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放置された麻の下着

~前回のあらすじ~

クリスがブランド(?)バッグをおねだりする。

 メイベルとの語らいの場として毎度おなじみの倉庫へと移動した。

 倉庫の中も、今は俺が作ったアイテムだけではなく、仕入れしたであろうものが多くの品が保管されている。


「コーマ様、クリスティーナ様の従者だったんですね」

「ん? あぁ、言ってなかったっけ?」

「はい、伺ってません」


 そうか、言ってなかったか。

 何で言ってなかったのかなぁ。

 もしかして、クリスの従者であることを恥ずかしいとでも思っていたのかもしれないな。実力は確かだけど、間の抜けてるところが多いし。


「ま、俺がこの店のオーナーだということはクリスには黙っておいてくれ」

「どうしてです?」

「そのほうが面白そうだから」


 別にばれてもいいんだけど。

 ただ、あまり資金的にアテにされるのも困るしな。


「アイテムバッグ一個持って行っていいか?」

「はい、それはもともとコーマ様が作ったものですから、もちろん持って行ってください」


 そう言って、メイベルは牛革のアイテムバッグを俺に渡す。

 これが金貨50枚、いや、75枚もするのか。

 まぁ、交易商人からしたらのどから手が出るほど欲しい品だろうな。中に入れたものは腐ることもないから、鮮魚などを運ぶにも便利だ。新たな商売を開拓する資金なら、金貨75枚も安いと考える商人も多いだろう。


「それと、店の資金が金貨400枚を超えました」


 俺の感覚でいうと4億円、クリスの借金の50倍くらいか。

 宝くじでも当たらないと手に入らないと思っていた金額だけどな。


「メイベルの販売力は凄いんだな」

「いえ、うち250枚はアイテムバッグの収入です。解毒ポーションにおいてもギルドとのコネも強くなり、定期的にポーションなどを卸すことができるようになりましたし、全てはコーマ様の手腕によるものです」


 そう言ってもらえたら素直にうれしいな。

 ルシルにしてもクリスにしても、俺がアイテムを作って驚くことはあるが、褒められることはなかったような気がする。


「店員もだいぶ増えたな。全員可愛い女の子みたいだし」

「はい、全員同じ部屋の友達で、よく商売について語り合いましたから、私の経営方針も理解してくれています」

「そっか。忘れてたけど、メイベルって元奴隷なんだったよな」

「一応今も奴隷ですけどね」


 メイベルが苦笑する。

 あ、そういえばそうだった。


「ついつい忘れるんだよなぁ、奴隷のイメージって、もっと過酷な環境っていうイメージが強いからなぁ」

「そうですね、奴隷の環境がいいのはこの町ならではのことだと思いますよ。とはいえ、お給金の貰える職場というのはやはり少ないです。他の皆も驚いていました」

「そういうもんか?」

「はい、少々時間をいただけましたら、皆を紹介したいのですが」


 んー、可愛い女の子全員に「ご主人様」呼ばわりされるのか。

 確かに、それは一つの理想でもあるんだけど。


「オーナーといっても何をするわけでもないし。今、忙しそうだからな、暇な時でいいよ」

「コーマ様がそうおっしゃるのでしたら」

「それよりさ、アイテムの素材、用意できてる?」

「はい、珍しい素材アイテムはできるだけ高く買い取らせてもらっています。奥の部屋にございますよ」


 よし、来た来た!

 この店の目的は資金集めよりもアイテム素材集めだからな。

 俺は扉に手をかけた――


「あ、ちが、コーマ様、その部屋は」


 メイベルが訂正したが、俺の手の勢いは止まらず、扉が開いてしまい――そこはまさに宝物庫だった。


 白、黒、赤など、色とりどりの布が部屋の端から端へと張られた紐にぶら下げられている。

 あれ? この布ってもしかして――


 俺は一番手前の白い布を手に取り、広げてみた。


「こここ、コーマ様! すみません! それは私のです」


 メイベルが奪い取るように俺の手にあった布を取り、自らの懐にしまった。

 あぁ、そうか。メイベルの……だったのか。そうかそうか、俺の鑑定眼に間違いはないか。


……………………………………………………

麻の下着【雑貨】 レア:★


安物の下着。履き心地は決してよくはない。

ただの布きれです。それ以上でもそれ以下でもない。

……………………………………………………


 え? 何を言ってるんだ?

 ただの布きれ? そんなことないだろ、フリルもついているんだし。

【レア:★】? フリルなあれは【レア:★×9】……いや、むしろあれこそ72財宝じゃないのか?

 先ほど、手に伝わってきた感触を思い出す。

 あの温かみはあれか? 干してあるあれなのか?

 それとも残ったあれなのか?

 俺は今、この手の匂いをかいでみてもいいのか?

 いや、匂いなんて残らないよな、干してあるってことはあれだよな、洗ったんだよな。

 でも、この店、洗濯用のタライってあったっけ?

 もしかして洗ってない?

 汗をかいたから干してあっただけ?

 もしかしたら、この手を嗅いだらその匂いが。

 いいのか? 嗅いでもいいのか?

 そもそも、臭かったらどうする? 俺にそういう趣味はあるのか? ないのか?

