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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode06 日常閑話

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鍛冶師ギルドの教鞭

~前回のあらすじ~

コーマは剣の鍛え方を学ぶことにした。

 剣の鍛え方を教えてくれ?

 さっきクリスティーナから見せてもらった剣を見る限り、剣を鍛える腕はコーマの方が上のはず。

 一体、どういうことだ?


 ……あぁ、そうか。そういうことか。


 きっと、コーマは剣を鍛えることはできない。どこからか仕入れた武器を自分が鍛えたといって売っているわけか。

 なんて奴だ。

 僕のさっきまでの感動を返せ! と怒鳴りたいが、ここで騒いだどころで何も始まらない。

 むしろ、声が外に漏れて契約違反になったら僕は猫語でしか喋れなくなる。

 それだけは避けたい。


 ただ、そういう理由ならここで見たこと聞いたことを言ってはいけないという契約を僕に課したのも頷ける。

 一流の鍛冶師を名乗っている人間が剣を鍛えたことがないなんてな。


「わかった。だが、その前に聞きたいんだが、コーマは鍛冶スキルは?」

「あぁ、持ってるぞ」


 鍛冶スキルはあるか。なら大丈夫か。

 とはいえ、剣の鍛え方を知らないというのなら、鍛冶スキルのレベルは1といったところか。

 僕? 僕は修行の結果レベル2に上がった。包丁もそれなりのものを作れる。

 ちなみに、ゼッケンさんの鍛冶レベルは6、ハチバンさんが5、クイナさんが4だ。

 鍛冶師レベル6というと、国に一人いるかいないかレベルの鍛冶師といわれる。


 とにかく、レベル1なら、青銅から銅の剣を作るのが一番なんだが、銀でもできないことはないと思う。


「それにしても凄い設備だな。剣の鍛え方もわからないのによくこれだけそろえたな」

「ま、そっちが本業みたいなものだからな」


 コーマは笑いながら言った。本業――おそらく商売なんだろうな。

 片手間で鍛冶をしているってことか。ふざけてるな。


「じゃあ、炉に火をくべてくれ」

「あぁ、わかった」


 僕が言うと、コーマは従い、炉に火をつける。と同時に、部屋に凄い熱気が充満した。

 ていうか、何だこの熱?


「なぁ、コーマ。その炉は一体なんて炉だ?」

「あぁ、竜骨炉だ」

「竜骨炉?」


 僕が訊ねると、コーマは炉について説明した。

 竜の骨を材料に作られた炉で、4000度まで熱を調整できると説明した。


「4000度? それって何の数値だ?」

「ん? あぁ、とにかくめっちゃ熱くなるってことだ」


 よくわからないが、学者が使う用語か何かなんだろうな。熱を数値で表記する学者がいると聞いたことがある。

 学に疎い僕にはわからない。師匠も熱は身体で覚えろって言ってたが、少なくともこの熱は僕や師匠が使う炉よりもはるかに熱い。まぁ、熱ければいいってもんじゃないんだけどな。


 矢床は火炎ハサミの角を少し加工しているのか。

 溶岩地帯に住む火炎クワガタが持つハサミで、加工しただけでそのまま使える。


 僕は緑色の手袋をはめ、あとはハンマーの確認をしようとして――


「重っ! なんだ、このハンマー!」


 めっちゃ重かった。

 鉄じゃないとは思っていたが、銀でもない。


 僕が訊ねると、なんとコーマはそのハンマーを片手で持ち上げた。


「プラチナハンマーだ」

「プラチナだぁぁぁっ!?」


 流石に驚愕した。プラチナは加工が難しいだけでなく、その重さも特徴的だ。

 鉄の3倍はある。こんな重い武器、鍛冶師ギルドで一番力の強いハチバンさんがぎりぎり扱えるくらいだぞ。

 だが、それ以上に驚いたのは、コーマがそのハンマーを片手で持ち上げたことだ。

 一見優男に見えるコーマのどこにそんな力があるのか。


「一応アイアンハンマーもあるんだが、そっちを使うか?」

「……あぁ、頼む」


 僕が頼むと、コーマは懐の鞄から鉄のハンマーを取りだした。

 おいおい、アイテムバッグかよ。アイテムバッグは最近になってフリマに出回った魔法アイテムで、とても希少性の高いアイテムだ。フリマで金貨90枚で買ったアイテムバッグが前に地方のオークションに出品され、金貨500枚になったのは有名な話だ。


