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旅立ちと絶望

翌日の朝、 食堂で朝食を待っていた。

今日でこの街とお別れだなぁ。

最近溶け込んできたのか、 プレイヤーと住民の区別も分からないなぁ。

おっ⁈ ご飯が来たキター。


「あっ、 そうだ。 次の街ってどこにあるんですかぁ?」


「街の場所も分からないのに旅に出るのかぁ。 凄いと言うか無謀だなぁ。 まぁ次の街はこの街の北を真っ直ぐ行くと森が見える。

森を抜けたらラビホって名前の町があるはずだ。 そこまで詳しくはわからないがラビホより更に北に行けばナルティアの都ってのがあるって聞いた事がある。 ここからラビホまでが約2日ぐらいかかるぞ」


そんなにかかるのかぁ。

大変そうだけど違う場所にも行ってみたいから頑張るかぁ。


「おっちゃんありがとッ。 食べたらそのラビホ? って町に向かってみるとするよ」


「あぁ。 又この街に来た時は泊まっていきな」


僕は、 にこやかな顔でお辞儀をする。


朝食を食べ終え、 ハト宿を後にする。

昨日行けなかった食材を買いに行こう。


食材売り場に来たのはいいが、 200Rで何が買えるのだろう?

色んな野菜や果物は販売しているんだけど主食となる物が欲しいんだよぉ…

あっ… 屋台に行けば何かあるかなぁ? よし早速行ってみよう。


主食… 主食… 主食。


「あっ‼︎ やっぱりあった。 おむすび‼︎

よし。 買えるだけ買おう」


トタトタと屋台まで向かい、


「すみませーん。200Rで買えるだけ下さい」


屋台のお姉さんはニコニコしながら対応してくれる。


「200Rでおむすび20個だけどいいの?」


1個辺り10Rかぁ。安いのかなぁ? アイテムボックスに入れとけば腐らないし20個でも問題ないや。


「はい。 20個下さい」


「どのおむすびにしますかぁ?梅干し、 たくわん、 昆布、 おかか がありますが?」


「全種類5個づつ下さい」


うーん… 有名なシーチキンや鮭がないのかぁ…

無い物はしょうがない。 次見つけた時に買おう。

お姉さんがおむすびを握り出したのはいいが、 予想以上に大っきいじゃないか。

爆弾おむすびだな… 1つでお腹いっぱいになりそうな大きさだな… うん。


「お待たせしました。 おむすび20個で200Rでぇす」


お金を払い、 おむすびをアイテムボックスに入れてメニューを開き確認してみると、おむすびだけで枠を4個も取られちゃってるよ…


梅干しおむすび、 たくわんおむすび、 昆布おむすび、 おかかおむすび……


おむすびの具材が違うだけで名前が違うのかよ。 そりゃぁそうだよね。 買ってしまったのは仕方ないしこれからは気をつけよう。

よし、 準備が出来たのでラビホの町を目指そう。


門まで着いたのはいいのだけどラビホもこのギルドカードで入れるのかなぁ?

