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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第二部 西大陸編 Episode08  六玉収集

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聖都とクレイゴーレム

~前回のあらすじ~

ルシルのことが頭から離れない。

 俺はアースチャイルドの首都――聖都・ストラキスを目指していた。


 六国一の農業国と知られるらしいこの国には、これといった観光名所はないそうだ。


 そんな国の首都がなぜ聖都と言われているのか?


 それは、土の神子――アルジェラのおかげだという。

 アルジェラは臣民のために精霊の力を使い続けたそうだ。


 アルジェラは国中を養父グルースとともに駆け回り、畑の土の改良、鉱山の改善や崩落の防止に尽力し、民に最も慕われる神子と言われた。民をあんなに思うシルフィアや、最前線で戦うレイシアよりも臣民からの信頼度は高かったそうだ。


 その話を聞いた教会は、アルジェラの功績を認め、ストラキスに聖都を名乗る許可を与えたという。


「……へぇ、アルジェラっていい奴なんだな」


 俺はそんな感想を漏らした。

 普通、王様とかって視察をするときも表面しか見て回らず、各町の町長などに歓待してもらってそのまま帰るイメージがあったが、少なくともアルジェラはきっちり国民のために動いていたわけか。


 そう思ったが、レイシアは首を振る。


「表ではな。だが、裏では鉱山から硝石を取り、火薬を作り出していたそうだ。もっとも、我が国の諜報員が得た情報で、何の証拠はないが」

「火薬?」

「あぁ、畑の改良により、薬草の安定供給を目指し、その薬草をポーションに作り替えるためと言って錬金術師ギルドに多額の支援を行った。おかげで薬草も売れ、冒険者は怪我をしても安価で治療できるようになり、冒険者ギルドからも称賛された」


 教会の中を除けば、戦いに重きを置く国フレアランド、過ごしやすく人口が一番多い国アクアポリスと並んでアースチャイルドに冒険者ギルドの支部が存在するのもそれが理由だという。


「実際は硝酸と硫酸を混ぜ合わせて火薬を大量に作っていたそうだ」

「表では称賛、裏では硝酸か」


 思わずそう呟いてしまった。空気が読めずに。

 でも、ギャグになっているのは日本語だからなので、レイシアは俺がつまらないギャグを言ったことには気付いていないようだ。


 いい神子ではないわけか。

 まぁ、本当にいい神子なら、自らの国をこんなゴーレムに荒らし回させるようなことはしないよな。


「でも、いい神子だと臣民は思っているから、素直に避難したんだろうな」

「そうだろう。通常なら、意味も分からずに湖に避難するように言われてもそう簡単に家を捨てることなどできん。情報が洩れなかったのも、誰もが神子を敬愛していたからだろう」


 クレイゴーレムの数が増えてきた。


「カガミ、あれを見ろ――」


 木の上で休憩していると、レイシアが西のほうを指さす。


「野生の地竜ランドドラゴンだ……」


 トリケラトプスのような竜が暴れていた。

 だが、その全身は酷く汚れ、そして傷ついていた。


 クレイゴーレムに囲まれていた。

 襲われているのだ。


 一体、何体の地竜がいたのかはわからないが、俺が見えるのは1頭だけだ。

 そして、その1頭もクレイゴーレムに飲み込まれていった。

 もう助からないだろう。


 クレイゴーレムが襲うのは人間だけではない。魔物だって例外ではないのだ。


「これは私の予想だが、クレイゴーレムは近くにいる生物を襲うように命令されていると思われる。しかも一体と戦っていると他のクレイゴーレムも押し寄せてくる仕組みなのだろう」

「……特定の誰かを狙っているわけではないのか」

「これだけの数だ。そのような高度な命令をされてたまるか」


 レイシアが吐き捨てるように言った。

 まぁ、屋根の上や木の上にいるときに襲われなかったのもそのためだろう。


「ん? じゃあ、アースチャイルドの兵相手でも襲うってことか?」

「だろうな」

「なら、アースチャイルドの兵はどこにいったんだ? 湖に避難していた人の中に武器を持ってる兵はいなかったように思えるが」

「私がわかるわけないだろう。それより、あの山を超えたら聖都が見えるはずだ」


 レイシアは最後の地図確認を終え、俺にそう言った。

 そうか、あの山を越えたら聖都か。


 常人なら歩いて登るとしたら億劫すぎるほどの山だが、俺なら10分で超えれそうだな。

 幸い、木々が生い茂っているので、クレイゴーレムに見つからずに移動できそうだ。


 山越えの道を左下に見ながら、木の上をひょいひょいと移動していく。

 気分はムササビだ。

 

「レイシア――聖竜は怖いのに俺は平気なのか?」

「大丈夫だ。この程度の高さなら落ちたところで私は三回転して着地できる」


 ここから三回転して着地できるって――どこのニャ○コ先生だよ。まぁ、俺も可能だけど。


「それに、カガミのことは信頼しているからな」

「聖竜よりも信頼してもらえるとは、光栄なことだな」

「そう思うならもっと丁寧に扱え。さっきから揺れが激しいぞ」

「無茶言うな! 木の上って思ったより不安定なんだよ!」


 こっちも文句言うが、それでもできるだけ丁寧に運んでみる。

 そして、山の峠の一番上にきたところで――俺達は見た。


「……なんだ、あれは――」


 俺が見たのは、クレイゴーレムで溢れている大地、深くえぐれた土。そして巨大な土の壁だった。


 土の壁は東西に延びていてどこまで続いているのかわからない。

 いや、おそらく、西は森まで、東は海まで伸びているのだろう。

 つまり、クレイゴーレムを囲いこんでいるんだ。

 アースチャイルドの南側に。

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