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巨大な岩と盗賊

ナルティアの都に向けて何時間経っただろう。 周りの景色が余り変わらなかったのだが、 今までと違うのが見えた。

目線の先には、 高さ4メートルはありそうな巨大な岩がある。

日陰もあるので、 休憩場所には持ってこいの場所だ。

岩に近づき、 少し休もう。


日陰が涼しい。 やっぱり日中の気温より調度いい涼しさだ。

ここで宿屋の手作り弁当を食べるとしよう。

アイテムボックスから弁当箱を出し、蓋を開ければ、満足出来るオカズばかりだ。

魚や唐揚げ、 ポテトサラダが入ったお弁当だった。

先ずは飲み物の準備…


「あっ…しまった……」


ついつい声を出してしまう。

水を入れるコップを買うのを忘れてしまった…。

どうしようか…困ったなぁ…直接、生活魔法を口に入れる訳にもいかないよねぇ。

……そうだ‼︎ 弁当箱の蓋をコップ代わりに出来ないか?


たまたま上下、 箱型のお弁当箱で底も深く、水を入れても大丈夫な器になる。

宿屋のお弁当箱を見て


「 本当に有難い宿屋です。感謝します」


と言葉を出しながら、 蓋に水を注ぐ。

お弁当を食べながら空を見上げ、 のほほんとリラックスしている時に、 何やら岩が動いた気がする。

勘違いかも知れない。

ゴクリと唾を飲み込み、 後ろを振り返って見ると、 やはり岩が動いている。

後ろを振り向き、 観察していたら、 気づかれたと思ったのかは、分からないが、 動くスピードが変わった。

慌てながらその場を飛び引き、 白雨を強く握りしめる。


岩が動き出し、 今まで見てた高さ4メートルくらいだったが、 動きはじめたら7メートルぐらいまで大きくなった。きっと立ち上がったのだろう。


もしかして…もしかして…これってゴーレムなの?


考えているとゴーレムらしきモンスターが歩き出した。


「あっ…待って。 僕のお弁当が潰され……そりゃないよぉ」


落ち込むラカを知らぬとばかりに、 ゴーレムは近づいて来る。


「ちくしょう。 僕のお弁当を踏み潰しやがって…これでも喰らえ。 サンダー!」


掌から稲妻が飛び出し、 ゴーレムに当たる。

しかし全く効いていない。 効果がないみたいだ。 どうしよう。 こんな巨大な岩のモンスターに、 刀では刃が先にダメになりそうで、 心許ない。 頼りの雷魔法も岩とは相性が最悪みたいだ。