まぁ着いた時に分かる事かぁ。


始まりの街から北に向かっている途中に道が真っ直ぐ伸びている。

商人達が通る道だと思うのでその道を頼りに歩いていこう。

周りは草原でそれ以外は何も見えない。

モンスターも現れず30分ぐらい歩いたら遠くに森が見えてきた。

道は森に続いているようなのでこのまま進んで行こう。


森に近づき、 前方から馬車が向かって来ている。

ぶつからないように、 道の端を歩こう。

馬車が近くまで来ると運転している男は大慌てしていた。


「そこの君、早く街まで戻りなッ。森で黒の組織が現れて商人達がられた。君も殺されたくなかったら街に…」


男が慌てて声をかけてくれたけど、僕は街に帰るつもりはない。


「襲われたのですか⁈ 黒の組織?って一体なんなんですか? 僕もラビホまで行かなくてはならないので情報お願いします」


男は目を見開き冷や汗を流していた。


「おっおぅ。 黒の組織を知らないのか…殺し屋集団みたいな集まりだ。 見ただけでも8人以上はいた。でもそれ以上いるかもしれない。

だから街まで戻って護衛を雇いな」


「忠告ありがとうございます。 僕は先を急いでいるので見つからないように森を抜けますね」


後ろをふりかえると男は仰天し固まっている。 それを無視して森に踏み込む。


森の中は道が真っ直ぐ伸びていて500mぐらい先に6人の姿が見える。

人の姿を目で捉えると、黒装束を着た全身真っ黒いの姿をしている。その手には、 赤い液体がこびり付いたナイフが握られていた。

彼奴らが商人が言っていた黒の組織なのだろう。

100mまで近づくが黒装束達等気にも止めてない。

徐々に距離が縮まってくると


「誰だお前?」


黒装束の1人が声を上げるが無視をする。


「こんな亜人殺しちまおうぜ。」


奇声な声で何か叫んでいるが気にしない。

通り過ぎようとそのまま歩き続けすれ違いざまに黒装束の1人がナイフを振りかぶってきた。


”キーン”


