食事はみんなで食べたほうが美味しい
~前回のあらすじ~
クリスを売った。
リーリウム城下町は賑わいがあった。
さて、本来なら約束通りルシル達を呼びに行くのだが、その前に俺個人の用事を済ませたい。
つまりは、雑貨店めぐり!
いやぁ、やっぱり、俺の本業は魔王とか勇者の従者なんて俗物よりも、アイテムマスターという崇高な職業だと思うんだよね。
そのために、アイテムの把握は欠かせない。
ということで、まずは目につく雑貨店に。
ちなみに、現在の金貨は420枚。
フリーマーケットのオーナーを辞めてから、アイテムを卸すとメイベルが、
「コーマ様はもうフリーマーケットのオーナーではないのですから、適正価格で買い取りをさせていただきます」
と金貨を押し付けてくるので、仕方なく受け取っている。
まぁ、200枚は一応、冒険者ギルドの口座に入れてあるが、220枚はアイテムバッグの中に入っている。
ということで、予算的には気にせず買い物をしよう!
「八百屋発見! うぉー、さすが森の中! 見たことのないキノコや野菜がたくさんある!」
50種類はあるな。
全部うまそうだ。
「いらっしゃい、テンション高いねぇ」
「ん? あぁ、最近我慢していた気がするから。おっちゃん、この野菜全部ほしいんだけど」
「あいよ、全種類とは豪快だね」
「いや、ここにあるもの全部」
「は? あんた何言ってるんだい、これ全部で銀貨40枚はするよ」
「あぁ、銀貨40枚、ほい!」
10枚束になった銀貨を4束、おっちゃんに渡す。
「ま、まいどあり! いま包みますね」
ゴマをするおっちゃんに俺は遠慮し、
「ああ、いいよいいよ。鞄に直接入れるから」
俺はそういい、カゴの中のキノコをアイテムバッグの中に入れていく。
「あぁ、あと、あと毒キノコとかって売ってない?」
「毒キノコ? 仕入れにまじってたキノコならいくつかあるけど」
「それ売ってくれ! 銀貨1枚で!」
「あ、あぁ。ちょっと待ってな」
店主が持ってきたキノコ30本。
「よし、じゃあ銀貨30枚で」
「ちょ、1本銀貨1枚かよっ!」
「ん? 足りないか!」
「バカ野郎! こっちは真っ当な商売をしてるんだ、30本で銀貨1枚だよ」
……あぁ、そういえば、銀貨1枚1万円くらいか。
やばい、テンション上がりすぎて金銭感覚が麻痺していた。
店の商品買占めって、考えたらこれから野菜を買おうとする人全員に迷惑じゃないか。
俺、バカすぎるだろ。
「あぁ…………うん、そうだ! おっちゃん、お願いがあるんだけどさ」
「なんだい?」
「実は……ごにょごにょ」
俺は思いつきの提案をおっちゃんに言うと、
「ほぉ、そいつは面白そうだね。どうせ今日は店じまいだしさけど、本当に可能なのかい?」
「ああ、食べ物は粗末にしたらいけないしさ。じゃあ頼むな。場所は広場にするから」
よし、これでアイテム作りまくれるな。
じゃあ、次はどこに行くかな。
とりあえず、両替商にいって、金貨を銀貨に変えるか。
銀貨がいまのでなくなっちまった。
「あの……お花買ってくれませんか?」
女の子がそう言って花の入ったカゴを持ってきた。
10歳くらいの女の子だ。
「うん、買った。はい金貨1枚。また知らない花だぁ!」
「ふぇっ!? ふぇぇぇっ!?」
女の子は金貨1枚を握ったまま、目を白黒させていた。
でも、咄嗟にあたりを見回して、他の人に見られる前にポケットの中入れるのは流石だと思う。
「あ、カゴ返そう……って、もういない」
うん、強い女の子だ。この国の将来は明るい。
でも、本当にこの花は金貨1枚の価値はある。
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光の花【素材】 レア:★★★
光を集める性質のある花。花開くには、一定以上の日照時間が必要。
夜になると枯れてしまう運命がある。花言葉は儚い夢。
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彼女がこれをどこで摘んできたのかは知らないが見事に咲いている。
そして、これは、光属性の道具の材料になるらしい。
