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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode06 日常閑話

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コーマのギルド試験~突入編~

~前回のあらすじ~

即席パーティーができあがった。

 町の中央にある転移陣をくぐり、俺達6人は10階層にやってきた。

 ここは実際にラビスシティーの地下にある空間なのだが、ここより下は別の空間にある。

 俺もランクCの冒険者になって調査団に入ったときはびびったもんだ。町の下にこんな広い空間があるというだけでなく、ここよりも下にさらに広い空間が広がっているんだからな。

 思えばあの時も俺は若かったな。見る者すべてが新鮮だった。


 あの時の感動があるからこそ、俺は感動を与える側になりたいと思っている。


「ギロンさん! お疲れ様っす。一応規則だから、許可書見せてください」

「…………?」


 ギルド職員と思われるちゃらい男が俺に近付いてくるが、一体誰だったっけ?

 俺の後輩だったと思うんだが。

 あぁ……思い出した!


「おぉ、ショッカーか! お疲れさん」

「戦闘員みたいな間違いだな。ジョークですよね」


 横でコーマが訂正してくるが、


「ジョーカーだ。まぁ、コーマも元気そうでよかったよ。久しぶりだな」


 どちらでもなかったようだ。覚えにくいんだよな、どういうわけか。


「なんだ、コーマと知り合いなのか」


 俺は冒険者ギルドから発行されている許可書をジョーカーに渡し、ハンコを押してもらう。


「あぁ、冒険者ギルドに案内したよしみでな」


 ハンコを押しながら、ジョーカーはコーマを見て、そう言った。

 まぁ、こいつはバカで力もないナンパな男だが、優しい性格……だったような気がする。


「はい、確かに。迷宮の場所はわかりますか?」

「あぁ、わかる。ゾウの下だよな?」

「そうです、ゾウの下です」


 レメリカ嬢から地図を貰っているから間違えるはずはない。昨日もきっちり確認したしな。


「じゃあ、俺は詰所に戻ってますから」

「あぁ、お疲れさん」


 俺はそう言って、地図を出そうとするが……そうだ、昨日鞄の中にしまったが、最後に確認したときに出してしまって……そのまま忘れていたようだ。


 だが、まぁ大丈夫だろ。迷宮の場所はきっちり記憶している。


「こっちだ、ついてこい」


 俺は5人を案内し、迷宮を進む。


   ※※※


 30分後。

 おかしい、このあたりのはずなんだが。ゾウは目立つと聞いていたからすぐにわかるはずなんだが。


「おい、まだかよ。てか、この道さっき通らなかったか?」


 最初に不平を漏らしたのはオーガだった。

 この道通ったか?


 んー、10階層は広いからなぁ。

 通ってないと思うんだが。


「待ってくれ。確か、このあたりに扉があって、その中にゾウがあるんだ」


 俺はそう言って、壁を触った、その時だった。

 壁をすり抜け――そこにゾウがあった。


 ゾウ……巨大な鳥の彫像がそこにあった。

 おいおい、レメリカ嬢。隠し部屋にあるなんて聞いてないぞ。

 まぁ、地図を持っていたら、扉の部分が壁だったということで気付いたわけで、地図を忘れた俺が悪いんだが。


 それでも、よく見つけられたな。俺の日頃の行いがいいからだな、うん。


 像を押すと、音を立てて像が横に動き、隠し階段が現れた。

 その中から、むわっとした熱気があふれる。


「おいおい、本当にここなのか? 凄い暑いな」

「あぁ、像の下って聞いてるからな、間違いない」

「待ってください。水の加護よ、我等を守りたまえ! 水膜ウォーターバリア


 ヨンイチの水魔法によって、俺達の周りに水の膜が現れる。

 それにより、暑さがだいぶましになった。


「おぉ、だいぶましになったな。やるじゃねぇか、兄ちゃん」

「どういたしまして」


 オーガがヨンイチの背中をパンパン叩き、ヨンイチは迷惑そうな顔をしていた。何しろ、背中を叩くたびに水の膜がびしゃびしゃと音を立てて飛ぶんだからな。


 だが、本当にこれはいい魔法だ。評価にしておこう。


 そして、俺達は地下へと入って行ったのだが――直後、水の膜が蒸発し、凄い熱気が俺達を襲った。

 やばいっ!

