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タイキング



次の日の朝、目が覚め起き上がろうとしたら


「いったぁぁ‼︎」


この痛みは何だ? 足の指が尋常じゃない痛みが襲っている。


「朝から煩いわッ。 坊主のせいで目が覚めただろうが‼︎」


目を擦りながら此方に向かって煩いと言ってくるが、 こっちはそんな事言っている場合じゃないんだよ。


「坊主、 もしかして足の指でも攣ったりしたのか?」


攣っただけでこんなに痛い訳…痛いよなぁ。

冷静に考えればこの痛みにも納得出来る。

防御力を突破してこの痛さかよ。


「坊主は昨日、 初日で1時間も縮地法の練習をしていたからなぁ。

足が攣ったりするのも不思議ではない。

もしかして足も筋肉痛になっていて攣ったりしているんじゃないか?

プッ。 そりゃぁ痛いわなぁ」


だから笑い事じゃないって‼︎

こっちはまだ痛いんだよ。


「治す方法はないのですか?」


「あるにはあるが…自分でやれよ?」


あるのか…安心した。


「はい。やり方教えて下さい。 お願いします」


「先ずは攣った足の指を伸ばす。

その後に、 足背と足裏を圧迫するように揉みしだくしかないなぁ。

これで大分痛みは引くが、 後は治療魔法さえあれば痛みと筋肉痛は治るはずだぞ。

決して治療魔法だけで治そうとか考えるなよ。

あの魔法は治癒能力を細胞の活性化を劇的に早めてくれるだけだから攣った指にそのまま治療魔法を唱えたら攣ったまま痛みが引いて後遺症だけ残るからな。

まぁ治療魔法を筋肉痛や痛みを引くために頼みに行く奴等は滅多にいないがな」


治療魔法を選んでいてよかった。

この指を引っ張って上下揉んだらいいんだな。


足に手を向けていると小指以外の指が両足共なっている。

こんなに同時に攣れば痛いはずだ。

足の人差し指を引っ張ると


「イダダダダ」


これはある意味拷問と感じてしまう。



足指が攣り出してから結構な時間がたったと思う。

足の痛みは完全に完治した。


「やっと痛みが治ったぁ」


「随分時間が掛かったようだな。

今日も縮地法の練習するんだろ? 明日も同じ事になるかもな」


明日の朝も同じ目に合うのは流石に嫌だなぁ。


「今日の練習は昨日より時間を減らします。 しかしアロハさん、1時間も練習してたしなって言ってましたけど何故時間が分かるんですか?」


アロハさんは、 手にアイテムを出現させる。


「こいつは懐中時計っと言って高価な品物だ。 こいつで坊主の修業の時間を測っていたのさ」


その時計を見てついつい目を輝かせてしまった。

お金を貯めて僕も手に入れよう。


「時計を持っているなら初日の練習は何分とか決めといてくださいよ。 それかもっと早くに練習を止めて下さいよ」


頬を膨らませながらブーブー言うが後の祭りなのでこのへんにしておこう。


「アロハさん、 今日の練習は30分にしますので30分が経ったら教えて下さい。

お願いします。 練習が終われば、 今日こそ湖に行こうと思います」


「30分だな。 わかった。 今日こそは食材確保ちゃんとしてこいよ。

そうだなぁ、 最低6匹は手に入れてこい。

そうしないと明日の坊主の朝食は無しだからな」


6匹とか簡単に言うけど、 そんなホイホイ現れるのだろうか?