節約しようと決めた俺がいきなり金貨1枚を出したとしても、誰も責められないだろう。
日没時間まで残り3時間くらいか。
とりあえず、宿屋に戻って、これを全部アイテムに変えよう。
ということで、宿屋にダッシュ。
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光の巻物【巻物】 レア:★★★★
光の魔法書。使用することで光魔法を複数覚える。
修得魔法【明かり】【浄化】【聖域】
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おぉ、できた。
とりあえず、俺が使ってみる。
【光魔法スキルを覚えました】
【【明かり】【浄化】【聖域】を覚えました】
【光耐性値が上昇しました】
【×××のレベル効果により、光魔法スキルレベルが3に上がりました】
【最大MPが15上がりました】
うん、覚えられた。
そして、光の巻物は、白紙スクロールに戻る。
もう一個作っておく。ルシルに覚えさせるためだ。
あと、光の杖、ライトボム、聖なる剣まで作った。
聖なる剣ってかなり強そうな武器だよなぁ。
実際は、アンデッド系に効果が高いってだけの剣ぽいけど、聖騎士とかに高く売れそうだ。
ふぅ、なんとか光の花は使い切った。
って、やばい、時間がない。
俺はとりあえず、酒場に向かい、
「マスター、かくかくしかじかで、酒を金貨1枚分売ってくれ」
「うちは酒屋じゃねぇが、確かにそいつは面白そうだ! 今日は店じまいだ、すぐに届けるよ!」
次に、肉屋に向かい、
「おばちゃん、そういうわけで牛一頭! 金貨1枚分!」
「そういうわけってどういうわけだい! でも、面白そうだねぇ、うちの肉全部持っていきな! 釣りでパンを届けさせるよ」
金貨1枚で肉を全部購入。
さて、これで準備は整った。
え? 準備は今からじゃないかって?
俺のアイテムクリエイトを舐めるなよ?
ということで、再び宿屋に戻った。
そして、部屋中に買った材料を取り出す。
あとは――
「アイテムクリエイト!」
「アイテムクリエイト!」
「アイテムクリエイト!」
「アイテムクリエイト!」
「アイテムクリエイト!」
「アイテムクリエイト!」
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俺のアイテムクリエイト連発は予定時間の10分前まで続いた。
そして、予定時間、開場30分前。
俺はそれらをアイテムバッグから取り出した。
「おいおい、マジかよ。本当に入ってるのか?」
開場設置の陣頭指揮を執ってくれた八百屋のおっちゃんは半信半疑のようだ。
「ははは、冗談であんな大金は払わないよ。実際、酒は届いてるだろ?」
「おう、酒さえ飲めれば俺は文句ねぇが」
「じゃあ、出すから、頼む、みんな並べて行ってくれ」
俺はそう言って、アイテムバッグから、ピザを取り出す。
フルーツ盛りを取り出す。お好み焼きを取り出す。フライドチキンを取り出す。
パスタを取り出す。麻婆豆腐を取り出す。ザンギを取り出す。
厚切りステーキを取り出す。ベーコンサンドを取り出す。焼きトウモロコシを取り出す。
キノコ鍋を取り出す。キノコソテーを取り出す。あ、このあたりはキノコ料理か。
キノコスパを取り出す。松茸土瓶蒸しを取り出す。
全部皿に乗っている、鍋に入っている、土瓶に入っている状態で取り出す。
え? 食器類はどこで用意したかって?
アイテムクリエイトで作ったら皿も一緒についてくるんだよ。
ポーションを作ったら薬瓶があるのと同じ原理だ。
ということで、半分の料理を取り出したときには、テーブルの上がいっぱいになった。
「おい、コーマ! もうテーブルがいっぱいだ!」
「まだ料理が半分以上残ってるんだが」
「いや、それは後で出してくれ! 匂いを嗅ぎつけた奴らが集まりだした」
「仕方ない、じゃあ、始めようか!」
そして、俺は八百屋のおっちゃんに頼んで、横幕を上げさせた。
【勇者クリスティーナ主催~世界の料理食べ放題大会 入場料無料~】
その横幕が上がると同時に、会場に人が押し寄せた。
クリス「え? 私?」