 考えたらいけない。

 そうだ、説明文にもあったじゃないか。

 そう、あれはただの布きれだ。


「…………うん、ただの布きれだな」

「え、ええ、ただの布きれです」


 そして、俺は再度部屋を見た。

【ただの布切れ】が干された部屋、布団が敷かれている。その数5枚。

 部屋の広さは魔王城の半分ほどしかない。


「もしかして、ここで従業員全員寝てるのか?」

「は、はい。倉庫の中は品物が多くあって万が一のことがあれば困りますし……」

「……こりゃ、まずいな」

「すみません、散らかしてしまって。片付ければいいとは思っているんですが」


 そうじゃない。俺が言いたいのはそういうことじゃない。

 迂闊だった、全てをメイベルに任せ過ぎた。

 メイベルは店のためには頑張っているが、一部の価値観は俺と大きく異なる。


「メイベル、もう少し時間を貰えないかっ!」

「え? はい?」


 とりあえず、メイベルは他の従業員に用事ができたと言って、俺と一緒に店の裏口から外に出た。


「あの、コーマ様、どちらに? まさか、さっきの下着で興奮して……そんな、私、まだ心の準備が」

「何を言っているのかわからないが、不動産屋に行くんだぞ?」

「……不動産屋……ハンクさんのところですか?」


 あの不動産屋のおっさん、ハンクって名前なのか。


「ま、その通りだ。急遽必要な物件ができてな」

「フリーマーケットの支店準備ですか?」

「いや、支店を増やすつもりはいまのところないよ」


 増やす必要もないし、店長を任せるような人を探すのも面倒だしな。

 そもそも、アイテムを作るのは俺一人なんだからさ。

 買い取り専門の出張所なら作ってもらってもいいかな、とは思うけど。


「メイベル、店の資金は金貨400枚以上だと言っていたけど、仕入れの値段とか考えて、自由に使える金はいくらだ?」

「月末の支払いが金貨7枚銀貨50枚ほどありますが、それ以外なら。金貨400枚使っていただいてもかまいません」

「それだけあればいけるな」


 俺たちは不動産屋の看板をくぐった。


「これはこれは、コーマ様、それにメイベル、よくしてもらっているようだな、噂は聞いているよ」

「はい、ハンクさん。それで、今日はコーマ様が用事があるそうで」

「そうなんだ。店の裏に土地空いてただろ? あそこを売ってほしくて」

「売る? しかし、あそこは一等地で――」

「いくらだ?」

「金貨10枚、いや、君なら金貨9枚で」

「いや、10枚でいいや。あと、今借りてる店って買おうと思えばいくらになるの?」

「あそこはメイベルちゃんから金貨50枚で買った店だ。その値段でいいよ。手数料代わりには、君から1年分の家賃はもらってあるからね」

「じゃ、合計金貨60枚……メイベル、うちの店の資金から払っておいてくれ」

「かしこまりました」


 メイベルが頭を下げる。

 契約書などの面倒な手続きがあったので、とりあえずメイベルに書類の確認をしてもらった。

 あと、固定資産税とか細かい注意を受けたけれど、そのあたりも彼女に、俺の代わりに聞いてもらうことにした。

 もともと、うちの店の家計は全てメイベルに任せているからな。

 店を借りるときと違い、4時間もかかったが、無事全ての手続きが終わった。

 外に出るとすでに夕方になっていた。


「コーマ様、店を買うのはわかりますが、裏の土地は何に使うんですか?」

「あぁ、これから最高の社員寮を作ってみせようと思ってな」


 お宅訪問のテレビ取材がやってきても自慢できるような家を作ってやるさ。

 早速今夜からの作業だな。

 それにしても――あれ? 何か忘れてないかな?



   ※※※



 フリーマーケットの店の中は多くの品物があって、見ていて飽きることはありません。

 見て飽きることはありませんが、コーマさんが店の奥に入って五時間、一向に出てくる気配はない。

 私はいい加減にしびれをきらし、近くの従業員に声をかけました。

 

「あの、すみません、奥で店長さんと一緒に私の従者が入っていったんですが、まだ話は続いてるんですか?」

「4時間前に店長は外に出て行かれましたので、もう帰られたはずですよ」

「…………コーマさんのバカぁぁぁぁぁっ!」

~下着~

下着。今回はパンツを特に扱う。


パンツはアイテムか? と問われたら答えはYES。

ドラクエでも「エッチな下着」や「ステテコパンツ」は有名なアイテムですし、FF7では、クラウドがタンスをあさってティファのパンツを見つけたりもしています。インターナショナルバージョンではグラフィックまであるし。

さらに、あの有名ゲームキャラのマリオですら、ピーチ姫のタンスをあさって「ピーチの×××」を見つけています(マリオRPG)。


R-15をタグに入れている男が主人公の小説なら、大体パンツを見せてくれるんじゃないでしょうか? まぁ、小説なら見れないんですけどね。


でも、下着は興奮するものなのでしょうか?

そもそも、下着の元祖は、アダムとイヴの葉っぱでしょ?

葉っぱを見て興奮する人はいますか?

いないはずです。なぜなら、アダムとイヴは知恵の実を食べて羞恥心を得て、葉っぱという下着をつけたんです。だから、アダムとイヴは語っています。下着を見られるのは恥ずかしいものではないと。


……すみません、冷たい目で見ないでください。


下着ネタでこれ以上話を続けるのは無理なので、


~普通のあとがき~


時野裕車です。中途半端な場所で普通のあとがきです。

まずは、21部までお読みくださってありがとうございます。

21部ってのも中途半端です。


アイテムネタを中心に、ダンジョン経営、冒険、店経営などやりたいことをやるという小説です。話のストックはもう少しあるので、しばらくはこのペースで続けられると思います。


よく、転生物でこんなことを言う人がいます。

「転生される前の話と転生される直後の話はいらないだろ」と。

テンプレですからね。なので、最初に用意していた部分を全てカットし、分割して書くことにしました。すると、あら不思議。プロローグで起きるはずだったことが書かれていないため、変な伏線になって、物語に深みが……あれ? そんなに深みが必要な話だったっけ?


それはさておき、昨日はおかげさまでアクセス数5万突破しました。

これからも本作品ご愛顧いただけたら感謝感激でございます。

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