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7/10

エラルド家の人々

 前回までのあらすじ




 異世界に飛ばされたらなぜか超絶美少年に!その際神様らしいの2人と会ってるんだけど何故か現在音沙汰なし。アレか?乳揉んだからか?その後結局面倒見切れない的な流れで(ひどいよね)比較的安全らしい所に1人で飛ばされてしまうも神様ん家にお邪魔したおかげでチートな魔窟パワーをゲットしたみたい。現在試行錯誤中。そんな中なぜか安全なハズの大草原でバ○オのボスみたいなグロいクリーチャーを大量に従える妖艶美女襲来。…が、あっけなく魔窟パワーで撃破。ん?妖艶美女が奴隷になりたそうにこちらを見ている。


 奴隷にしますか?


 はい

 いいえ

→保留


 えらく懐かれたようなので、無下にするのも悪いし、とりあえず現在サイコなエラルドさん家にお邪魔してます。














 ふぃ~。やっぱ風呂はいいわ。こういう所日本人だよな俺。

 マーライオンならぬマー…何だろコレ?よく分からない魔物ぐろいの石像の口からジャバジャバとお湯が吹き出し、ただっ広い浴槽の縁には豪華な装飾がこれでもかと盛られている。ここだけで40坪位あるんじゃないかと思う位広い浴室でゆったりくつろぐ俺。

 これで風呂上がりにコーラでも出てくれば最高なんだけどさすがにそれは贅沢過ぎか。



 それにしても流されるまんまホイホイ付いて来ちゃったけど大丈夫かな?

 あいつ見た目はエロいしキレイだけど中身危なすぎるし。

 でも他に行く当ても無いんだよなぁ。まぁ気持ちいいし面倒な事考えるのは後だな。風呂サイコー。





「ケイさま、…ぁっ、ぉ、お背中お流ししてもよろしいでしょうか?」



「ん?…ぉぶぅえぇ!」





 驚きすぎて変な声出た。

 まぁ流れ的にはこういう展開かなぁと予想はしてたんだけど、いざ振り向いたら現実は想像の遥か斜め上を行っていた。



 そこにはタオルに身を包んだ妖艶な美女…ではなく、全身にその道のプロの方にあてがって貰ったかのような縄化粧を施し、くねくねと膝を擦らせながら顔を赤く染める変態がいた。なんか『ブィイィィイィィン』とか機械的な音も聞こえるけどもう俺の理解の範囲を超え過ぎていて思考が追いつかない。



 思わず魔窟パワーで迎撃してしまったが仕方ないだろう。

 オーラを収束させ拳大にまとめ変態に向かって放つと、結構な威力が出ているハズなのに思いの他イイ所に当たったらしく吹っ飛びながら恍惚の表情を浮かべるエラルドさん。





「ぁあっ!激しい!でもこの痛みも素敵ッ!こんなの初めてっ!」




「いやいやいやいや。本当に無理だから。マジで勘弁して下さい」




「こんなに可愛らしい子に容赦なく打ちのめされて…。ダメっ、あっ…」





 こうかはいまひとつのようだ!

 というか更に悪化してる。

 一人で盛り上がってるし、とりあえず今のうちに逃げよう。





「これが…、噂の放置プレイ…、心は切ないのに、切ないハズの心が被虐感で快感に変わって…」












 いきなりグロい輩に囲まれて返り討ちにしたと思ったらこんなのに懐かれるとは…。

 あれからとりあえず奴隷にするのは却下、でも行く宛も無いというような事を話したら是非私の家に住んでくれと言われて惰性で泊まり込み、なんと一月も過ぎてしまった。


 話を聞くと、エラルドは魔人という魔物を束ねるエリート種族で、その中でも随一の力を持つらしい。彼女は今までの生涯で誰かに屈した事は一度も無く、思った事が何でも出来ちゃう究極の欲張りワガママ仕様。あの時もちょうど気まぐれで気に入らない人間界の首都のような場所である帝国を潰して来た帰りにばったり俺と出くわしたとのこと。


