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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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黒い服の護衛に囲まれ国内散策

~前回のあらすじ~

鬣の男はベリアルでした。

「こんにちは……あれ? どうしたんですか?」


 タラがベリアルの名を告げた時、マユさんが入ってきた。

 顔には相変わらずウォータースライムが被せられている。


「いや、ごめん。今、ベリアルについての話を……」

「もしかして、一角鯨のことですか?」

「いや、違うけど。ていうか、なんで一角鯨?」


 全く共通項が見当たらない。


「……一角鯨はベリアルの部下です」


 言ったのは、タラだった。

 え? 一角鯨が?

 確かに、マユさんは他の魔王に攻められた、みたいな話をしていたけど。


「でも、ベリアルのHP見たけど、一角鯨のHPの1万分の1くらいしかなかったぞ」


 確かに強そうではあるが、轟雷の杖一撃で倒せるんじゃないだろうか?

 そう思ってしまう。


「……コーマ様の会ったベリアル様……いえ、ベリアルは人の姿をしていたんじゃないですか?」


 あぁ、確かに人の姿を……ってそうか。

 ルシファーや俺が力を解放した時に竜の姿になるように、マユさんの姿が本当はマーメイドであるように、あいつも本来の姿があるのか。

 そして、その姿の時が……んー、想像したくないな。


「……実は、某は一度、蒼の迷宮でベリアルと会っているのです」

「なんだってっ!?」


 そうか、あの時か。

 魔剣グラムを持って姿をくらました日があった。

 大怪我を負って帰ってきたときだ。

 その時、ベリアルと会っていたのか。


「ベリアル……奴に一太刀でも与えることができれば、蒼の迷宮から身を引いてくれるよう頼み、勝負を行いました」


 ベリアルは戦うことを何よりも好む魔王だとタラは言った。

 だから、絶対にその挑発を受けると思っていたと。

 そして、実際に勝負は行われた。

 タラにとって命がけの、そしてベリアルにとって遊びの勝負が。


「それで、お前は勝ったのか?」


 タラは首を横に振った。


「勝ったとはとてもではないが言えません。遊ばれていた。遊ばれ、主の持つ魔剣グラム――その剣の威力を自分の身体で確かめたくなった」


 そして、ベリアルは笑って帰って行ったそうだ。 

 また遊ぼうぜと。


 俺と会ったあいつは言っていた。


『前はうちで前飼ってたワンコを褒めたぞ?』


 それが、奴にとっての最大の賛美だったんだろうな。


「……なんでベリアルはリーリウム国にいたんだと思う?」

「わかりませぬ。ベリアルは最強であり、最強であるがゆえに気まぐれ。何を考えているのか全く――」


 まぁ、そうだよな。

 俺も見る限り、あいつは何か考えて行動をするタイプじゃない気がする。

 本当に気まぐれ。だからこそ怖い。

 どこに発生するかわからない台風のような存在だと思う。


「タラ、コメットちゃん、前に渡した力の神薬はまだ残ってるよな?」


 二人が頷く。二人にはもっと強くなってもらわないと。

 もちろん、俺も。

 そして、ルシルにも。


「ルシル、お前は何かベリアルについて知っているか?」

「知らないわよ」

「……本当に何も知らないのか?」

「本当に知らないわ。どうして?」

「いや……」


 とはいうが、ベリアルか……偶然とは思えないんだよな。


 ベリアルは、俺たちの世界の神話に存在する悪魔の名前だ。

 堕天使であり、そして、俺達の世界の神話に登場する悪魔と同一であるとも言われている。


 ルシファーとベリアル。二柱の堕天使であり悪魔はどちらも同じ名前で呼ばれる。


「みんなに聞きたい。こんな名前の魔王はいるか?」


 ルシファー、ベリアル、二柱の悪魔と同一だと言われる悪魔の名前を告げた。


「サタン――サタンという魔王は存在するか?」


 俺の問いに、全員が首を横に振った。

 あ、うん、カリーヌが知らないのは知ってる。


 いないのか。もしくは、みんなが知らないだけか。


 ただ、偶然ということはないだろう。

 ルシファー、ベリアル……彼らが存在すると言うことは、神話とこの世界が関係し――違う。

 この世界の魔王の名前を基に、俺達の世界の神話は作られた。


 ならば、存在するのか?


 天界が。天使が。神が。


 

   ※※※



 で、翌朝から、予定通り観光が始まったのだが。

 落ち着かないな。


「コメットちゃん、タラ、あんまりくっつかれたら動きにくいんだけど」

「安心してください、コーマ様。ベリアルの臭いはしません」

「気も感じません」


 うん、臭いを感じないのはわかるけど、気を感じるって、スカ○ターも持っていないのに、タラは一体どこのZ○士なんだ?

 コメットちゃんとタラの厳重な警備の中、俺は町を歩いていた。

 目立ちたくないと言う理由で、二人の依頼通り黒い服を作ったが、余計に目立っている。あと、視線を読まれたくないからとかいう理由でサングラスを作ったが、これも目立ちすぎ。


「あぁ……とりあえず、森に行こうか」

「流石は主。森のほうが余計な匂いがないですからな」

「でも、コーマ様、巻き込む人がいないからって戦わないでくださいね。もしもベリアルさ……ベリアルが襲ってきたら私達が時間を稼ぎますから、コーマ様は逃げてください」

「もし仮にそんなことになったら、持ち運び転移陣に逃げ込んで、向こうの持ち運び転移陣を燃やして消し炭にする、そう決めただろ」


 ていうか、恥ずかしいんだよ。

 一体、どこのVIPだ! と自分でツッコミを入れたくなるくらい恥ずかしい。

 昨日、クリスの名前で祭りを開いてただでさえ悪目立ちしたからなぁ。


 それにしても、クリスに昨日から連絡がない。

 ベリアルに襲われた、とは思っていないが……それでも、無事だろうか?


 いろんな意味で。

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