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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode07 小鬼の王

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ゴブリン王の誕生を阻止せよ

~前回のあらすじ~

200階層まで戻った。

「ところで、ルシル。あの滑り台はなんなんだ?」


 本題に入る前に、まずは気になったことを質問した。


「あれは……えっと」

「それは僕から説明するよ」


 マネットは、やれやれといった感じで説明を始めた。


「そもそも、お前等魔王の力使わなさすぎ。マユの水槽だって、お前、ダンジョンメイクを使わずに手作りで作ったんだろ?」

「え? ダンジョンメイク?」

「ダンジョンを作り替える力だよ。魔王なら全員持ってる。僕がマグマの迷宮を作ったり、マユが海の迷宮を作ったように、迷宮を作り替える力だ。一定の瘴気を使用するけどね。なんでかは知らないけど、コーマの魔王の力はルシルと共有されているみたいだったから、ルシルにやり方を教えて作り替えた……でも、こいつ、大雑把だから穴を空けるしかできなくて、仕方なくゴーレムを作って滑り台にしたんだ」

「そうか……穴は塞いだのか?」

「あぁ、コーマが通ったら塞ぐように言ってある」


 マネットがそう言った、直後だった。

 ルシルが「あっ」と驚いた顔になった。

 こいつ……忘れてたな。

 ここで「テヘペロ」とかしてくれたら可愛いんだけどな、ルシルはそういうキャラじゃないのは知ってる。


「わ、忘れてないわよ。今しようって思ってたの。ほら、マネットのゴーレムも邪魔だし」

「あれは魔石も使ってない簡易ゴーレムだからそのまま埋めてくれていいって言っただろ」

「……埋めるわよ! 埋めたらいいんでしょ!」


 逆切れすると、何やら呪文のようなものを唱える。


「終わったわよ。別にいいじゃない、ちょっと遅れたって」

「ダンジョンメイクは侵入者がいるときは使えないから、さっき誰かに入られたら危なかったんだぞ」


 そうなのか。


「ルシル、お前は今からダンジョンの内装を変更してくれ。階段の位置とかを。マユさんの迷宮を199階層に、ゴブリンの村を198階層に、スライム達のいる階層をその上にうつすことはできるか?」

「うん、入れ替えるだけなら簡単だけど」

「じゃあ、スライムのいる階層より上は全部入れ替えてくれ。ユーリが向こう側にいる以上、前までの地形は把握されている可能性があるからな」

「わかったわ」

「マネットはゴーレムを作ってくれ、俺もアイテムクリエイトでスライムを量産する」

「ちょっと待ってください、コーマ様! 人間と戦うつもりなのですか?」

「……それは……」


 俺はゴブリン族長の息子を見る。

 まだ子供だな。


「僕ならどうなってもかまいません。父には、魔王様の命令に従うと言ってきました。僕の力を利用するも、僕の力を疎み殺すも、全ては魔王様の御心のままにお願いいたします」

「……はぁ……なぁ、お前、今から極悪キャラにジョブチェンジしてくれないか? そうすれば簡単に切り捨てられるんだが」

「……極悪キャラとはどのような職業なのでしょう?」

「冗談だ、真に受けるな」

「申し訳ありません」


 ったく、やり辛い。


「名前はないんだよな。といっても名前を付けたら愛着湧きそうなんで……ゴブ(仮)でいいよな?」

「はい、ありがたき幸せです」


 ゴブ(仮)は恭しく頭を下げた。

 ありがたいんだ。


「コーマはネーミングセンスなさすぎね」


 ルシルが嘆息して言う。

 グーとタラの名前を決めたお前に言われたくないわ。


「よろしくね、ゴブガリ!」

「はい、よろしくお願いいたします、カリーヌ様」

「カリーヌ、ゴブガリじゃなくて、ゴブ(かり)だ」


 それだと坊主頭になっちまうぞ。

 そして、俺はマユにアイコンタクトを送る。

 ウォータースライムを頭から被っていない彼女だが、その声は僕に伝わってきた。


《ええ、ウソはついていません。ゴブカリさんは全て本心でそう語っています》


 そうか。マユの嘘発見器でも嘘はないと出たか。


《あの、嘘発見器って言い方やめてください》


 あぁ、悪い。うん。


……………………………………………………

友好の指輪【魔道具】 レア:72財宝


ある国の王が天使より授かったとされる指輪。

ありとあらゆる生物、植物と心を通わせることができる。

……………………………………………………


 マユの持っている指輪。

 これを使えば相手の心の中を見ることができ、また自分の心の声を相手に伝えることができる。

 それは、言葉を放つことのできない赤ん坊や動物でも通用する。


 ウソを見破るにはもってこいのチートアイテムだ。


 これで、ほぼ100%、このゴブ(仮)がウソをついていないことが証明されてしまった。

 もしもこいつの本性が悪人……いや、悪ゴブリンだったなら、俺は迷わずにこいつを切ることができたのに。

 切ったうえで斬ることができたのに。


「お前はゴブリン王になるらしい。それを止める方法は何かないか? ベビーゴブリンのまま進化しない方法は」

「ありません。子供はいつか大人になる、それは変えられません。あと3週間ほどで僕は進化します」


 Bボタンを連打しても進化は止められないってことか。


「ならば、ルシル、封印をすることはできないか? ほとぼりが冷めるまで封印することは」

「ダメよ。私の力は未だほとんど戻っていないもの。時間を止める魔法なんて使えないわ」

「なら、何か方法はないか……」


 何か、いい方法は。


「いっそのこと、無人の迷宮の最奥にでも行かせるか? 僕の迷宮なら使っていいぞ」

「……それはゴブ(仮)を見捨てるってことか?」

「合理的にいったらそうだろ。コーマが殺せないのなら、そのほうがいい。少なくとも、ゴブカリがここに居たら、人間が攻めてくるんだろ? そして、こいつを匿い続けたら、地上が大変なことになる、そのくらい理解しているだろ?」


 マネットが言っていることは正しい。

 決断が必要なのかもしれない。

 仲間を殺す覚悟だ。


 創造と破滅……ゴブ(仮)がこのままここにいたら、間違いなく町は破壊される。

 もしくは、迷宮が……この迷宮が破壊される。


「……某の記憶の中にですが、一つ、方法があるかもしれません」


 そう言ったのは、タラだった。

 そして、コメットちゃんもまた、思い出したように言った。


「もしかして、あそこのこと?」

「うむ、あそこならもしかしたら……」

「何か知っているのか?」


 一縷の希望にすがるように、俺は二人に尋ねた。


「弱化の泉と呼ばれる場所があります。そこに入れば、魔物は弱くなる……ゴブカリ殿が入ればもしかしたら」

「それだ!」


 ダメ元でその泉に入ってもらえば、もしかしたらただのゴブリンは無理でも、ゴブリンジェネラルくらいになるかもしれない。


「しかし、二つ問題が。まずは一つ。弱化の泉が現れる時間は決まっています。月に一度、新月の日のみ。次の新月は1週間後です」

「それまで、この迷宮を死守しないといけないということか」

「それともう一つ。その場所に問題が」

「どこでも行くよ。どこにあるんだ?」


 俺の問いに、二人は少し逡巡し、そして言った。


「某達がかつていた迷宮」

「ベリアルの迷宮です」


 ……え?

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