 何も無い草原を共も連れずに1人で歩く俺に気付き、好奇心を抱いて近づいてみたら自分の好みド真ん中の美少年ではないか。

 これはぜひボロボロに痛めつけて自分の奴隷にして可愛がってあげねばと思ったのだが、なんと少年の力量は自分の遥か上を行っていた。

 今までに経験した事のない圧倒的な力を目前にして、恐れ慄くと同時にこれまで感じた事のない被虐感に身を焦がす快感に目覚めたらしい。



 神様の魔窟から平和な草原に飛ばされ一安心かと思ったが、よく考えたらこいつ人間の宿敵そのものだよな。

 でも正確には俺も魔窟人間で色々と人間にヤバそうな要素取り込んじゃってるし。







「本日のディナーはコルメラの素揚げ、シャラクのソテー、カミューラスープに、メインはストラホーンの厚切りステーキになります。ケイさまでも食べやすいようにシャラクの骨は取り除き、ステーキの味付けも刺激の強いソースは控えてあります。冷めないうちにどうぞ召し上がって下さい」




「あっ、すみませんホルンさん。いただきます」







 変態エラルドん家の料理長ホルンさんに声を掛けられ我に帰る。

 家主がアレだから使用人も危ないのが多いのかと思いきや、このホルンさんはまともだし料理の腕も一級品だ。素材は何だか分からないがこの屋敷に来てから食事面で不快に思うことは全くない。むしろ前世を食文化の高い日本という国で過ごしてきた俺をこんなにも満足させる食事を作ってしまうのだからその腕は相当なものだろう。


 ホルンさんの俺に対するスタンスは、まるで主人に新しく子が出来たような感じだ。


 化け物・異形のオンパレードの屋敷の主が、ある日突然可愛らしい子供を連れて帰って来て猫可愛がりしている。

 最初は不審に思っていた部分もあったらしいが、奴隷や自分の玩具にする為の捕虜を連れて帰る事はあっても、あの主人が同族以外の客を連れて来るなんて事は長い間仕えていてこれが初めてだそうだ。

 見た目は人間のように見えるが、内に籠もった魔力の色は自分達に近いものを感じるし、何よりその呆れるばかりの膨大な力を持ちながらも自分達を排することもせず、力による支配ではなく実力では劣るであろう自分の存在を尊重し、あるいは懐いてくれているような感じにも思うような俺に、今は逆に色々と世話を焼くのが楽しいらしい。


 見た目は完全に幼くて可愛い子供だしな。幼女って言っても多分通じそうだし。





「あら、ホルンばかりズルいわ。ケイさま、私が食べさせてあげますね。ほら、お口をあけて、あーん…」




「いや、すんません。自分で食べれるんでそういうのいいです」




「私にだけいつも態度が素っ気ない…。でもそんなケイさまも至高です!」




「あの…、食事中に股を弄り始めるのは勘弁して下さい、せめて俺の見えない所で…」




「ぁあァっ…アッ…」






 せっかくのホルンさんの料理が艷みを帯びてしまう前に変態から距離をおいて食事を楽しもう。


 スッとなるべく静かに席を立ち、どこかへトリップ中のエラルドから距離を取り離れた位置に座り直すとホルンさんがテーブルの上の料理を改めて持ってきてきれる。





「ケイ、イッショタベル、オレサマウレシイ」





 変態から距離を取り座り直した所で部屋に新たな住人が現れ俺の隣に腰を下ろす。


 2メートル近くあろう巨体を精一杯縮め、無理に小さな椅子に座ろうとするものだからかなり厳しい体勢になっているのだが本人はあまり気にならないらしく、首から上の狼の口がガバっと開き満面の笑みでステーキにかぶりついている。


