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アフロ

あれから2日間、 森を彷徨い続けた。

陽が出てる時は森を歩き、魔物に襲われ撃退しながら進む。

時には身長3mはあろう熊に遭遇し、 必死の思いで逃走したり、手が異常に長い猿の群れ (20匹)に囲まれ、 殴られては捕まえ1匹づつ切り倒すなどの泥試合もした。


陽が沈みかけたら大きな木を探して登り、枝で休息をとっていた。

森の中を彷徨い3日目。

アイテムボックスの中のおむすびも無くなり今日中には森を抜け出したい。

途方もなく歩いていたら遠くに木で作られた小屋らしき家を見つけた。

駆け足で小屋の玄関の前まで行き、 ドアをノックする。


コンコンコン


「すみませーん。 誰か居ませんか?」


しばらくすると中から足音が聞こえ、 ドアが開けられる。

そこには背が高く、アフロ頭、目が鋭く鼻が高い。どこかのコンサートで踊ってそうな見た目が20代半ばの男がいた。



「こんな森の中の家に何の用だ⁈ スキルを教えて欲しいのか⁈ そんなやすやすと教えないぞ?」


いきなりスキルがどうたらと話されても対応できずに呆然とアフロに目が行く。


アフロ… アフロ…


綺麗なまん丸アフロ。

手入れがすごい大変そうだ…


じゃっなくってアフロ男の目を見て口を開く。


「すみません。この森を抜けて、 ラビホの町に行きたいのですが… どの方向に行けば宜しいでしょうか?」


アフロの男は間抜けな者でも見るようで答える。


「北西に向かって歩いたら1日で森から出られる。しかしお前はスキルを覚えたくないのか?」


「スキルは覚えたいんですけど、 まずはこの森から出る方法が優先でしたので道を尋ねたのです。 もしかしてスキルを教えてくれるのですか?」


アフロ男の顔は嫌らしい笑みを浮かべて


「習得できるかはお前次第だ。俺はスキル名とそのスキルのコツを教えるに過ぎない。

そんな簡単に習得できる訳がない。

しかしこんなスキルがあり、コツが分かり努力すれば習得できるかもってだけだ。

まずはそのスキルの最低条件のステータスが必要だが、◯◯のスキルは最低こんだけステータスがいるってちゃんと解明されていないので誰にもわからない。ステータスがスキル習得に必要地があり、後は自分のセンスと努力で習得出来るってわけだ。 お前やってみるか?まぁ条件があるがな」


「条件ですか? それは何でしょうか?」


アフロ男は両手を大きく広げ


「お前さんが今装備している物以外の全てのアイテムを譲渡する事だ。勿論お金も全てだ。」


自信満々に物申す中、ラカは唖然と口を開きアフロ男を見ていた。

ふと我に返り、アイテムボックスもお金も大した物などない。

この条件でスキルが覚えられるのなら安いものだろう。

装備以外の全てのアイテムやお金を代価にするのはいい。

ただこんな少ないお金やアイテムで教えてくれるのだろうか?