「……なぁ、この金床ももしかしてプラチナか?」

「あぁ、そうだぞ」


 うん、もう驚かないと決めた。

 温度調整ができる炉があるのに箱ふいごは必要ないだろ、とかツッコミも入れない。

 とりあえず、僕の横に冷める速度なども考えて沸かしたお湯の入った箱を置き、


「じゃあ、今から剣を鍛えるよ」


 といっても、鍛冶スキルで武器を作る手順は結構単純だけに感覚で覚えることが多い。

 矢床で、銀のインゴットを炉の中に入れる。

 ここで感覚――銀のインゴットが熱せられるのを待つ。


「やっぱり早いな。あとは取り出して叩く! 剣のイメージを持って! 剣のイメージは使う相手を思い浮かべて作るんだ!」


 僕はそう叫びながら、金床に置いた銀のインゴットにハンマーをうちつける。

 素材がいいのかハンマーがいいのか、それとも僕の腕が上がっているのか、30回打ちつけたところで、ようやく剣が変形をはじめ、もう一度熱し、さらに30回打ちつけたときにはようやく剣の形になった。

 そして、それをお湯に入れる。


 お湯が蒸発する音――と同時にピキっと音がなった。

 げっ、やば。


 剣が音を立てて二つに割れた。

 やっぱり僕にはまだ銀を扱うのは早かったか。


「ま、まぁ、こんな時もある。こうなっちまったらダメだが、成功したらあとは柄を付けてできあがりだ」

「柄を?」

「当たり前だろ?」

「……そうか、当たり前だよな、うん……」

「まぁ、いい。コーマもやってみろ」

「わかった」


 そして、コーマはプラチナハンマーを握った。凄いな、やっぱりあれを扱えるのか。

 筋力だけなら一流の鍛冶師だな。


「コーマ、お湯は?」

「ん? あぁ、そのままでいいよ」

「そのままでって……ま、いいけどよ」


 剣の仕上がりは最後の水の温度できまるといってもいい。さっき剣が折れたのはきっと水の温度が低すぎたんだ。

 それを理解していないのなら、僕と同じ失敗をする。


 まぁ、師匠も「鍛冶師ってのは失敗から成功を鍛え上げるもんだ」と言ってたしな。

 口は出さないでおくか。


 そして、コーマは炉から銀のインゴットを取り出し、


「ちょいっと」


 なんだよ、その掛け声……と思う間もなかった。

 あろうことか、剣がすでに形になっていた。ただの一発で。


 そして、コーマはその剣を僕の使ったお湯に入れ――僅か一分で一本の剣が完成した。


「……やっぱり失敗か。アイアンハンマーで作ったほうがいいのかな」


 コーマはそう言って嘆息を漏らした。 


「な、なぁ、コーマ、一つ聞いていいか?」

「なんだ?」

「なんで、その剣――柄がすでにあるんだ?」


 そう、コーマが作った剣にはすでに柄がつけられていた。

 まるで金属が変異したみたいに。


「んー、剣をイメージしたらこうなった。逆に刀身だけの剣のイメージができなくてな」


 神匠クラスの鍛冶師なら、柄も一緒に作れると聞いたことがあるが、眉唾物だと思っていた。

 本当だったのか。

 でも、あの柄、どうみても金属素材じゃないだろ? どうやってできたんだ?


「なぁ、どう見ても成功だろ……どこが失敗なんだ?」

「いや、これ、良銀の剣なんだよ。俺が作ろうとしたのは銀の剣なのに」

「は?」


 良銀の剣? おいおい、ワンダー武器かよっ!

 鍛冶師レベル6以上の鍛冶師なら、作ろうとしていたもの以上の剣が極々稀に作れることがあると聞いたことがある。


 ゼッケンさんも一度だけ銀の剣を作ろうとしたときにワンダー武器のこれと同じ良銀の剣を作ったことがあり、我が家の家宝にしたと言っていたのを覚えている。もしもその時に使った素材が銀ではなく金だったとしたら、国宝級のお宝になっていただろう。

 普通の金の剣は脆くて芸術品として扱われるが、良金の剣は魔力を吸収するため魔法剣士が使うという。


 ちなみに、ワンダー武器以上のシークレット武器というものが存在するらしいが、条件が鍛冶レベル9以上だとか、確率が0.01%未満だとかいう話なので、そっちは明らかにウソ情報だろう。


 ちなみに、この良銀の剣も、金貨数十枚以上で取引されると思われる。


「やっぱり、水を変えたほうがいいのかなぁ。前はポーションとか力の神薬とか液体状のものをいろいろ試して、氷塩水を使ってようやく鉄の剣ができたし」

「氷塩水……!?」


 ポーションを使うのは金のある鍛冶師の中ではよくあることだ。チカラノシンヤクはよくわからないが、薬というからにはポーションのようなアイテムなのだろう。力の妙薬の劣化版といったところかな?

