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ナルティアの都と再会

知らない布団。 知らない部屋。 此処はいったい何処なんだろう。

まさに今までピエトロに支配された空間にいたはずだ。

起きてみれば知らない場所。

ちょっと待て。 確かナルティアの都まで必死に走った事は覚えている。

ナルティアの都に着き、疲れすぎて無意識に宿まで行ったのだろうか…?

イヤ、 それは違うと思う。

確か…火の灯り…煉瓦の門……

あっ! 確か門番と話をした所までは覚えている。 その後、 視界が可笑しくなり、 ピエトロの夢を見たはずだ。

しかし、 門番にギルドカードを見せた記憶がない…… って事は、 此処は門番の詰所なのだろうか?


゛ガチャ゛


音をした方に顔を向ければ、 短髪で銀色の鎧をつけた一見、愛想の良い顔の男性が入って来た。

朝食のご飯なのか、手にはお盆の上に食器が乗っていた。


「おはよう。 やっと起きたかぁ。 いきなり門で倒れた時はビックリしたよ」


「あははは… どうも迷惑を掛けてすみませんでした。 所で此処は何処なのでしょうか?」


「ん? 此処は門を守護する者の待機場所だよ。 君が倒れたからって街に入れる訳にも行かず、 此処で寝てもらった訳なんだよ。 処で、 身分を証明出来る物など見して貰えないか? そうすればナルティアの都の入国を認められる」


確かに街を護っていれば、 不審者が倒れようと決して街に入れる事なんてしないよね。

って事は、 この建物も門の外にあるのだろうか?


ギルドカードを取り出して、 門番さんに手渡す。


「ギルドカードか。 どれどれ、 ラカ君だね。 犯罪者リストにも載っていないね。

よし、 ナルティアの都の入国を許可しよう。 私はピートって言うんだ。 これから門を通る時は毎回身分証の提示をして貰う。 悪いね、 これも仕事なんでね」


ピートはギルドカードを返し、 門を通る時の事を教えてくれる。


「いえいえ、 身分が分からない者を休ましてくれて感謝しています。 本当にありがとうございます。 それで、 この建物は、 門の外にあるのでしょうか?」


ふと疑問にしていた事を聞いてみる。


「そうだよ。 門が閉められた時に、 何時でも直ぐに門の増援に行ける為に外に設置されている建物だよ。 まぁ門を閉めるなんて滅多にないが、 対策は必要でね。 まぁこの建物は門が目の前にあるから不便ではないがね」


やはり門の外の建物なのか…。

まぁ直ぐに街に入れるだろう。


「そうですか。 ありがとうございます。 これからこの街に滞在するつもりなので、また会うと思いますがよろしくお願いします」


一礼をして部屋から出ようとすると


「この街はいい街だから楽しんでくれ」


そうして部屋から出ると、 鎧を着た人達がいたので一礼して建物から出る。

外に出てみると門には、 馬車を引き連れた人達が列になり、 入国を認めて貰うために並んでいるのだろう。


「うわぁ、 この列に並ぶのかぁ… 」


直ぐに街に入れると思えば、 列に並ぶという状態についつい言葉が出てしまう。

列に並び、 順番を待つ間に、街でする事を考える。


えーっと、 先ず優先する事は宿探しだよね。 それが終われば装備の購入。 後は時間があれば街を見回ろう。

街がどんな感じか今からワクワクするなぁ。


少し時間が経つと僕の番が来た。


「身分を証明出来る物の提示をお願いします」


ギルドカードを取り出して渡すと、 門番さんは紙を取り出して、 紙とギルドカードを照らし合わせる。

しばらくすると、 ギルドカードを返してもらい、 幾つか質問される。


「この街は初めてかい?」


「はい。話を聞いて来てみました」


「この街の寝床はどうする?」


「宿屋でお世話になろうかと思います」


「では、 この街の滞在期間は?」


「えーっと、 この街を拠点に活動しようと思っています」


「何故この街に拠点を決めたのだ?」


「それは…… ナルティアの都はこの大陸で、 もっともいい街と聞きましたので」


「そうか… リストに名前もないし、 この街で悪さをするとも思えないな。 よし、 この手帳に名前を書いてくれ」


渡されたペンと手帳に名前を書き、 門番さんに手渡す。


「次から門を通る時は、 これと身分証を見せるだけで通れるようになるから無くさないように。 注意事項だが、 この手帳に一度でも名前を書けば消える事はないから譲渡しても、 身分証と名前が違えば入国を認めないので譲渡しても無駄だからな。 もし、これを失くせば申告してくれたら、1万リラで再発行するけど失くさないようにな。それでは、 通っていいぞ。 ようこそナルティアの都に」