そこで聞いてみることにした。


「条件は分かりました。しかし装備以外の全てのアイテムやお金が価値があるないは関係ないのでしょうか?」


「関係ない。 スキルが絶対に覚えられるかわからないのだからさ。

もしこの条件を受けるなら教える期間は2ヶ月間。

寝泊まりはこの家でしたらいい。 ただ食事は作るが材料は俺の分も含めて調達してこい。

この条件でよかったら5種類ある中お前が選んだ1つのスキルを教えてやる」


5種類もあるのか…僕が欲しいスキルがあるかは分からないからスキル名を聞いてから考えよう。


「もしかしたら僕が必要のないスキルかも知れないので5種類のスキル名を教えてもらえないでしょうか?」


「そんなもん教える訳ないだろ。

契約が完了したらスキル名を教える」


ちくしょう。 やっぱりダメかぁ。

使わないスキルだろうが覚えれるかも知れないのだからここは必要なスキルがある事を願おう。


ラカは苦虫を噛み潰したような顔をした。


「分かりました。その条件でいいので教えて下さい。

アイテムボックスの中身はここに出したら宜しいでしょうか?」


「ちょっとまて‼︎ こんな場所で出すな。家の中に入って座敷で出してくれ」


アフロ男は慌てて家の中に誘導する。

家の中に入ってみると時代劇とかに使われてる家に来た感じがする。

土間には釜戸がありそのすぐ近くには台所がある。

他には座敷に囲炉裡いろりがあってここで食事や暖をとるのだろう。

座敷の奥には中の間と奥の間と言う部屋がある。

辺りを見渡してこの場所で2ヶ月も過ごすのかと思ってしまう。

まぁ、 時代劇とかを見た時は1度は住みたいと考えていたが…

ラカは座敷に上がらしてもらい、アイテムボックスの中身を全て出す。


「このへんの魔物の物ばかりだな。

んっ⁈ これはピッグホーンの肉か⁈

こんなにもあるのか。これは儲けもんだな。

お金はこんだけか…お前…金持ってなさすぎだろ…」


苦笑いをするアフロ男に同情する。


「これが僕の持っている全てのアイテムです。自己紹介が遅れました。ラカと言います。これから2ヶ月間よろしくお願いします。しかしこれで全てのアイテムだってどうやって判断するんですか?」


「自己紹介を忘れとったなぁ。俺はアロハだ。

少しの間だがよろしくな。

全てのアイテムだってどうやって判断するかかぁ… それはだなぁ、俺には嘘か本当か解るスキルを持っているんだよ。それを使えば見破れるってとこだな。」


アフロ男の名前がアロハ⁈ もっとアフロダンサーっぽい名前かと思っていたよ。

まぁ名前はどうあれ、 ここで少しでも鍛錬を積み、 強くならなければ…

しかしどんなスキルを教えてもらえるのだろう。

もしかして嘘か本当か見破れるスキルもあるのだろうか?

そんなスキルあったら非常に便利スキルだから覚えたい。

アロハさんの身にも、 家の中にも、 武器らしき物が見当たらない。

そんな疑問を考えている事を察したのかアロハさんが答えてくれる。


「5種類のスキルだが、 威圧、 縮地法、 武術、 空歩、 料理がある。

この中で興味のスキルはあるか⁈

覚えたいスキルだけしか実践はしないから、 よく考えて選べよ?」


やはり嘘か本当か解るスキルは教えてくれないよな。

んー威圧は何となく分かるんだよな。 殺気とか風格とかで相手を怯えさせる事が出来るのだろう。

縮地法は… アニメや漫画の知識だが一瞬で間合いに行く事かな。

武術は… 多分武器などを使わず戦えるようになるんだろう。

空歩は… わからん。ジャンプした時にもう一度ジャンプができるとかなのか? それとも空を歩けるのか? これは実際に見ないと分からないスキルだ。

料理は… まぁご飯が上手く作れるようになるんだろう。


自分で考えたスキル効果だが、 それが当たっているかは分からない。

この中の1つかぁ… この中では1番欲しい空歩だが習得は、 まだまだ出来なさそうだ。

2番目に欲しい縮地法。

近接ならこのスキルがあれば心強いな。

頑張って習得しよう。


考え込んでいる時間アロハさんは腕を組み、此方をずっと見ていた。


「色々考えて決めました。 縮地法を教えて下さい」


アロハさんの顔は頷く。


「縮地法か… 分かった。 今から縮地法を見してや…る」


「ッッ⁈⁈ 」


話をしている間にアロハさんがすぐ眼の前にいる。

3mは離れていたのにも関わらず、 一瞬で眼の前に現れたので驚きすぎて声も出なかった。


「これを今から2ヶ月間で出来るようになれ。 今から教えるから家の裏側に砂場があるからそこまで来い。」


アロハさんはそう言って家から出て行った。

それを追いかけるように歩き出す。


これから2ヶ月間のスキル習得の修業をする。


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