それならば……逃げるべし‼︎


ゴーレムらしきモンスターに背中を向けようとした時、 巨大な腕が持ち上がり振り下ろそうとしているのが目に入る。


「ヤバいヤバいヤバい… 縮地法、 縮地法、縮地法、 縮地法」


振り下ろされる前に後ろを向き、 縮地法を4連続で使用するが、 無茶な使い方で踏ん張りが効かず、 転けてしまう。


ズドーン‼︎


後ろの方で物凄い音が聞こえた。

何とか射程圏外に逃げ延びれた。

後ろを振り向くと、モンスターが振り下ろした場所であろう地面は、 クレーターのように大きな凹みが出来ている。


イヤ…あんなの受けれないだろ…喰らった瞬間にペチャンコですね…はい。


状況確認終え、 再び攻撃される前に逃げよう。


今度は縮地法を使わず、 走り出す。

ステータスのお陰で、 地球ではあり得ないぐらいのスピードが出ている。

モンスターを見ると、 ついてこれないのか、 諦めている様子だった。

これだけ離れれば追っては来ないだろう。

先ほどまでの事を考える。


確かにあんな場所に1つだけ巨大な岩とか、 今思えば不自然だったもんな。

多分あのモンスターは動きが遅いから、 なるべく射程圏内に来たのを捕食するか攻撃するんだろうなぁ。

あんな相性の悪いモンスターもいるんだなぁ…これからは注意しないとね。


それからしばらく歩いて行く。 まだまだ先は長いようだ。

空は陽が落ちそうになっており、 もうすぐ辺りも暗くなり始めるだろう。

今日はココまでにして、 道の外にテントを張り、 休もう。

テントなんか張った事ないが、 出来るだろうか…

アイテムボックスから取り出し、 カバー袋からテントを取り出す。

簡易テントって円盤みたいにに収まっているんだなぁ。

それを引っ張っていけば、 あら不思議。

簡易テントって、 こんなに簡単に出来る物なんだと感心してしまった。 便利なアイテムだ。

見た目はビニールシートを三角にした感じで雨水を防いで、 人目が見えないって感じの作りだ。

その中に入り、 お弁当を食べ、 少し早いが寝よう。






何だか暑苦しくて目が覚めると、 何故かテントが燃えている。


「何で燃えているの?」


寝ぼけながらも呟いてしまうが、 1秒もせずに頭が覚醒し、 危険だと脳内が警告している。


ヤバい。 このままじゃ火傷してしまう。

火にトラウマなどは無く、 冷静に白雨を握り振れば、 刀線の通った場所には、 火が消し飛びテントの壁も崩れ落ちる。

火の中に、 空間が開き、 そこから外に脱出する。


「お頭、 獲物が出てきましたぜ」


不意に声が聞こえ、 其方に顔を向ける。

みすぼらしい姿をした男が4人がいた。

顔は長髪で汚らしく、無精髭だらけ。 見ているだけでイヤになりそうだ。

服装はモンスターの毛皮を無理やりに服にしましたって感じの服装。

ワイルドだとはとても言えない姿。

武器も持っているみたいだが、 薙刀見たいな武器に鉈の武器もあり、1人1人違うみたいだ。

さっき眼帯をした者に、 お頭って言っていた事から眼帯している奴がリーダーなのか。


そんな事を他所に、 彼奴らがテントに火を放ったのだろうか?


「あのー、 貴方達が僕のテントに火を点けたのでしょうか?」


間違えてたらって思うと、 ついつい問いかけてしまった。


「あぁ、 俺たちが点けたぜ。 悪いがお前には死んでもらい、 金目の物を貰って行くぜ」


男達はニヤけ出し、 此方を査定してやがる。

これが宿屋で言っていた盗賊か。

汚らわしい。

盗賊の1人が歩き出したと同時に、 縮地法で相手の目の前まで移動し、 白雨を一振りする。

切られた盗賊Aは上半身から真っ赤な血を吹き出す。


「ほぉ。 少しは腕に覚えがあるみたいだな」


仲間を切られたのにも関わらず、眼帯の男は余裕な表情で観察してきやがる。

見られているのは無性に嫌な気分だ。

しかし先ずは弱い者から排除に徹しなければ、 数の力に負ける恐れがあり、 リーダーらしき人物は後回しだ。

すぐ前にいる盗賊Bに近づき白雨を振るが中国刀見たいな武器に阻まれてしまう。


〝キィィン〟


鉄と鉄がぶつかり合う音が鳴り響く。

盗賊リーダーの武器に受け止められてしまう。


「手下ばっかり狙っているんじゃぁねぇよ」


そんな言葉を言われるが、 数で攻められたらたまったもんじゃない。

ラカはお構いなしに、 左掌を盗賊Bに向け


「サンダーッ!」


盗賊Bは真面に魔法を受け、 痺れて膝をつく。

魔法を放ち終わって、 左手を強く握りしめ、 リーダーの胸目掛けて放つ拳。

しかしあっさりと躱されてしまう。


「あぶねぇあぶねぇ。 お前は魔法も使えるのか… これは骨が折れそうだな」


何戦闘中に喋っているの? こいつ馬鹿じゃないの。 しかしこの距離で、 パンチを避けられてしまうって、 もしかしてこいつ…強い?

しかし残る盗賊3人。

早く雑魚を倒さないとまずい事になりそうだ。

何かいい手は無いだろうか?