 さすがに力の妙薬を水代わりに使うようなら僕はこの場で首を括っているくらい驚くが。


 ただ、氷塩水って……そんなもん使ったら剣がボロボロになるぞ!?

 ゼッケンさんが見たことのない鉄の剣って言ってた武器が、コーマが唯一成功したと言っていたその鉄の剣が、そんなキテレツな方法で作られた“失敗作”だったなんて。


「とりあえず、アイテムマスターとしては俺は100発100中銀の剣を作りたいときに銀の剣を作れるようになりたい。頼む、協力してくれ」

「……なぁ、コーマ。一つだけ教えてくれ。誰にも言わないし、誰にも言えないから教えてくれ。コーマの鍛冶師レベルはいくつなんだ?」

「レベルは10だ」

「……あ、そっか」


 納得した。

 普通なら絶対に信じられないことだが、納得した。


 僕は――いや、僕たちは喧嘩を売る相手を完全に間違えていた。

 そして、僕が――僕如きがコーマ様に教えられることなどあろうはずがないことを悟っていた。

~50万文字突破しました(読み飛ばし推奨)~


 文字数が50万文字突破したということで、俺とクリスは闇の中にいた。

 これからメタな会話が繰り広げられる。


「50万文字ってことは、100万文字の半分ですね!」

「当たり前のことを大発見みたいに言うな。てか、まだ半分か」


 まぁ、100万文字を目標に頑張っているわけじゃないが、毎日書いて50万文字。

 100万文字を書いている人はどんなに頑張っているのか。


「ところで、これって例のあれですよね、100万アクセス達成記念とか200万アクセス達成記念でやっていた」

「ああ、あれだ。400万アクセス~600万アクセスの時はやらなかったがな」


 つまりはキャラへのQ&A 。忘れていたわけではなく、5章はシリアスシーンが多すぎて、こんなギャグを挟む暇がなかったからです。


「で、前回はルシルだったから、今日はクリスだな」

「はい、私ですね」

「いよいよ、あれが明らかになるのか」

「あれ?」


 クリスが首を傾げる。


 ということで、ここからはよくありそうな10の質問が繰り広げられていく。


Q1:名前をお願いします。

A1:クリスティーナです。親しい人はクリスと呼びます。


Q2:スリーサイズをお願いします。

A2:あぁ……あれってこれですか。えっと、答えないと……ダメですか。わかりました。でも、これ一応リーリウム……え、許可貰ってるんですか? イシズさんの? ……わかりました。ええと、100・59・88です。



 ありがとうございました。質問は以上です。




A2:ってまだ2問しかしてないじゃないですか!


Q3:すみません。では、ええと、好きな食べ物は何ですか?


A3:急に雑になりましたね。なんでも食べますが、一番好きなのはコーマさんがいつもくれる健康ジュースです。一番嫌いなのはエラ呼吸ポーションですね。


Q4:バカバカ言われていますが、バカという自覚はありますか?


A4:え、そんなこと言われてたんですかっ!? デマですよ! ちゃんと文字は書けますし。


Q5:将来の夢はなんですか?


A5:お父さんのような立派な勇者になることです。


Q6:コーマに借金は返せそう? 金貨2000枚。


A6:利息はないので、年間金貨100枚返して、20年で返すつもりです。あ、でももしも私がパーカ迷宮でシークレットを引き当てたら、借金帳消しになるそうなので、それを狙うのもありだと思っています。


Q7:出現率1/1000万だから、パーカ迷宮のドロップアイテム1個の期待値が銅貨2枚になるって気付いてる? それだとシークレットを当てるよりも今まで通り未開封の箱を銀貨1枚で売った方が50倍お得だよ? まぁ、開封後の指人形を売ったら小銭は稼げるかもしれないけどさ。


A7:……え?


Q8:いままでどれだけ騙されてきたの?


A8:2回でしょうか。宿屋で剣を盗まれたときです。サイモンさんがいたときは全部交渉はサイモンさんがしてくれたから騙されることはなかったんですけどね。


Q9:猫語の契約ってまだ続いてるの?


A9:はい、まだ続いています。にゃので……こんな風にたまに遊ばれますにゃ。借金の期限が守れていにゃいので仕方ないにゃ。


Q10:ここに、立派な勇者になれるお守りがあるんだけど、金貨77枚で買いますか?


A10:買いますにゃ! にゃのでコーマさん、金貨にゃにゃじゅうにゃにゃ枚貸してくださいにゃ!



(クリスはコーマに叩かれて強制退場)


 ありがとうございました。

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