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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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ドラゴンライターは大当たり

~前回のあらすじ~

どこかで誰かが魔王のようです。

 迷宮の奥。泥人形の持つ土の剣を鉄の盾で受け止めると、土の剣は泥へと変わり盾を汚した。

 直接身体で受けても泥で汚れてしまうだけという、攻撃と呼ぶにはあまりにも稚拙な攻撃だが、シャワールームなんてものが存在しない迷宮の中だと地味に腹が立つ攻撃だ。

 俺が盾で攻撃を受け止めている間に、クリスが横から木の枝で突いた。


 木の枝は見事に泥人形の核となる部分を突いたらしく、人形は崩れ落ちてただの泥へと戻った。


土人形核アースドールコア】、そう呼ばれる魔物が泥を操っていたのだ。

 魔物の中では最弱種であり、ピンポン玉程度の大きさで木の枝程度でも倒せる。ただし、土人形の中にいて、そのコアを攻撃しないとダメージが全く通らない。


 そして、崩れ落ちた泥人形の中に、ドロップアイテムの小さな木箱を見つけた。


「よし、これで20個目! 順調だな!」


……………………………………………………

迷宮ボックス【魔道具】 レア:★★★


迷宮が放つ魔力により固く閉ざされた箱。

迷宮の外に持って出ると蓋を開けることができる。

……………………………………………………


「コーマさん、本当に1個銀貨1枚で買い取ってくれるんですか!」

「ああ、ウソは言わない! 次に行くぞ!」

「はい!」


 とりあえず、今日の目標は200個だ。

 ちなみに、この迷宮は人形系の魔物が多く、さっきのように土を操って人形になる魔物だけではなく、ゴーレムも多い。

 勇者試験の会場となった迷宮にいたアイアンゴーレムや、他にもウォーターゴーレム等のゴーレム。

 人形を操るマリオネッターという悪魔等もいる。全員等しく迷宮ボックスをドロップアイテムとして落としてくれるが他にもアイテムを落とす。

 おかげで、多くの素材が手に入った。今夜はアイテムクリエイトで眠れそうにない。


 エリエールのおかげだな。


 サフラン雑貨店のオーナーにして勇者でもある彼女から教えてもらった迷宮。

 許可のある人しか入ることができないが、彼女の力で、クリスと俺達にもこの迷宮の探索許可が下りた。

 実は、冒険者ギルドに多額の出資をしている貴族が秘密にしている迷宮らしく、クリス相手というより、俺だから許可が下りたということらしいが。


 ……たぶん、そういうことだろうな。


 こっち側の人間にしかわからない事情だろう。俺も気持ちはわかる。

 まぁ、せっかくの厚意だ。ここは集めないといけないな。


 その日、朝から迷宮に篭り、200個集まったのはすでに日の沈む時刻だった。

 10階層に戻り、あとは転移陣をくぐれば地上といったところだ。


「……よし、クリス。約束の礼だ」


 俺は快くクリスに金貨2枚を渡す。クリスはその金貨を、穴が開いてしまうのではないかと思うほど凝視して、


「お金って……こんなに簡単に稼げるものでしたっけ?」

「……で、これが今月の返済分な」


 俺はクリスから金貨を1枚取り上げた。


「あう……でも、金貨1枚あれば、普通の人は4ヶ月遊んで――」

「あと、前に使った薬代と、払ってなかった武器防具のメンテ代な」


 残りの1枚を取り上げた。


「……あの、コーマさん……さすがにひどくないですか?」

「酷いと思うなら借金をするな。利息とってないだけありがたいと思え」


 元は年利3%だったのだが、アイテムバッグを購入したときに借金の総額が金貨100枚近く、日本円にして1億円近くなってしまったため、アイテムバッグ代を払い終えるまでは利息は取らないと取り決めた。