 そう思った時だった。


水障壁ウォーターバリア!」


 コーマが叫んでいた。詠唱破棄の魔法だ。

 水の膜ではなく、水の壁が俺達の下に現れた。


 そして、俺達は階段を駆け上がった。


 さっきの水の壁が蒸発したらしく、湯気が階段からあふれてきた。

 あのままだったら危なかった。


「おい! 試験官! なんなんだよ、ここは!」

「知らん! 危なくないと聞いていた。もしかしたら、何かあったのかもしれん。とりあえず、出直そう」

「あぁ? じゃあ俺達の試験はどうなるんだ!?」


 それはこっちのセリフだ。俺の昇格はどうなるんだ?


「これを飲んでもう一度調査をするってのはどうだ?」

「それは?」

「耐熱ポーションだ。これを飲んだら24時間、熱に対する耐性が上がる。炎を浴びても平気だから、あの程度の蒸気なら防げるはずだ」


 ……耐熱ポーションはフリーマーケットで売っているのを見たことがある。値段は忘れたが。

 コーマのやつ、敬語がなくなっているが、こっちが地なんだろうな。


 俺は逡巡し、


「迷宮が変動しているとなったら危険だ。安全の保証はない。それでも行くのか?」

「あぁ? 安全の保証がないってどういうことだ! そのためのお前なんだろうが」


 オーガが怒鳴ってきたが、


「元より、冒険者は死と隣り合わせの仕事であろう。変異があったという迷宮ならば、目新しいものを見つけたら即Aランクになることもあるかもしれない」


 シグレが言い、


「トヴィも調査したいです。早く冒険者ランクを上げたいです」


 トヴィが手を挙げて同意した。

 これで、コーマ、シグレ、トヴィの三人が賛成か。


「私は反対したいんですが、試験は協調性も試されているんですよね。なら私も賛成に回りましょう。流石に女性二人を見捨てて逃げ帰るのは死よりも辛い」


 ヨンイチが賛成に回るだけでなく、オーガに牽制をしかけた。


「ちっ、だが、俺様はお前たちを守ってる余裕はないぞ! そのつもりでいろよ」


 最後にオーガが賛成に回った。

 これで全員が賛成に回ったわけだ。


 そして、俺達6人はコーマの耐熱ドリンクを飲む。

 すると、さっきまでの熱気がウソのように消えた。


「防げるのはあくまでも熱気だけだ。空気がなければ死ぬし、毒ガスが発生していても防げない。解毒ポーションは用意しているから、体調が悪いと思ったら言ってくれ」


「これは凄い……私の水の膜よりも効果はある。そういえば、コーマさんはさっき水魔法を使ってましたよね?」

「あぁ、咄嗟だったからな。本当はもっと効果的なアイテムがあったんだが、出す暇がなかった」

「……なんであれだけの魔法が使えるのに、あなたは魔術師ではなく、アイテムマスターを名乗るのですか?」


 そういえばそうだな。アイテムマスターはどうしてもアイテムに頼るイメージだが、魔術師なら自分の力で生きているイメージだ。後者のほうが聞こえはいいだろうに。


「んー、趣味のようなもんだ」

「そうですか」


 コーマがはぐらかしたので、ヨンイチはそれ以上何も言わなかった。

 そして、俺達は再度迷宮の中へと入って行く。


 11階層は熱気であふれていた。

 地面の割れ目から、蒸気が噴き出ているし、少し臭いな。


 俺は自分の荷物の中から毒消し草を取り出して、皆に渡した。


「ここからは毒の瘴気がある可能性がある。毒消し草を噛みながら進むんだ。苦味が増したらすぐに捨てろ」


 冒険者の知恵だ。毒の沼を渡るときなどはこうして生きる。

 皆はそれに従い、毒消し草を噛んだ。これで防げる毒ならいいんだが。


「コーマ、俺は30本毒消し草があるが、予備の確認をしたい。お前はいくつ持ってる?」

「ん? あぁ、毒消し草なら2000本、耐毒ポーションなら60本あるぞ」

「……耐毒ポーション?」

「飲むと10時間、毒状態にならなくなる薬」


 おいおい、そんな薬聞いたことないぞ。

 ただ、さっきの耐熱ポーションがこの効き目だし、ウソじゃないんだろうな。


