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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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本の集まる地下迷宮

~前回のあらすじ~

地下の書庫へと向かいました。

 謁見の間の奥に、おそらく隠し扉があったのだろう。

 そこが開かれており、地下に続く階段があった。

 螺旋状に続く階段を下りていく。どのくらい降りただろうか?

 正確な場所はわからないが、恐らく、地下2階か3階か。


 魔力灯の光に照らされながら階段を下りていく。

 そして、ようやく見えた扉はすでに開け広げられていた。


 だが、そこも書庫ではない。


 そこにあったのは、転移陣だった。


 俺とルシルは無言で転移陣を潜る。

 その先にあったのは――書庫などではなかった。


 本はある。

 本はあるんだが――、


……………………………………………………

アイテム図鑑【魔道具】 ★×5


手に入れたアイテム、鑑定したアイテムが自動記入される。

レア度1未満のアイテムは記入されない。

……………………………………………………


 あれ? どこかで見たアイテムが。


……………………………………………………

スキル図鑑【魔道具】 ★×5


覚えたスキル、鑑定したスキルを自動記入される。

ユニークスキルは記入されない。

……………………………………………………


 おわ、なんか見たことのないアイテムも。


……………………………………………………

魔物図鑑【魔道具】 ★×5


倒した魔物、名前を調べた魔物が自動記入される。

瘴気から生み出される魔物のみ記入される。

……………………………………………………


 なんと、コレクター魂を刺激するアイテムが。

 って、ここはなんなんだ?

 特にアイテム図鑑の量が半端ない。


「よっ! 君たちがコウマくんにルチミナちゃんだね」


 待っていたのは、クリスでもタラでも、エリエールでもなく……青い毛の若い男だった。

 褐色肌の爽やかイケメンという感じだ。


「あんたは? ……じゃない、なんでルシルの名を知っている!?」


 ルチミナ・シフィル。略してルシル。

 俺も今の今まで忘れていたルシルの本名は、クリスやエリエールはもちろん、タラも知らないはずだ。

 それに、さっきこいつが言ったのは、コーマではなく、コウマって呼ばなかったか?

 確かに俺の本名は光磨、コーマじゃなくコウマが正しいんだけど。


 でも、そんなの俺が唯一、自分の名前を伝えたルシルでさえも知らないんじゃないか?

 こいつは俺と初めて会った時から「コーマ」と呼んでいた。


「僕はなんでも知っているよ。君が異世界から来た事も、魂の杯によって闇の力を受け継いだこともね」

「あんたは一体何者なんだ」

「僕の名前はブックメーカー。そう呼ばれている。本名はないからそれでいいよ。ようこそ、コウマくん、ルチミナちゃん」

「だから、なんでルシルの本当の名前を知っているんだよ!」

「僕はなんでも知っているんだよ。例えば君の本名が火神光磨だってことも」


 ……なんだ? 何かがおかしい。

 会話がかみ合っているようでまるでかみ合っていない。


「もしかして、今のもすでに言ったことかな? だとしたらごめんよ。僕は何でも知っているけど何もしらないから」


 ブックメーカーはそう語った。

 なんでも知っている? そして、何もしらない?


「コーマ様、来られましたか。書庫はこちらですわよ」

 

 そう言われて行ってみると、奥にはようやく書庫らしい場所があった。

 多くの本……というより、そこはもはや本の迷宮と言ってもいい。


「……いや、本当に迷宮なのか?」


 天井を見ると、うっすら光っている。

 迷宮の天井と似ている。

 クリスとタラが本を流し読みしている。

 文章の内容を確認しているというよりは、ただ単純にエントの文字を探しているのだろう。

 彼女達の動体視力をもってしたら、その文字列を見つけるのも容易いかもしれない。あまりにも集中するあまり、俺が来た事には気付いていないようだ。


「まさかこんな場所()あるとは思ってもいませんでしたわ」

「あぁ、まさか城の地下にこんな場所があるとはな」

「……いいえ、ここは城の地下ではありませんわ」


 城の地下じゃない?

 あぁ、そっか。転移陣で飛んだもんな。


「そうだった。じゃあ、ここはどこなんだ? 迷宮……まさか」

「ええ、ここはラビスシティーから繋がっている迷宮ですわ。しかも……」


 エリエールはそう言って、脇にある扉を開けた。

 その扉には普通の迷宮のような場所が広がっていて、そこに木の人形のような魔物がいた。


 そこに魔物がいるのは、俺も索敵スキルによりわかっていたから驚かない。

 そして、エリエールはその木の人形を一薙ぎして殺した。


 すると……魔石と一緒に木の箱が残る。


「……その箱……まさか」

「ええ、そのまさかですわ」


……………………………………………………

迷宮ボックス【魔道具】 レア:★★★


迷宮が放つ魔力により固く閉ざされた箱。

迷宮の外に持って出ると蓋を開けることができる。

……………………………………………………


 そうか……ここはパーカ迷宮なのか。

 ということは、あのブックメーカーと名乗る男は……もしや。


「もしかしなくても、ここの魔王ですわね」


 俺がぞくりとした。

 魔王の存在はあまり知られていない。

 俺がギルドに報告したのは一角鯨が魔王だということで、人の形などしていると思われていないはずだ。


「……魔王? どうみても人間だろ?」


 ここでの俺のポーカーフェイスぶりは見事だと思った。

 だが――、


「隠すこそはございませんわ、コーマ様。あなたが魔王だということも、わたくしは存じておりますから」


 ……ブラフ……とかじゃないよな。彼女は明らかに俺のことを魔王だと知っている。もしかして、エリエールもまた――、


「…………それってまさか」

「いえ、わたくしはただの人間ですわよ。そして、こういえばよろしいかしら?」


 彼女は笑顔でこう言った。


「わたくしは、あそこにいるブックメーカーのなりそこないなのですの」


 …………え?

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