表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/742

集結する戦士達

 近くにあった大きめの木の上から、エントが成長していく様子を眺めていた。

 想像よりも大きくなっていくその木。

 世界の終わりか、それとも始まりか。

 脳裏に浮かんだのは、あの種……ユグドラシルの種が大樹になったときに名付けられるであろうその名前。


 ユグドラシル――もしくは世界樹。


 だが、聖なる木なんてイメージはまるでなく、太陽をも覆い隠さんとするその木は邪悪なイメージしかない。


「……コーマさん、あの木は一体」


 クリスがエントを見て、震える声で尋ねた。

 この中で彼女はまったく事情を知らないから無理はない。

 カリーヌもエントに関しては何も知らないんだが、ただ木を見上げていた。


「エント……いにしえに封印された化け物らしい」

「化け物なんて生易しいものじゃないけどね」


 ルシルが俺に引き継いで、説明する。説明にはなってないんだけど。

 でも、それ以上に的確に奴のことを説明する文章はない。


「コーマお兄ちゃん、あっちにお姉ちゃんとお兄ちゃんの気配がするよ」


 お姉ちゃんとお兄ちゃん?

 コメットとタラか。


「たぶん、血を流してる」

「まさか、エントに……いや、ベリアルにやられたのか」


 俺はルシルを抱え上げ、カリーヌを背中から抱き着かせ、木から飛び降りる。


「コーマさん、待ってください」


 後ろからクリスが叫ぶが、待ってる暇なんてない。

 カリーヌの指示に従い、走っていく。

 背中にカリーヌの胸の感触がもろ伝わってくるが、それに歓喜する余裕すらないし、ルシルを抱きかかえている時にお尻に手が当たったが、それを思い出す暇もない。

 なんて考えてしまうほど俺は慌てていた。


 記憶に蘇るのは、人間だったときのコメットちゃんがゴーリキに殺されたという知らせを受け取ったときだ。


「大丈夫よ、コーマ」


 俺に抱きかかえられながら、ルシルがそう言う。そうだよな、大丈夫だよな。タラもついているんだし。無事じゃないわけがない。

 さらに走っていくと、倒れているコメットちゃんとタラ、そしてエリエールがいた。


「エリエールさん、二人は!」

「傷は塞ぎましたが、体力の消耗があり今は休ませておりますわ」

「一体、何があったんだ?」


 少し離れたところを見ると、折れた木や砕けた岩があり、壮絶な戦いがあったことがうかがえる。


「暴虐の魔王ベリアルと戦っていましたの」

「ベリアルと……!? なんでそんな危険なことを」

「ベリアルの行き先がコーマ様のいる迷宮だったので、二人が時間稼ぎをと」


 二人が、というがエリエールも手伝ってくれたんだろうな。

 俺のために……か。

 頼むから無茶をしないでくれよ。


「それより、コーマ様。あの巨大な木はなんなんですの?」

「あ……あぁ、エントっていう化け物なんだけどさ」

「……植物の魔王ですかっ!?」


 エリエールが顔を青ざめさせた。


「知ってるのか?」

「え……えぇ、伝承として残っておりますわ。毒が効かないとか、岩をも砕く怪力の持ち主だとか」


 毒が効かない、怪力の持ち主か。

 それを聞きながら、俺はアイテムバッグから、大天使アークエンジェルスライムを取り出した。

 背中から大きな羽を生やした、天使のようなシルエットのスライムが、二人を治療してくれる。


「……コーマ様……ご無事ですか」

「コメットちゃん、頼むから無茶をしないでくれよ。タラもだ。心配したぞ」


 俺がタラに言うと、タラは俯き、


「力が足りず、申し訳ありませぬ」


 そう言って項垂れた。


「でも、よく助かったな。ベリアル相手に戦って」

「ベリアルはあの木を見て去って行きましたわ。エントと戦いに行ったのでは?」


 ベリアルとエントか。

 できることなら潰し合ってくれたらいいんだが。

 それは楽天的かな。


 今一番厄介なのはエントのほうだ。


「エント対策を練らないといけないんだが」

「エントは魔王になる前はこの国の森を守っていた精霊だったと聞きます。リーリウム国の禁書倉庫に行けば何か情報があるかもしれませんが、許可が簡単に出るかどうか」

「……女王の許可があれば入れるのか?」

「ええ。ですが、本来王家の者しか入ることが許されないもので、簡単に入れるとは思えませんが」


 そんなに厳しい場所なのか。

 簡単に入れるとは……


「コーマさーん! 置いていかないでくださいって言ってるじゃないですか」

「うん、簡単に入れるわ」


 クリスがやってきた。

 あのクリスべたぼれの女王相手なら楽々入れるな。


 よし、じゃあクリスを連れて王城に戻って――


「え?」

「あ……」


 あぁ、ややこしいことが起きた。

 クリスが目が合ってしまった。コメットちゃんと。


「……コ、コメットちゃん!? え、死んだんじゃ、え、あれ!?」


 今回はクリスは混乱しっぱなしだな。

 でも、それ以上に俺の頭は混乱していた。

 どうやってこの場を収拾したらいいのか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