 獣魔人であるヴィアドは普段は3つ首の獣型で、炎やら氷やら雷やらとんでもないブレスを吐いてみたり、瞬速を誇るそのスピードで相手が気付く間もなくその頭を食いちぎるなど、まさに最凶ワンワンなのだが(なんかアシェラトさん家の近くにもそんなのいたよね)この屋敷に来て2日目の夜にどっかの神様と闘って瀕死の怪我を負いボロボロの状態で帰ってきたヴィアドをちょうど屋敷の外を散歩してた俺が見つけて、痛そうで可哀想だったので魔窟オーラでなんとかなんじゃね?と思ってなんとかしたら見事なんとかなってしまい、怪我を治してくれた恩人である俺に懐いてしまった感じだ。

 さすがに神様には負けてしまったが、実は戦闘面だけで考えたら俺とタメ張る位強いらしい。だが獣だからか、いかんせん単純な所があり、騙し打ちや罠などにはめっぽう弱く、今回も神様の卑怯な罠にハメられて反撃する間もなくフルコンボを喰らいKO寸前で辛くも逃げ出して来たとは本人の談である。


 屋敷内では獣型だとデカすぎて動き辛いので人型になっているがそれでもまだデカい。




「ストラホーン、ウマイ!ケイ、モット食エ!オレサマ、ニク、アゲル」




 ヴィアドの皿は俺の皿の倍以上デカくて、その上にステーキ肉がこれでもかと言わんばかりに積み上げられているのだが、大口で一気に飲み込んでるせいであっという間にどんどんステーキは無くなっていく。肉類はヴィアドの好物だし、まだまだ食べ足りないだろうに寂しそうな顔をしながらも自分の皿から俺の皿にステーキを1枚分けて乗せてくれた。




「俺はお腹いっぱいだからヴィアドが食べてもいいよ。遠慮しないでいっぱい食べなね」



「ウウン…ソウカ。ケイガソウ言ウナラ…」




 ヴィアドの皿にステーキを戻してあげると口では申し訳なさそうにしているも表情はとても嬉しそうで、戻したステーキはすぐにヴィアドの胃の中に収まった。可愛い奴だなこいつ。




 微笑ましい魔ワンコ…(なんかこの言い方卑猥だな)を眺めながら食事を進めていると、奥の方から甲殻に包まれた長い腕が伸びて来て、更にそこから生える7本の指の先端、薄く鋭利な爪先が器用に俺の前に小さなカップを置く。

 ホルンさんて凄く紳士で優しい人なんだけど…。身体は多分この屋敷で一番エグいよな。


 ニコニコと微笑みながらデザートを運んでくれるホルンさん。その笑顔の下で6本の腕が器用に動き空いた食器を回収している。料理は本当に美味いんだが、明らかに戦闘特化な身体でよくこの味が出せるもんだ…。









「デザートなら是非私を!ケイ様になら言葉通り身体の何処でも切り裂いて食べて頂いて…」



「あ、本当そういうのもういいです」








 すっかりここの生活にも慣れてきたよね。

 思ってた形とは違うけど、異世界人?との交流も無事に果たせたし。

 ただ、なんというか。ヒロインとかそういう成分が足りない気が…。いや、エラルドは見た目はアリだけど中身の方向性がアレだしね。樹海に方位磁針持ってってもあそこまで振り切る事はないんじゃって位ぶっ飛んでるし。

 居心地はいいけど、せっかくの異世界だし色々見て回りたいってのもあるんだよなぁ。



 そんな事を考えながらいつものようにエラルド家の周囲を散歩していると、何だか首の辺りがチクチクする。


 突然の違和感にハッとするもすぐに異常事態に気付いた。


 ん?なんだこれ?


 いつもは薄く纏っているか、禍々しいので消しておくハズの魔窟オーラがなぜか身体から溢れるように這い出している。

 ゴウゴウと流れ出るオーラに気を失いかけるも必死に意識を保とうとしていると、ふいにプツッと音がしたかと思うと溢れ出ていたオーラが俺の身体からまるで切り離されたかのように一箇所にまとまり、アメーバのように蠢めき始める。


 しばらくモゴモゴと蠢いていたそれは、やがて形を変え…、





 なんだかゴスロリっぽい少女になってました。 

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