 まぁ、もともと俺のためにアイテムバッグを買おうとしたわけだし。

 それだけでも十分すぎる恩情だ。

 俺がたしなめるように言うと、 


「……はい」


 クリスは反省してくれたようだ。

 まぁ、クリスに金を持たせても、どうせ誰かに騙し取られるだけだろうから、俺が預かっておいてやるよ。

 フリーマーケットの寮に住んでるから、食費や家賃も無料だしな。


「ほれ、お釣りだ」


 俺は財布から銀貨を数枚取り出して、クリスに握らせた。

 一日分の収入としては十分すぎる銀貨を見て、


「コ……コーマさん、ありがとうございます」


 目をうるうるさせて喜んだ。

 これはこれで鬱陶しいな。

 ここで話題チェンジ。


「でも、金を稼ぎたいのなら、やっぱりエリエールみたいに、新しい迷宮を発見したいよな」

「ですね。迷宮を発見したら五年間独占探索できますから、珍しい素材などがあったら独占販売できますから」


 実際に、エリエールは宝石の原石が多く採れる迷宮を発見して巨万の富を築いた。


「そういえば、前に怪しそうな場所を見つけたんだが、もしかしたら、あれがそうだったのかもな。いや、違うかも」

「怪しそうな場所ですか! 行きましょう! 勇者の勘が告げています! そこに新たな迷宮があると!」


 勇者の勘って、俺が見つけた場所って言っただろ。

 まぁ、本当は最初から知っている場所なんだが。


 暫く歩いて、俺は隠し扉のある壁の部分まで来た。


「……ここですか? ただの壁に見えますけど」

「いやな、ほら……ここの岩と岩、僅かだけど線が入ってるんだ」

「……あ、本当ですね。もしかして――」


 クリスはその岩壁を強く押した。

 もちろん、俺の知っている通り岩壁が忍者屋敷の扉のように開く。


「……やっぱりあったか。あぁ、でも迷宮じゃなく宝箱だけだな」


 小さな部屋の中央に、大きめの宝箱が置かれている。

 クリスはその宝箱の中を覗き込んで、ため息をついた。


「しかも空っぽですね……コーマさんの勘、大外れですね」

「大外れはお前の勇者の勘だろ」


 俺はそう言って、宝箱にもたれかかる振りをして、手を後ろにまわして強く押した。

 すると、宝箱がずれ、隠し穴が現れる。


「こんな仕掛けになってたのか!」

「私の勇者の勘は間違いじゃなかったですね!」


 そして、俺たちは穴を覗き込み、穴の下でこちらを見上げるミノタウロスと目が合った。

 あらかじめ、ルシルの命令で待機してもらっていたミノタウロスだ。


 俺たちはとりあえず宝箱を元通りに戻し、


「やりましたね、コーマさん! 大発見です!」

「ああ、早速ギルドに報告に行くぞ!」

「はい!」


 こうして、俺の思惑通り、ルシルの迷宮は発見された。


   ※※※


 ――と思ったのだが、


「その迷宮ならすでにギルドで把握している。そうか、魔物が再び現れたのか。報告ご苦労だった」


 ユーリはそう言い、「他に何か用があるのか?」という目でこちらを見てきた。

 ルシルの迷宮はすでにギルド側に把握されていた?


「あの迷宮、ユーリ様は御存知だったんですか?」

「そう言っている。私だけではない。あそこはかつて、闇竜がいた迷宮で我々が探索し、闇竜を討ち取った迷宮でもある」

「…………闇竜」


 クリスがポツリと呟く。

 ルシルの父ちゃん、ルシファーのことだ。


「闇竜を打倒したが、とても深い迷宮のため、我々が封印した。ただ、ミノタウロスは確かいなかったはずだ。何か迷宮に変化があったのだろう。その報告だけでも助かる。レメリカにいって特別報酬を出させよう」

「あの、じゃあ、宝箱を置いたのは?」

「あれを置いたのは私の仲間だ。隠し扉を作ったのもな」

「どうしてそのようなことを?」

「君たちには関係のないことだ」


 答えるつもりはない、そうユーリは言っている。

 考えてみればルシファーを殺した七英雄が持っていた剣が、魔剣グラムだとルシルは知っていた。

 つまり、ルシファーと七英雄の戦いをルシルは見ていたことになる。

 それはどこでだ?

