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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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数の力は暴力的で

~前回のあらすじ~

ベリアル&グリューエル退場

 やばい。

 ヤバすぎる。グリューエルとか名乗る謎の少年によりベリアルが連れていかれた。

 いや、もともとベリアルが死んでいる可能性も考えて、一人で戦うことすら考えていた。だから、いまさらベリアルがいなくなったからといって――やっぱりきつい。


 またもや天井を、壁を、崩落した岩を貫き根っこが俺を襲ってきた。


「くそっ、炎よっ!」


 最後の一発を使い炎で迫りくる根っこを焼き払いながら、洞窟の入り口付近へと走った。迷宮としての機能は完全に失われたのか、魔物は一匹もいないし、光源もない。植物の蔦も全部消えている。


 俺が逃げていると後ろから木の根が来た。

 くそっ、マジか。追いつかれる。


 そう思った時だった。前方から何かが――ってスライム!?


 大量のスライムが前方から来た。

 俺が放ったスライムかと思ったが、それだけじゃない。

 野生のスライムまで混じっている。

 いや、野生のスライムじゃない――あいつらは、俺の配下のスライムだ。


 一体――何が。

 そう思ったら、スライム達は木の根っこにまとわりついた。

 あれは――HP吸収!?


「コーマお兄ちゃん!」

「カリーヌ!? 何でここに!? ていうか、逃げるぞ! 走れ!」


 まさか、俺を助けに!?

 

「ドリーちゃんを探しに来たの!」

「あぁ、そうか」


 お兄ちゃんは別に寂しくない。


「あと、エントの弱点を一つ、マユお姉ちゃんが思いついたの」


 弱点!? マユが?


「エントは植物なら、水をなくせばいいんじゃないかって。だから、みんな連れてきたの」

「みんな?」


 そう聞いたとき、奥から出てきたのは――津波……じゃない、スライムだった。

 そう、俺の配下のスライムだ。

 でも、なんであんなに?


「みんなの協力が欲しいから、アーちゃんに作ってもらったの」

「……あぁ、納得」


 アーちゃん……大天使アークエンジェルスライムは、俺がアルティメットポーションとスライムの核を合わせて作った人工スライムだ。100匹くらい作った。

 それほど便利な魔物だし、アルティメットポーションも余ってたからな。


 大天使アークエンジェルスライムの回復力は強大で、普通の人間なら腕の欠損くらいなら一瞬で回復できるが、スライムには強すぎた。

 一瞬でスライムを破裂させ、さらに回復――結果、大量に分裂することになる。


 スライム達には、俺だけではなく、ルシルや、コメットちゃんやタラ、マユにカリーヌの言うことは聞くように言ってある。だから、そんなでたらめなことをしたんだろう。


 スライムの波は俺を避けてエントへと向かった。


「みんな! コーマお兄ちゃんを守って! エントお爺ちゃんの水を吸っちゃって」


 お爺ちゃんって……。

 でも、逆効果じゃないだろうか?


 逆にスライムを吸収されるんじゃ。


「マユお姉ちゃんが言ってたの。スライムは浸透圧の違いで、ウォータースライムみたいな特殊なものを除き、植物の水を逆に吸い上げるんだって」


 でも、そんなの100匹や1000匹いたって――

 そう思ったら、通信イヤリングが鳴った。


『コーマ、大変! さっき持ち運び魔法陣が開いて――』

「あぁ、そこからスライムとカリーヌが出てきたんだろ!」

『そう! 外は大変なの! 早く来て!』


 大変?


「カリーヌ! 逃げながら教えてくれ! 一体、スライムを何匹作った!?」

「んーと、2時間くらい前に作り始めたばっかりだから……わかんない。とりあえず、ずっと作っておいてって言ってるから」


 ……!?


大天使アークエンジェルスライム何匹に!?」

「全員だよ」


 ……1匹のアークエンジェルが1回50匹のスライムを作る。10秒で1回とします。

 さて、100匹のスライムが2時間に作るスライムは何匹でしょう?


 A:100×50×2×3600/10=3600000。


 つまり、360万匹のスライムが、ここにきている!?


 はははは――っ、そんなバカなことがあるか。

 スライムの洪水は留まることをしらなかった。


 なんでコメットちゃんは止めなかったのか?

 そんなの決まってる。


「凄いアイテムチートだな」


 塵も積もれば山となり、スライムも群れたら海となる。

 この時、ユグドラシルを無数のスライムが取り囲んでいると思われた。


――リーリウム国のみんなはこの世の終わりだと思ってるだろうな。


 なんて思ってしまった。

 でも、こんなんで勝てるほどエントが甘い相手じゃないことは、俺は十分わかっているつもりだ。

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