小さな手帳みたいな物を手渡された。


ちょっと焦ったよ。 何故ナルティアの都に決めたと言われても、 情報も分からないし、 ただ拠点にしようと思っただけなのだから、 嘘で街を良いように言ってしまったよ。

しかし、 この門を通るだけで、 空港の入国審査みたいな事をするとは思わなかった。


しかしこれは何だろう? 見た目は手帳… しかしこれは、 パスポートみたいな役割か?

まぁこれとギルドカードを見せたら簡単に門を通れるんだね。 無くさないようにしなきゃね。


手帳を大事にアイテムボックスにしまう。


門を潜るとそこには人通りが多く、 賑やかな街並み。

始まりの街より、 人で溢れかえっていた。

建物は煉瓦造りが多く、 たまに木造の建物がある。

取り敢えず拠点となる宿屋を探そう。

右も左も分からない街を歩いて行くと、 露店でアイテムを販売している人達がいる。

手作りなアクセサリーを取り扱った露天や、 ポーションっと言った便利アイテム等を扱った露天。 様々な露天があり、 今にも寄り道をしてしまいそうになる。

先ずは色々な場所の情報がほしいな。


ふと歩いていると、 見覚えがある人物が前から歩いてくる。

ピンク色のロングの髪に黒の猫耳。 背は僕よりも低く、小柄な人だ。

その人に近づいた時に一声掛ける。


「キャンディーさーん」


ケットシーのキャンディーさんを見かけて声をかけた。

キャンディーさんは辺りを見渡し、 此方を向き


「あっ、ラカ君こんにちは」


「こんにちは。街に来て直ぐに知り合いに会えて良かったです。 宿屋とかどこにあるか知らなくて… 」


「今日この街に来たのですかぁ。ラビホから大変だったでしょう? でも、 あれ? 昨日ピエロに強制睡眠かけられたよね? もしかして、 街に来る道中で呼ばれたの?」


あっ… 痛い所を突いてきたなぁ…


「まぁ…半分は正解ですね…。 ナルティアの都に向かっている途中でテロップが流れて、 走ってこの街に来たのですが… 門の所で、 強制睡眠を食らいまして… 起きたら詰所に居たみたいで門番さんに助けられました。 アハハハ」


事の出来事を話ていたら、 ついつい恥ずかしくなり頬をかいていた。


「随分大変そうだね。 しかし掲示板がなくなっちゃって大変だよね…。 臨時パーティーも組めなくなっちゃったしね… これからどうしようか悩んでいたのよ。 ラカ君はもしかして、 まだソロ活動とかしてたりするの?」


「はい。 森で2ヶ月間篭っていたので、 知り合いという知り合いは、 キャンディーさんを含め3人しか居なくて… 僕って何しているんでしょうね…」


この世界にやってきて、 ずっと1人で行動していた為、 知り合いも碌に出来ずにいた。

肩を落とし、 頭も俯く。


「それなら私と、 固定パーティー組まないですか? 私も今ソロなので、 魔法職が1人だと限界があるの。 だからパーティーを組まないと私もやっていけないのよ。 どぉ?」


綺麗な人とパーティーを組めるのは嬉しいが、 僕でいいのだろうか? キャンディーさんなら組みたいって言う人達など、 幾らでも居そうなんだけどな。


「あの… 僕でいいんですか? 臨時パーティーを組んだりしていた人達なら、 キャンディーさんなら喜んで入れてもらえそうな気がするんですが…」


キャンディーさんは、 臨時パーティーの事を思い出したのかバツの悪そうな顔をする。


「臨時パーティーで知り合った人達から誘ってはもらったよ? でもね… 人の性格は良かった方なんだけど、 戦闘する時がちょっとね… 反応が遅いので、 私の魔法も碌に打てずにチグハグするって言うのかな… 上手く噛み合わないのよね…」


