スライム分裂するも効果は薄く
今回は短めです。すみません。
~前回のあらすじ~
スライムいっぱい
何が起こってるんだ?
スライムの数が増えてる。ものすごい数のスライムが。
どうしてあそこまで増えてるんだ?
俺はよく観察する。ユグドラシルの枝が、幹にまとわりつく。まるで小蠅を払うかのようにスライムを叩き落とす。
『えーい、離れんか! スライムの分際でワシにまとわりつくな!』
エントの叫び声とともに一本の枝の一撃。それだけでスライムは死ぬ。
100匹も、200匹も。
だが、一匹だ。たった一匹が生き残って枝にまとわりつき、その葉を食べた。
唯一の柔らかい場所、ダメージを与えられる場所だと思ったんだろう。
その瞬間だった。
スライムが破裂し、数百匹ものスライムが落ちていった。
……そうか、ユグドラシルの葉か。
その強大な生命力によって分裂してるのか。
スライムの数はそれで増えていっている。
でも――だからどうなる?
食べられた葉っぱはもう再生しているし、本来の目的である水分を吸収するといっても、大地に根を張っている以上、そこから水を吸いだしているから意味があるとは思えない。
実際、数が多ければ多くなるほど、一回の攻撃で倒れるスライムの数が多くなっている。
今でこそスライムは増えているが、平衡状態になるまでもうあと僅かだろう。
逆に、あれだけ付きまとわれたら攻撃できない。
ルシルの炎魔法での援助も期待できない。
「……ん?」
スライムにまじって、色の違うスライムがいる。
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ストーンスライム【魔法生物】 レア:★★
岩肌のスライム。転がる攻撃で冒険者にダメージを与える。
最近、肌の乾燥が気になっている。
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あぁ、石と混ぜて作ったストーンスライムだ。
そうだ、強いスライムに葉っぱを食わせたら……ってダメだ。
魔法生物のスライムは、一般的なスライムと違い分裂することができない。
過回復しても破裂するだけだ。素材も何も残らない。
考えろ。
スライムが時間を稼いでいる間に考えろ。
何か見落としていないか?
大切な……大切な何かを。
そもそも、エントを倒すにはユグドラシルのどこかにあるエントの核を倒すしかない。
使える武器は斧と炎だ。
斬ってもすぐに回復してしまうから意味はない。意味はない。
やっぱり倒すにはさっきみたいに核を見つける。
回復速度の差でエントの核の場所を――ん?
そうか……その手段があった。
考えてみれば単純なことじゃないか。
「カリーヌ! ユグドラシルにまとわりついているスライムを退避させられることができるか?」
「うん、できるよ!」
よし、俺は通信イヤリングを手に取り、ルシルを呼び出した。
「ルシルか!」
『コーマ、その声は何か悪巧み考え付いたのね』
あぁ、思いついたよ。でも、悪巧みなんてとんでもない。
今まで以上に最高の正攻法だ。
ただし、アイテムマスターとしての。
「今から、巨大スライムを作り上げる」
スライムの核は8個あればエンペラースライムが作れる。
だが、8個以上でも作れる。10個でも100個でも1000個でも。
100万個でも。
さて、ユグドラシルの根元には何個のスライムの核が落ちている?
『スライムなんかでエントを倒せるの?』
「倒せない! だが、取り込むことはできる」
そうすれば、倒せる。
あの方法で。
「ルシル、その前に頼みたい。あれを――お前に頼みたい」
「コーマ、わかってると思うけど――」
「大丈夫だ。負けないよ。エントにも……そして、お前の親父さんの力にも」
確かに、ルシルの気持ちはわかる
俺はいまだに竜化状態を完全に支配できていない。
だが、それでも今の力なら俺はあいつを倒せないかもしれない。
そして、同じ手段が通じる相手ではない。
だから、頼む。
――俺はこれから、竜化第二段階に突入する。




