  六玉収集

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演技と和解

~前回のあらすじ~

アルジェラの身体を切り裂いた。

『アルジェラアアアァァァっ!』


 クレイの悲鳴が響いた。

 真っ二つになったアルジェラの上半身が土となって崩れ落ち、そして、下半身もまた膝から崩れ落ちる。


 土の宝玉からクレイが飛び出した。

 そして、俺にはその意味は全く理解できない、何か呪文のようなものを唱える。

 下半身の形を保っていた土が四方にわかれていき、そこに土で汚れたアルジェラが無傷の状態で倒れていた。


 索敵スキルで、アルジェラの気配が下半身にいることを知っていたからな。


『……アルジェラ……嘘、アルジェラ、お願い、息をして』

「無駄だ、アルジェラは今、死んでいる。肉体は無事でも、あの土の人形はあの時はアルジェラだったんだ。それを二つに切った。それで無事でいられるほど、あの時のアルジェラは強くない」

『そんな……』


 そして、俺は右手のそれを前に掲げた。


「アルジェラの魂は、今、この中にある」


……………………………………………………

魂の杯【魔道具】 レア度:72財宝


魂の杯と契約を結ぶと、契約者の死後、その力を封印する。

水を入れて飲むことでその力を吸収することができる。

…………………………………………………… 


 魂の杯。

 俺にとって始まりの杯。

 コメットちゃんとゴーリキの魂をこの世に繋ぎ留め、グーとタラの二人と融合するきっかけとなったこの杯。


 契約をしないと魂を封印することができないはずのこの杯。

 だが、例外がある。

 その例外とは何なのか――それはルシファーの知識の中にあった。


 条件を満たしている今、


「いつでも魂を彼女の身体に戻すことは可能だ」

『本当!? じゃあ、今すぐアルジェラの魂を元に……』

「今はダメじゃないのか?」


 俺が訊ねる。

 今、アルジェラの魂を元に戻せばどうなるか?


 間違いなく彼女は狂う。

 唯一のよりどころだったグルースに拒絶されたのだ。


 まぁ、簡単に解決する方法はあるんだよな。


 俺はグルースを見て、邪悪な――それこそ魔王の笑みを浮かべた。


   ※※※


「ん……」


 アルジェラから小さな吐息が漏れた。

 彼女が魂をその身に戻してから20分後のことだ。

 エリクシールを振りかけたことにより、消耗しきっていたHPとMPは完全に回復していたが、時間がかかったな。


 アルジェラが起きて最初に見たのは、グルースの笑顔だっただろう。

 彼女は、グルースの膝の上で眠っていたから。まるで子供のように。


「……グルース?」

「アルジェラ、目を覚ましたかい?」

「……グルース、アルのこと嫌いじゃないの?」

「何を言っているんだ、アルジェラ。私が君のことを嫌うわけがないだろ。きっと悪い夢を見ていたんだな」 


 そう言って、グルースはアルジェラの頭を撫でた。

 それで、アルジェラは本当に嬉しそうに、それこそ年相応の笑顔を浮かべた。


「グルース、アル……グルースの言ったこと守れなかったの。クレイゴーレムは消えちゃったし、クレイとの融合も……」

「いいんだよ、アルジェラ。もう終わったんだ。全部終わったんだよ」

「じゃあ、アルの仕事終わったの?」

「ああ、終わったよ」

「ずっとグルースと一緒にいられるの?」


 アルジェラの弾むような声に、グルースは笑顔のまま首を振った。


「ごめんよ、アルジェラ。私はこれから大切な仕事があるんだ。アルジェラのような子供を救わないといけない。君は、あそこにいるお兄さんとお姉さんと一緒に行動してほしい。そして、フレアランド、アークラーンの二つの国と同盟を結ぶんだ」

「グルースと一緒にいちゃダメなの?」

「ごめんよ、アルジェラ。でも、必ずアルジェラに会いに行くからね」

「グルースはそうしてほしいの?」

「ああ」

「……うん、わかった!」


 アルジェラが笑顔で頷いた。

 終わった。

 全部終わった。


 二人の様子を離れたところから見ていた俺はほくそ笑んだ。

 いやぁ、グルース、なかなかの名演技だったぞ。


 まぁ、あれだけの恐怖体験を味わわせたら、命がけで演技をするだろうな。

 中々に難しいんだぞ。怪我を負わせずに恐怖で相手を縛りつけるのって。


 こっちにゆっくり歩いてきて、グルースの様子を何度も気にするアルジェラ。

 笑顔で手を振るグルースを見て、最後にアルジェラはレイシアに抱き着いた。


『お帰りなさい、アルジェラ』

「ただいま、クレイ……あの、ごめんね」

『何がごめんなの?』

「ううん、なんでもない」


 クレイとアルジェラも無事に和解できたようだな。

 それにしても、これから大変だろうな。


 アースチャイルドの再建。土の撤去はすぐにできるだろうが、荒らされた畑を元に戻すのは時間がかかるだろう。

 最悪、アルジェラの責任になりかねない。


 そこは俺達が守ってやらないとな。


 そう思った時だ。


「あれを見ろ、カガミ!」

「あれって……おい、嘘だろ」


 そこは崩れた壁の向こう側、聖都の手前側。


 そこから、大量の水が噴き出していた。

 よく見ると、湯気のようなものが上がっている。


「……あれってもしかして」

「あぁ、フレアランドにも僻地に存在はするが……まさかこのような場所で噴き出るとは思わなかった」


 その日――アースチャイルドの聖都に温泉が湧き出た。

 俺がエントキラーで叩き割った大地から。

投稿する場所間違えてました。

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