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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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水の精霊からの脱出道具

~前回のあらすじ~

コメット&タラ VS ベリアル


 迷宮の中に作られた牢獄の中に20人くらいの調査団の人達がいました。

 果物が多くあり、彼らの食糧になっているようです。

 リンゴの芯などは通路に捨てられています。

 迷宮の中に捨てられた生ごみは、迷宮が食べると言われ、3時間もすればきれいさっぱりなくなります。

 あまり考えたくありませんが、排泄物も同じ理屈で消えています。


 そのため、悪臭としては、男性20人の体臭のみといったところでしょうか。

 一応、レモンの皮とタオル、水魔法を使える人がいるので魔法による水で清潔保持はしているようですが、それでも風の通らない空間に閉じ込められているせいで匂いは少しきついです。



 その人たちに、私は励ましていました。


「もうすぐ助けが来ますから、安心してください」

「あぁ、ありがとうね。干し肉、助かってるよ。ここにいたら果物ばかりだからね」


 調査団のリーダーのダジンさんがそう言うと、他の人達が手を振ってくれました。

 アイテムバッグに入っていた干し肉は全て彼らに渡しました。

 甘い果物ばかり食べていたそうで、塩分を身体が欲しているとのことでした。


 通路の向こう側にいる調査団の人達を励ましながら、私はコーマさんからの連絡を待ちました。

 あれだけコーマさんを貶しておいて、結局コーマさんを頼りにしている自分がひどく情けないです。


 でも――、


「コーマさんという私の仲間の人が、ここから抜け出す手段を持ってきてくれますから」


 それでもこういう時にコーマさんは頼りになる人です。

 その点は認めないといけません。


 本当は広い部屋だったのでしょうが、唯一の入り口の通路が床から天井まで三本の木が生えていて通れないようになっている。

 しかも、この樹、斬っても斬ってもすぐに再生してしまいます。

 中にいる調査団の人達も斧で切ろうとしたり、酸欠覚悟で火を付けて燃やそうとしたんですが、炎が広がることなく火が消えてしまったそうです。


 迷宮の壁は、ラビスシティーのそれと同じで傷一つつけることができません。

 八方塞がりです。


「なぁ、コーマって男、あんたのいい人なのかい?」

「いい人? そうですねぇ、コーマさんはいい人ですけど」


 でも、最近よくわからないこともあります。

 コーマさんの優先順位がはっきりしすぎていて。


「そうじゃなくて、あんたの恋人か? ってことだよ」

「え?」


 恋人? 私とコーマさんが?

 そんなわけないじゃないです……よね。

 私とコーマさんの関係なんて……最初は一緒の部屋で寝ましたが。

 あぁ、一緒の部屋で寝ていたんですね……今更ですが……。

 

 で、でも、コーマさんは年下ですし。


「おや、図星かい。いいなぁ、若いって」


「クリスお姉ちゃぁぁん!」


 手を振って近付いてきたカリーヌちゃんを見て、緊張感のない子だなぁと思いました。

 最初はその見た目に驚きましたが、とても純粋でいい子のようです。

 まぁ、コーマさんの知り合いなんで、悪い子じゃないとは思いますが、ルシルちゃんまでコーマさんの知り合いとは思いませんでした。

 しかも、あのコーマさんの師匠というから驚きです。


 ただ、バナナ一本から魔物を生み出す能力は、確かに並みの錬金術師ではありません。恐ろしいです。


「これ、コーマお兄ちゃんから預かってきたよ」

「これ……コーマさんの言っていた転移陣……」


 これなら――


「ダジンさん! これを床に敷いてください!」

「これは? というか、その子は何だい!? 普通の人間じゃないだろ」


 ダジンさんはカリーヌちゃんを見て驚きを隠せないでいます。

 あぁ、なんて説明したらいいんですかね。ゼリーが人間になった、と言っても信用できないでしょうね。


「カリーヌはアクアリウスだよ」

「アクアリウス!? 水の精霊様!?」


 アクアリウス?

 そういえば、コーマさんと以前話したことがあります。

 もしかして、カリーヌちゃんのことを誤魔化すために聞いたのでしょうか?

 なら、利用させてもらいます。

 リーリウム国の人は、森に覆われた国のため、水と木の精霊を大切に思ってる人が多いです。


「そうです、彼女は水の精霊です! 皆さんを助けるために来てくださいました」

「おぉ、皆! 水の精霊様が助けに来てくれた! 早くこの布を敷くんだ!」


 ダジンさんがそう言って、床に転移陣を敷きました。

 魔法陣が青く輝きます。


「そこに入ってください! 外に出られます」


 どこに通じてるのかわかりませんけど。

 とは、口が裂けても言えませんでした。


「よし、みんな、俺に続け!」


 ダジンさんが魔法陣の中に入って行きました。

 ラビスシティーにあるものと同じように、その姿が消えてなくなります。

 その後も15人ほどが後に続き、4人が残りました。


「大丈夫です、勇者である私と、水の精霊のカリーヌちゃんを信じてください。リーリエ女王陛下に、皆さんに慰労金を出すように言っておきますから」


 私がそう言うと、4人は覚悟を決めて魔法陣の中に入って行った。

 そして、魔法陣のみが残され、


「クリスお姉ちゃんも入る?」

「いえ、私達はコーマさんのところに戻りましょう。これをコーマさんのところにもっていかないと。カリーヌちゃん、案内してください」

「うん、わかった」


 きっと、コーマさんは今、木の魔王と一緒にいる。

 ならば、私がするべきことは……一つしかありません。


 



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