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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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木の牢に入るは木の魔王

~前回のあらすじ~

カリーヌがどこかにいった。

「カリーヌ! どこにいる!?」


 叫べども、カリーヌの姿はどこにもない。

 どこにいったんだ?


 敵は俺達が来た方向から湧いて現れたから、奥へと進んだ?

 いや、それだけじゃない、俺が通れなかった木々の隙間もカリーヌなら進むことができる。

 ……仕方ない、あの手を使うか。


 俺はアイテムバッグから、彼らを呼び出した。

 スライム集団。

 俺が作り出したアイテムのスライム、大半は迷宮の中に配置したが、一部はアイテムバッグの中で待機してもらっていた。

 といっても、アイテムバッグのなかは時間が経過しないので、彼らにとってはついさっき入れられて、すぐに出された感じなんだろうが。


 スライム5匹を含め、大量のちょっと変わったスライム、計50匹を出していった。

 クリスが何なのですか? と聞くので、カリーヌと同じように失敗した料理で、元は料理だからアイテムバッグのなかにも入れられるんだ、とウソを説明。

 本当はスライムの核から俺が作り出したスライムたちだ。

 種類は魔法生物となっている。


「お前等、カリーヌを探して、ここに戻ってこい! 魔物に遭遇したら倒せるなら倒す、倒せないなら逃げる!」

「待ってください、コーマさん! その命令に調査団の人の捜索も――」

「以上だ! GO!」

「コーマさんっ!」


 クリスの声を聴かず、俺はスライム達に行くように命じた。

 スライムたちは俺の合図とともに、スライム達は後ろに前に走り出した。木々の僅かな隙間を入り込むスライムもいる。


「よし、俺達も奥に行くぞ」

「待ってください、コーマさん! なんで調査団の人の捜索をしてくれないんですか」


 クリスが俺の前に回り込み、行く手を阻む。

 だが、俺はそのクリスの肩を横に押して前に進みながら言った。


「俺は調査団全員の命とカリーヌの命を天秤にかけたら、カリーヌの命を取った。僅かな時間のロスが危険につながるかもしれない」

「人の命は平等ですよっ!」


 クリスが言い切る。

 はじめてだ。

 はじめて、クリスの勇者としての正義論にイラっときた。

 だから、俺は無視する。


「ルシル、カリーヌの魔力の波動とかってわからないか?」


 俺がそう尋ねたら、ルシルは俺の横に駆け寄り、


「わからないけど、この迷宮の魔物は植物よ。植物の魔物は水と親和性が高いの。カリーヌは水の塊のようなものだから、呼び寄せられたのかもしれないわ」

「呼ばれた……(魔王にか)」


 クリスに聞こえないように小声で尋ねる。


「とにかく、最奥を目指しましょう」


 ルシルはそう言って奥へ行く。


「ああ。ただし、危険だと思ったら脱出する。それだけは変わらないぞ」

「……わかったわ」


 例えカリーヌが見つからなくても、と俺の内心を読み取ったのか、ルシルは伏し目がちに頷く。

 俺にとっての第一は、ルシルの身の安全だ。

 後ろを向くと、クリスがこちらを睨みつけながらも付いてきた。


「ルシル、魔石が20個ある。持っていろ」


 さっき拾った魔石をルシルに持たせる。

 この魔石があれば、ある程度の魔法は使えるようになる。


「わかったわ。それより――」

「あぁ、敵だな! 」


 前方から、花の形のした魔物が現れたので、俺は轟雷の杖を握り、その杖を振るった。



   ※※※


 怖い、怖い、怖い、怖い。

 誰かが来る。私を助けてくれた植物達が死んでいく。

 それを感じ取る。

 怖い、怖い、怖い、怖い。


 お願い、あの人達を追い払って!


 私がそう願うと、近くにいる木が花が、根を動かして侵入者のほうに向かっていく。

 そして、死んでいく。


 倒されている。お願い、助けて。


「カリーヌを呼んだのは、お姉ちゃん?」


 そう、声をかけられた。

 なんで? ここには誰も、誰にも入ってこれないはずなのに。


 でも、その声は聞こえた。

 私がいるのは木の牢。

 自分で作った、とても硬い植物の牢。

 誰も入ってこれない、そのはずなのに。


 そう思ったら、木々の隙間から水が漏れ出るように――彼女は現れた。


 半透明の水のような女性。


「い……いや! 助けてっ!」


 私はそう言って、赤い花の友達、ロサに頼む。

 ロサは私のお願いを聞いて、半透明の女性に棘を飛ばした。

 でも、その棘は女性の身体をすり抜けてとんでいった。


「大丈夫だよ、カリーヌは敵じゃないよ。お姉ちゃんに呼ばれてきたの」

「私が……呼んだ?」

「うん、助けて、助けてって。だから、カリーヌは来たんだよ」


 半透明の女性――カリーヌはそう言った。

 確かに、私はずっと誰かに助けを求めていた。

 ここに来てからずっと、ずっと、ずっと助けを求めていた。


「あなたが私を助けてくれるの?」

「えっと、カリーヌは無理だけど、お兄ちゃんならきっとお姉ちゃんを助けてくれるよ」


 カリーヌは笑って言い、そして私に尋ねた。


「お姉ちゃんはなんで根っこが生えてるの?」

「えっと、こうしないとみんなと繋がれないから」

「そうなんだ」


 そう、私は人間じゃない。

 ここに来て、私は初めて自分の正体を知った。

 私は――魔王だから。


 木の魔王だから。

 そして、私はこの子を守らないといけないから。


 だから、私は彼女に尋ねた。


「本当に……助けてくれるの?」

「うん、コーマお兄ちゃんならきっと助けてくれるよ」


 このままでは絶対にこの子を助けられない。

 だから、私は彼女にすがることにした。

 お願い、助けて、と。

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