「……俺達に分けてもらっていいか?」

「あぁ」


 そう言ってコーマは俺達に耐毒ポーションを渡してくれた。

 緑色の液体で、これが毒なのじゃないか? と思うが、飲んでみると苦味が口に広がると同時に、硫黄の独特な匂いに対する嫌な感じがなくなる。


「シグレはいらないよな」


 コーマはそう言って、シグレには耐毒ポーションを渡さなかった。


「コーマさん、なんでそんな意地悪を言うんですか?」


 トヴィが言う。確かに、シグレとコーマの間に確執があるとは思えなかった。

 オーガに渡さないというのならわかるんだが。すると、


「あぁ、私には必要ない。よくわかったな、私のマスクが防毒マスクなのだと」

「ま、職業柄な」


 なるほど、そういうことか。

 コーマは鑑定スキルを持っているのかもしれない。


「ごめんなさいです、コーマさん」

「いいよ、気にしてないから」


 トヴィとコーマも言葉を交わす。

 その時だった。


「魔物だ」


 俺が声を上げ、トヴィが弓を、コーマとヨンイチが杖を、シグレが短剣を、最後にオーガが斧を構える。

 と同時に、一匹の赤いスライムが現れる。


 ――あれは、


「なんだ、スライムかよ。俺様の斧の餌食になりやがれ」


 そう言って、オーガが突進した。


「待て、あのスライムは!」

「くらいやがれ!」


 オーガがスライムを真っ二つにした。

 しまった――!


 真っ二つになったスライムから、マグマが溢れ、オーガに降りかかった。

 マグマスライム、倒すと中からマグマが出る。

 そのため、倒すには遠距離攻撃でなければいけない。


 あんな近距離で攻撃したら、オーガは……


「なんじゃこりゃ!」


 オーガが叫んでいた。

 服が燃えた。斧が溶けた。

 そしてオーガの身体が……火傷一つ追わなかった。


「きゃっ」


 トヴィが後ろを向く。

 オーガの服は全て燃え尽きたのに。耐熱ポーションのおかげか。

 あれがなかったら、オーガは間違いなく死んでいただろう。


 コーマは落ちている溶けた斧を見つめ、


「これはダメだな。オーガ、俺の斧を使ってくれ。あと、代わりの服だ。防熱処置付き」


 コーマはそう言い、アイテムバッグから斧と服を取り出す。

 一体、どれだけアイテムが入っているんだ?


 オーガは自分の身にふりかかったことを思い出し、溶けた斧と自分の体を見比べた。


「…………ちっ」


 舌打ちをして、コーマが出した服一式を着た。


 にしても、いきなりマグマスライムか。

 これは思ったより厄介な迷宮だな。


 コーマも斧と服を渡してるのにあんな態度をされて、よく平気でいられるな。

 そう思っていたら、


「ところで、斧と服の代金として、さっきスライムが落とした火炎核を貰うぞ」

「……あ、あぁ」


 笑顔で魔物のドロップアイテムを拾うコーマを見て、流石にオーガも毒気を抜かれたようだ。

 いやこの試験で出たドロップアイテムは全部ギルド預かりになるんだが……まぁいいか。


「オーガ、独断専行は減点だぞ」

「わかった。俺が悪かった」


 俺はオーガにくぎを刺すと、意外にも彼は素直に謝罪した。

オーガ以外はキャラがまだまだ薄いですね。

明日はソ○ィーのアトリエの発売日なんで、更新できるかなー


や、やめて、電源切らないで!

だって、アイテムコレクターだし、アトリエシリーズはやっておかないと!


お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、今まで「ユーザーのみ受け付ける」だった感想を、一時的ですが「誰でも書き込める」ように設定変更しています。チートコードで俺TUEEEな異世界旅を書いていた時にちょっと荒らされてから凹んでユーザーのみにしていたんですが、まぁ、大丈夫だろうということで。


にもかかわらず、感想返信率が悪くて申し訳ございません。

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