増え続ける青い悪魔
~前回のあらすじ~
スライム大行進
洞窟の中を、スライムの波を逆走していく。
俺のことを主人とわかっているのか、カリーヌの命令か、スライム達は俺を避けるように奥へと進んでいった。
ユグドラシルの根にまとわりつく。
スライムは毎秒500匹増えているが、それ以上に殺されているかもしれない。
どこに逃げるか。
「コーマお兄ちゃん、こっち! こっちにドリーちゃんがいる!」
そう言って、脇道へと入って行った。
ドリー!? 生きてるのか!
ただ、そろそろつらい。明かりがない。
ということで――
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暗視黒眼鏡【魔道具】 レア:★★★
暗い場所も良く見えるサングラス。
太陽のない場所で使うサングラス。
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久々登場の暗視黒眼鏡。
前回、竜化100%の時に吸収し損ねたダサイメガネシリーズの一つ。
流石に俺もこれはないと思う。
「コーマお兄ちゃん! カッコいい!」
そんな俺の姿を褒めたのは、カリーヌだった。
「え? そうか?」
「うん、まるで暗殺者ガウディ―みたい」
「ガウディー……、おぉ、そういえばそうだな」
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パーカ人形〔ガウディー〕【雑貨】 レア:★★★★
パーカ迷宮で拾うことのできる指人形。全97種類ある。
かつてシアナの命を狙った暗殺者。今は命がけでパーカを守る。
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このガウディ―だ。確かにかっこいいサングラスをかけていたな。
俺もガウディ―の設定はかなり好きだった。
パーカの母、シアナが冒険者時代に、彼女の命を狙っていた暗殺者。だが、それに失敗し隠居の身になる。
その後偶然出会ったパーカに心を開いてもらい、彼の危機を裏で解決してくれるお助けキャラだ。
カリーヌもパーカ人形コレクションにはまっているからな。
ただし、残念なことに集めるのにはまっているんじゃなく、本当に人形遊びにはまっている。
前にスライムを集めて人形劇をしていたときは、ほっこりさせられたものだ。
俺は少し機嫌を良くして、脇道を走った。
天井から岩が落ちてきた。
俺はその岩を斧で真っ二つにしてさらに進む。
地盤がやばい。崩落が始まりつつある。
そんな中、さらに進む。
「ドリーちゃん!」
カリーヌが叫んだ。
そこにいたのは、衰弱して眠っている。幼女のようになった幼女――おそらくドリーだろう。顔がそのままだ。
そして、見知った顔の金色長髪の美しい女剣士――クリスだった。
「クリ――」
「カリーヌちゃ――あなたは!?」
クリスはカリーヌを見て驚き、そして俺を見てさらに驚いた。
警戒し、右手で剣の柄を握る。
「……あの時の――どうしてあなたがここにいるんですか」
そうか、俺は今竜化してるんだった。
クリスにとっては、一角鯨討伐の時に一度会っただけの相手らしい。
声色を僅かに変え、
「それはこちらのセリフだ。どうしてお前がここにいる、勇者クリスティーナ」
「……大切な人を助けるために」
大切な人?
ドリーのことか? それとも国のみんなのことか。
「あなたはどうしてここに!?」
彼女が訊ねたとき、崩落が始まったようだ。
俺がさっき大地を割ったせいかもしれない。
後ろの通路が崩れ、完全に道を塞ぐ。
「この騒動を止めに来た。もっとも、俺の手には負えない相手だがな――」
正直にそう言い、俺は斧を取り出した。
あの時、クリスに見せなくてよかった。
そして、斧を振るう
天井が割れて出口が生まれた。本来なら崩落を促進させることになるんだが、そんなことを言っている余裕はない。
もう夕焼け空も差し込まない。
外は夜になっていた。
「そのドリアードを連れて、早く逃げろ! このアクアリウスは俺が逃がす」
俺が言うと、クリスは黙って頷いた。俺の事を信じてくれたのだろうか?
ドリーを抱え上げて、俺を一瞥すると出て行った。
あいつは本当に何をしにきたんだ?
ていうか、よく転移魔法も使っていないのに俺に追いついたな。全力で走ってきたんだろうな。
「っとそろそろやばいな」
だんだんと振動が広がっていく。
まさに今の一撃がとどめになったらしい。
俺はカリーヌを抱き上げ、大きく跳躍。
天井から脱出した。
そしてそこで見たのは――ユグドラシルにまとわりつくスライムの群れだった。
だが――当然、エントにダメージを与えているように見えない。
ユグドラシルの枝が一薙ぎするたびにスライムが数百匹殺される。
枝が30本動けば10000匹は殺される。
物量作戦もユグドラシルには有効ではない。
だが――
なんだ――?
スライムの数が減らない。
むしろ増えて言っている気がする。
毎秒500匹増えるといっても、それ以上死んでいるはずなのに。