「努力はします。 しかしタイキングと相性が悪いかも知れません」


「坊主なら大丈夫だと思うがな。

さっさと練習して来い」




縮地法の練習をしたが今日も全然動かなかった。

本当に習得出来るのかと不安が過る。

気晴らしに湖に行こう。

森の中を歩いていると昨日来たポイズンマッシュルームの採取の場所まで来た。

ここから更に真っ直ぐ行くと湖があるらしいが、 グリグリズリーに遭遇しないようにしないとなっ。


しばらく森を歩いていたら、 視界に湖が見えた。

しかし、 湖の近くに赤い変なのが徘徊している。

もう少し近づくと目を疑ってしまった。

赤い変なのは、 恐らくタイキングと言うモンスターだろう。

身長は約1mぐらいだが、 見た目が残念すぎる。

鯛は鯛でも手足が付いている。

鯛そのものに人間の手があり、陸を両足で歩いて徘徊しているのだ。

ネタか?っと思うモンスターだ。


見た目を観察し終わり、 周りの状況を見てみると、 湖の周りには5匹いるな。

次は戦闘に入ろう。 タイキングはどんな攻撃をしてくるかまだ分からない。

ここは安易な考えかもしれないが、 魚には雷魔法が効果抜群に効きそうだ。


相手にバレないように、 木に隠れながら右手をタイキングに向ける。


「サンダー‼︎」


掌から雷魔法が放たれタイキングに直撃した。

タイキングは手足をピクピクさせながら倒れるが消える様子はないようだ。

周りのタイキング等は倒れたタイキングに近づいて、 異変が起きた事に気付き、 周囲を見渡している。


まだ位置がバレていない様子だな。

このまま今いるタイキングにサンダーを食らわし、 痙攣させよう。


「サンダー‼︎ サンダー‼︎ サンダー‼︎ サンダー‼︎」


次々とタイキングは痙攣を起こし、 地面に倒れていく。

周りには他のモンスターが居ないか確認をし、 タイキングの方へと走る。


タイキングの場所に行くと、 未だに痙攣している様だ。


「もしかして雷魔法が弱点なのか?」


今はそんな事を考えている場合じゃなかった。

白雨を抜き、 タイキングの手足を最優先で切断する。

これで痙攣が解けても動き回る事は出来ないな。

しかし奇妙な光景だ。

手足を切断すれば、 ピチピチ跳ねる事しか出来ないなタイキング。


「まるで陸に上げられた魚と一緒だな」


そんな事をついつい思ってしまった。


トドメとばかりにタイキングの腹を突き刺す。

タイキングは消えたが、今度はタイキングを小さくしたような鯛がピチピチ地を跳ねている。

これがアイテムドロップかぁ。

タイキングの赤ちゃんみたいだな。

お金袋と鯛を手に取りアイテムボックスに収納していくと、背中に手を置かれる。


「ん? ここに人なんか居るはずないよな?」


後ろに振り返ると、 タイキングだった。

ゾッとする。 蛇に睨まれた蛙…じゃなく、 鯛に睨まれた僕。


ついつい叫んでしまいそうになったが、 それも叶わず、 左右に腕を掴まれる。

そぅ。タイキングは目の前に3匹も居たのだ。


ヤバいヤバい。 幾らタイキングが弱いモンスターかも知れないが、 この状況は最悪だろ。

両手を掴まれ、今にも目の前のタイキングが攻撃して来そうだ。

んー、 幾らなんでも鯛に睨まれても怖いと言うより不気味だ。

しかしどうやって乗り切ろう。


目の前のタイキングが突進をして来た。

両手を掴まれ、 避けるに避けられない。


「ングッ‼︎」


痛みはそこまでないが、 息が一瞬出来なくなる。

その後も何度も何度も体当たりをしてくる。


タイキングもこれでは倒せないかと判断したのか、 口を開け、何かをしている。


口の中は水がドンドンと球体になり、唾を吐き捨てるかの様に球体を飛ばしてくる。

恐らく水魔法か何かだろう。

水の球体が直撃するが大した威力ではない。

しかし、全身ビチョビチョになってしまった。


タイキングは水魔法も効かないと判断したのか、 今度はこちらを歩いて来る。


どうしたらこの状況から抜けられるか考える。

両手を掴まれたからって魔法が使えない訳ないよな?

魔法は両手から出せないのだろうか?

ふと疑問に思い試す事にした。


「サンダー‼︎ アビァビァビァ」


魔法を唱えた瞬間に身体に電気が走ったかの様に痺れ出す。

痺れはすぐに取れるが僕が何故痺れた?

まぁ考えるのは後だ。

両腕を掴んでいた2匹は痙攣を起こし地に倒れていた。

それより今は目の前のタイキングの始末だな。


白雨を握り、 歩いて来たタイキングを一刀両断する。

地に伏せたタイキング2匹を色んな箇所を切りつける。


残るは鯛とお金袋のドロップアイテムのみですぐに回収してこの場を離れ、帰宅する。

森の中を歩きながら先ほどの自分の魔法が自分にダメージを負わしたのか?

それとも水を被ったから感電したのか?

タイキングに掴まれたから感電したのか?

分からない事だらけだ。

帰ったらアロハさんに聞こう。


森の中を歩き、 少しばかりポイズンマッシュルームを採取しなが帰っていった。




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