 もちろん、ルシルの迷宮の中に決まっている。


 だが、俺はそれを否定していた。

 理由は二つある。

 一つは、ルシルが無事に生きていたこと。

 そしてもう一つは、元祖魔王城にあったというルシファーコレクション、そして死者の杯の存在だ。

 ルシルの迷宮でルシファーが討伐されたと言うのなら、なぜそれらの秘宝は無事だったのか。


 納得のいく答えがない。


 とはいえ、おそらく答えてはくれないだろう。

 質問するわけにもいかない。あの迷宮と俺の関係性は極秘事項だ。


 横を向くと、ルルが手を振っていた。

 俺たちは部屋をでるしかなかった。



   ※※※



「というわけで、迷宮ボックス開封の時間だ!」

「……コーマさん、うれしそうですね」

「そうか? だってずっと行きたかったんだよ。まずは1個目だ」


 とりあえず、俺は

 俺は迷宮ボックスを開封した。


 黄色いカナリアの指人形が出てきた。

……………………………………………………

パーカ人形〔カリア〕【雑貨】 レア:★


パーカ迷宮で拾うことのできる指人形。全97種類ある。

ミナの飼っていたカナリア。今は鉱山で働いている。

……………………………………………………

 たぶん、ハズレの部類だろう。まぁ、初めての種類なのでとりあえずラッキー。

 ちなみに、鉱山で働くカナリアというのは、もちろんあの危険なお仕事だ。


 今度はおばさんの指人形だった。


……………………………………………………

パーカ人形〔ジョアB〕【雑貨】 レア:★★★


パーカ迷宮で拾うことのできる指人形。全97種類ある。

パーカの家の隣に住むおばさん。いつも料理を作りすぎる。

……………………………………………………


「おぉ、当たりだ!」

「え、このおばさん人形が当たりなんですか?」

「ほら、見てみろ、このジョアさんの髪。これは散髪に失敗したときの髪型バージョンなんだ」

「え? それだけですか?」

「くぅ、お前にはわからないか、この魅力」


 ヒロインのミナは一種類しかないのに、ジョアは二種類あるとか、面白いよな。

 ちなみに、主人公のパーカはA~Fの全6種類ある。

 一番レアなのは、パーカFの風邪引きバージョンで、出現率は0.01%だとか。


 とりあえず、俺は棚に指人形を飾っていく。

 10個ほど開封したところで、前にあげたミック人形が出てきた。

 さらに開けていくとダブりも出てきた。

 200個開けて60種類なら、まずまずだろう。

 ちなみに、一番の当たりは、


……………………………………………………

パーカ人形〔ドラグ〕【雑貨】 レア:★×6


パーカ迷宮で拾うことのできる指人形。全97種類ある。

シアナがかつて倒したドラゴン。炎を吐くギミック付き。

……………………………………………………


 実際に指にはめて力を入れると、ライター程度の火が出てくる。

 コレクション本によると、出現率1万分の1らしく、まさかいきなり手に入るとは思わなかった。

 ちなみに、シアナとは、パーカの母親だ。


「凄いと思わないか、クリス……って帰ったのか」


 俺は嘆息をつき、とりあえずダブったパーカ人形はアイテムバッグの中に収納。

 そして、残りを鍛冶工房の奥の俺の寝室に飾ることにした。


 強化ガラスのケースの中に入れて、鍵もかけないとな。

 一応、工房もアンちゃんが勝手に入って怪我をしないように鍵をかけているが、あっちの鍵は一般的な差し込み式の鍵だが、こっちは俺の魔力で開錠できる魔力錠にしておこう。

 

 あぁ、久しぶりにコレクターやってる気がする。

 明日も行きたいなぁ、パーカ迷宮。

後書きに何も書かないと、不安になる。

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