確かにパーティーを組んでも、 性格が合わなかったりしたら大変だよね。

戦闘が噛み合わないとか命に関わるからもっと慎重になる訳だよね。


「話が長くなりそうなので、何処か良い場所を知りませんか?」


道で立ち話をすれば、周りの迷惑にもなるのでキャンディーさんに問いかける。


「そうね。 それなら話し合いに良い場所があるからついて来て」


少し歩けば、 喫茶店見たいな場所に連れてこられた。


「ここはね、 プレイヤーが経営してる喫茶店だよ」


その言葉を聞き驚きを隠せない。


「プレイヤーが経営ですか…凄いですね」


「まっ、 賃貸らしいけどねっ」


舌を出し、 テヘペロをするキャンディーさん…可愛い。


中に入ると、 珈琲店のようなお店だ。


「やぁ、 キャンディーいらっしゃい。 其方は友達かな?」


いきなりカウンター越しのお兄さんが、 声を掛けてくる。

店の中は木で出来たテーブル、 椅子、カウンターがあり、 居心地の良さそうなお店だ。 テーブル席には2グループのお客さんがおり、 飲み物を飲みながら話し合っている。

皆、 ここで一息つくグループもいれば、 作戦会議を開くグループも居るのだろう。


「マスター、 ちょっとこの子とパーティーになるか話し合おうと思って、 ゆっくり話す場所が欲しくて連れて来ちゃった」


マスターは驚き、 手に持っていたグラスを落とした。

マスターは我に返り、 カウンター席に案内してくれて、 注文を聞いてきたので、 珈琲を頼む。


「では、 話を戻して、 僕と臨時パーティーを組んで、 戦闘等が合うようであれば、 固定パーティーを組もう。 でも、 キャンディーさんが納得出来ないのであれば、 固定パーティーの話は無かった事にしませんか?」


思ってもいない事を言ってしまった。

1人は寂しい。 出来たらパーティーが欲しい。 でも僕にもやりたい事は沢山ある。

パーティーを組んでしまったら、 自由な行動が制限されるよね。

まぁどう転ぶか分からないから決まった時に考えよう。


「それでいいわよ。 ラカ君は、今レベル幾つなの?」


そう言えば、 アフロさんの家を出てからステータスを見ていなかった。

ステータスを開き、 レベルを見たら31に上がっていた。

……何故にこんなにもレベルが上がっているんだ?

確か道中でそんなに戦闘はしていないよなぁ。 盗賊達には、 苦戦をしたが、 いっきにレベル3も上がる程の強敵だったとか?

まぁ今はそんな事を考える時間はないな。


「えーっと、 今はレベル31ですね。 もしかして僕ってレベル低いですか?」


キャンディーは頭を振ると


「いいえ… レベルは確かに私よりも低いけど、 1人でそのレベルに上げれる方が異常よ。 経験値の概念等は分からない。 けど、 モンスターと戦ったり、 素振りなどの練習でもレベルが上がる事は証明済。 でもモンスターをパーティーで戦うのと、 1人で戦うのは全然違うの。 分かるでしょ? パーティーで戦えば、 数の力だったり、 順番に攻撃をしたりして戦い方は幾らでも出来るの。 でも、1人で戦えば、全てを自分でしなければならない。

この意味は分かるわよね。 致命傷でも喰らえば即アウト。 1つのミスが命に関わるからやろうとして、 出来る人は少ないと思うわよ?」


確かにチームプレーを敵がやってきたら面倒な事が多かったよね… やはりパーティーを組むと言う重要性を考え直さなければならないね。


マスターが飲み物を出してくれたので、 熱々の珈琲をチビチビ飲む。 旨い!


「確かに今までの敵にもチームプレーをしてくるのもあって、 ギリギリの戦いがありました。 下手をすれば殺されていましたね…」


「でしょ? だからパーティーを組むのは大事なのよ。 いつまでもソロで戦えると思わない方がいいよ? 戦えば戦う程、 命が幾らあっても足りないから」


「そうですね… あっ! 大事な事を忘れていました。 キャンディーさん、 宿と良い武器屋か鍛冶屋、 後防具の装備を整えるいい店を知りませんか? 装備が大変な事になっていまして…」


「宿屋は私が泊まっている場所に行けばいいし、 武器屋、 鍛冶屋、 防具屋も案内出来るよ。 ここを出たら案内してあげるね。

それでラカ君、 装備が大変ってどういう事?」


キャンディーさんの頭は横に傾き、 如何にもはてなマークが頭の上に浮かんでいるんだろう。


「実は… 始まりの街から出て、 今までの装備を整えてなくて、 今の装備が、 武器、頭、体2、 右手、脚2しか装備していなくて…。 愛用の武器も折れてしまい、 今は代用武器なんです」


「え?」


キャンディーは理解が出来ないでいた。

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