鉄と鉄がぶつかりあい、甲高い音が鳴り響く。

ナイフを振りかぶったのを見て白雨を抜刀し、 ナイフを受け止めた。


「人を襲うんなら襲われる覚悟はあるはずだよね。 君…」


受け止めたナイフを受け流し、 首に一太刀斬りつける。

首から赤い液体が飛び散る。

男は訳も分からず首に手を当てて、 慌てふためいていたが、 声が出せないのだろう。

周りの黒装束は目を見開いて固まっていたが、 動き出すまで待つつもりは無い。

黒装束達に向かって、 全力でダッシュをし、 次々と斬り払う。

1人は右手首と右足に、2人には首に。


流石に5人も一瞬で倒す事が出来ずに2人も逃してしまう。

1人逃走し、もう1人は両腕にナイフを持ち此方を睨み付けている。

不意を付けば倒せる相手でも、 向かい合いながらではそんな簡単には倒せない。

一息吐き、 相手に掌を向け


「サンダー」


魔法が相手に向かって行くが、ナイフを投擲に使い、サンダーの軌道をズラされる。

魔法を放ったと同時に相手に立ち向かい、 至近距離まで近づいた。

白雨を振り抜こうとした時、顔面に熱と痛みが走り、 吹っ飛ばさる。


攻撃を貰った方向を見ると右手と右足を負傷している黒装束が此方を見ている。

きっと奴の仕業だろう。

チッ… 油断した。 あの状態で攻撃してくるとは予想をしていなかった。 魔法攻撃だろうか? しかしどんな魔法かわからない。

わからないなら考える事を止め、 まずは彼奴から始末しよう。


「サンダー」


魔法を放つが相手も丸い火の玉で相殺される。


さっきの攻撃はファイヤーボールみたいな魔法か。 他にも攻撃手段があるかもしれない。 気を引き締めよう。


もう一度サンダーを放とうとした所で邪魔が入る。


「隙だらけなんだよ」


声のした方を見ると目の前にはナイフが振り抜かれそうになっている。 急いで白雨を抜刀しようにも間に合わない。 ナイフが左腕に突き刺さった。


「イッテェェ」


ナイフは刺されたがまだ攻撃範囲内には相手はいる。 抜刀せずに鞘を振り、 頭狙うが右腕で防御され防がれてしまう。

相手の右腕はダラリと下がっている。

骨が折れたのだろうか。

一端距離を離す為に後ろに飛ぼうとすると

左側からファイヤーボールをマトモにくらい吹っ飛ばされると思いきや、 正面から蹴りを貰い、 後ろに飛ばされ、 一回転し木に激突しようやく止まる。

HPバーを見てみれば3割近く消費している。

左腕に刺さったナイフを抜き血が出るが気にしていられない。

2人を見るが1人は虫の息で寝そべっていて、 もう1人は左手にナイフを持ち此方に向かって来ている。


ナイフ何本持っているんだ… 全く。


ため息を吐きながら白雨を抜き、 前に出て向かい打つ。

左掌を前に出しサンダーを放つがナイフで弾かれてしまう。

しかしサンダーは囮で白雨の棟で左腕を打撃する。

男の両腕はダラリと垂れ下がり、 ナイフは既に落としている。

虫の息の敵に目を向け、 サンダーの魔法を打ち、止めをさす。

目の前の敵を睨み付け、 質問を幾つかする。


「お前達は他に何人いる?」


「アホが。教える訳ないだろ」


冷めた目で相手を見下し白雨の棟で左太もも目掛けて思いっきり振り被る。


「ォアァァァァ」


「正直に話さないと次は反対側の足もやってしまうよ?」


黒装束の男は苦痛な顔をし此方を睨んでいた。


「黙れ。殺すなら殺せ。お前には何も話す気はない。死ね」


まだ反抗する気力があるようだ。

次は右足を打撃する。


「アァァァ」


「早く喋っちゃった方が楽にしてあげるよ?」


「黙れ‼︎ 黙れ黙れ‼︎ 」


中々喋らないなぁ…


黒装束の右腕を無理矢理引っ張り出し、 掌を地面に密着させる。

ジワジワと白雨を下していく。小指に刃が当たり赤い液体がしたたるが刃は止まらない。

少し力を入れたら、小指が手から離れる。


「やめろー‼︎‼︎もう止めてくれお願いだぁ」


「止めてあげるから話して欲しいなぁ」


「話せない。話したら殺されてしまう。」


「話さなければこのまま続けるよ?」


男は恐怖心で顔が真っ青になり、冷や汗が下垂れている。 もぅちょっとで心が折れそうだな。

白雨を持ち上げ今度は薬指の方へと下ろしていく。


「わかった。喋るから止めてくれ」


「やっと話してくれる気になったね。 お前達は全員で何人いる?」


「わからない。 俺は下っ端で殆どわからない。」


「では、 この森には何人で来た?」


「それならわかる。全員で10人だ。」


ヤバいこんな奴らがまだいるのか… 残り5人。 全員で来られたら勝てる気がしない。

1人が逃げたって事は仲間を呼びに行った可能性が高いな。 早い所ここから離れなければ。


「じゃぁ最後にお前達は何者だ?そんな服装でただの賊な訳ないだろう。」


「それは…あ………」


話そうとした瞬間、 男の体が青い炎に包まれ焼け死んでいた。


これはヤバい。 幾らなんでも青い炎の魔法なんてゴブリン討伐イベントでは見なかった筈だ。 って事は普通の火の魔法ではない。


「隠蔽」


姿を隠し逃げる事を考えよう。

ゆっくりゆっくり男から離れ逃げようとするが、 青い炎が次々と飛んでくる。

チラリとHPのゲージを見て、 満タンに戻っている事を確認できた瞬間、 先ほどの青い炎の玉より数倍大きい青い炎の玉が目の前まで飛んできて爆発しだした。


モロに直撃をくらい、 森の中にね飛ばされてしまう。


痛い‼︎ 痛い‼︎ 痛い ‼︎ 全身が熱い‼︎ 熱い‼︎ 熱い‼︎

体の内側から火が噴き出しそうなほど熱い。

もぅ僕は死んでしまうのか?

そんなの絶対イヤだ‼︎ イヤだ‼︎ イヤだ‼︎

死にたくない‼︎ 死にたくない‼︎ 死にたくない‼︎

でも今すぐ楽になるなら……


気が動転して正気に戻る余裕もない痛みを受けてしまった。

巨大な大樹にぶつかり、落下していく。

枝に落下し体が跳ねるがそれ以上は落ちないようだ。どうやら枝に着地できたようだ。


「仕ーめーーわーーねぇ。おー達、 死体をーーーこい」


大声で何か叫んでいるみたいだけど上手く聞き取れない。

HPゲージを見てみると僅か5ミリぐらいしか残っていなかった。

それを見た途端に意識を失ってしまう。



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