考えても思いつかないならしょうがない。

攻める事だけ考えよう。


周りを見渡すと両側から盗賊Cとリーダーが挟み撃ちをして来ている。

リーダーの方にサンダーを放つが躱されてしまうが、これで少しはタイムラグが出来た。

一旦、 白雨を鞘に戻し、後はタイミングを待つだけ。

両側から武器を振り下ろされ掛けた瞬間、 白雨を鞘から引き出し、 居合抜きをする。

刀線が横に円を描き、 盗賊Cの胴体を切りつけ、 そこで白雨は止まらず、 リーダーの方まで走る。

リーダーは咄嗟に武器を前に出し防いだ。


防がれてしまったが今はそんな事はいい。

今の衝撃で白雨の刀身が真っ二つに折れてしまった。

これではもう、 白雨で真面に攻撃出来ないだろう。


「あっ…ハハハ…」


つい苦笑いを出してしまった。


「武器がオシャカになったからって容赦しないぞ」


リーダーは口元がニヤけている。

ラカは冷や汗が滲み出ており、 この場をどうするか考える。

リーダーも、 待つほど馬鹿じゃないとばかりに

武器を振り下ろし、 攻撃してくる。

どうしようかと考えながらも必死に躱しているが、 盗賊Bも痺れから解放されたのか、 参戦してくる。

これでは完全に捌ききれなくなり、 彼方此方に浅い切り傷が出来始めた。


このままでは…殺されてしまう。

どうすれば…どうすればこの窮地から出られる。

必死に躱してはいるがHPも少しづつ減っていっている。


HPが半分を下回り、 身体は血だらけ、 躱し続けて体力も限界に近づいてきた。


何か打開できるスキルを持っていたか?

考えろ…考えるんだ…まだ死にたくない。

そうだ。 魔眼のスキルでこの状態を打破出来ないか?

魔眼よ発動しろ。


頭の中で必死に魔眼を発動しようとした瞬間…盗賊達が二重に見える。

半透明な未来の0.2秒先のリーダーと現在のリーダーの姿。


「えっ? これはどうゆう事? 」


半透明のリーダーの攻撃を躱しきれず、現在のリーダーの攻撃を躱した。


「攻撃が当たっていない… これが魔眼の先読みの力?」


ブツブツ呟いているが、 どうやら盗賊達には聞こえていないようだ。

これで何とかするしかないよね…

折れた白雨を強く握りしめ… 盗賊Bが切りかかる瞬間を待つ。

よし…今だ‼︎


盗賊Bが攻撃をしたのを擦れ擦れで躱し、 折れた白雨を盗賊Bの胸元に突き刺す。

盗賊Bは何が起きたか分からず、 自分の胸元を見て慌てていたが、 直ぐに力尽き倒れた。


「おめぇ…絶対に殺してやる」


リーダーは憤怒しているが、 此方が怒りたい。 夜襲を掛けてきたのはそっちだろ。

先ずは倒す事に専念しなければ体力が持たない。

折れた白雨は盗賊Bに刺さったまま取りに行けそうにもない。

もぅこれは肉弾戦しかないか…


拳を強く握りしめ、 さっきは躱されたけど、 魔眼の能力があれば躱す位置よりちょっとズラすだけで当たるだろう。


フック気味にパンチを放ち、 リーダーの顔にモロに食い込む。

しかし、リーダーは体制を崩しながらも武器を振るってくる。

魔眼で先読みをしていようが体制が悪く、左腕に当てられ、 切れはしなかったが、 コレは折れたのだろう…腕が上がらない。


腕が上がらない事を好機と見たのか、リーダーは行き良いよく此方に迫り、 武器を振り下ろしてくる。

何とか躱したのはいいが思いもよらない左腕に蹴りの衝撃で吹っ飛ばされてしまう。


「ぐっ……」


膝をつき、 左腕に、激痛が走り、 耐えれない痛みが襲いかかってくる。

涙目になりながらも右手で左腕を押さえるが痛みは止まない。

HPゲージも1/4になっており、 もうダメそうだと地面を見てしまうが、 そこには折れた白雨の刀身が落ちている。

これが最後のチャンスと思い、 刀身を右手で握りしめる。

右手からは血滲み出て滴るが、 お構いなしにリーダーが近寄って来るのを身体を縮こめて待つ。


「これでオメェもお終いだな。 全く骨が折れたぜ。 まぁあの世で怨…み…な……ぉゔゔ」


リーダーが近寄って武器を振り下ろそうとする前に、 最後の力にを振り絞り、 リーダーの首筋に刀身を突き刺した。

リーダーは最後まで言葉を発せずに倒れた。


「ハァァァァ…何とか助かったぁ。

白雨が折れた時はどうなるかと思ったよ」


地面にへたり込みやっと戦いが終わったと気を抜いた。

時間をかけながら身体を治療魔法で治していく。

折れた白雨と刀身を鞘にしまい、 リーダーが使っていた武器をナルティアの都に着くまで変わりに使おう。

武器がないより…あった方がいいだろう。

それにしても…死んだらアイテムボックスの中身って飛び散るのか…

これは知らなかったなぁ。

お金になりそうな道具を見つけてはアイテムボックスに詰め込もう。


しかし今日一日、 ハード過ぎるだろう。

毎日こんな事になったら、身体が持たないぞ。



陽も登り始め、治療魔法で傷も無くなり、ナルティアの都を目指してトボトボ歩いていく。



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