魔窟人間誕生
いやー、もう意識を手放すのが習慣になりつつある俺なんだが。
別に好きで気を失ってる訳ではないんだよ?
でも気絶癖みたいなのは確実に付いたかもしれんねこれは。
チュンチュン、チュンチュン、
小鳥さんの囀りで目が覚める。
前回はちゃんと小屋の中だったのに、今回は原っぱのど真ん中だ。
辺り一面草原で、天気も良いのでかなり遠くまで見渡せる。
あー、首痛てぇ。ここどこだよ?
やたらボーイッシュの巨乳ちゃんに殴られてそっから例の如く気絶して、
ん?なんだこれ?
モヤモヤモヤモヤ・・
おおおお!なんか出とる!なんか変なの出とるよ!
そういえば気を失う前もこんな感じの出てたような・・・
おし!気になったらまず解析!得意の解析!俺に見えないモノは無い!
どれどれ、ステータスステータス…
名前 ケイ タカラ
種族 魔窟人間
称号 魔窟に魅入られしモノ
年齢 5
レベル 1
HP 2300
MP 1500
力 50
知力 130
魔力 550
耐力 70
速さ 610
特殊 355
備考 魔窟
ん?なんか色々変わってね?
というか加護消えてね?
おいおい、確かにセクハラというか思いっきり乳揉んだけど…、
俺が揉んだのは可愛いボーイッシュちゃんの乳であのクソお化け妖精には関係ないだろ!
…いや、そんな些細な事はどうでもいい。いつの間にか人間辞めてる方が問題だ。
レベルは1のままなのに何かすげー強くなってね?
魔窟ってなんぞ。魔窟人間ってなんぞ。すげー怖いんですけど。
どうなっちゃったのコレ?
んでもってこの常時パッシブで展開されてる禍々しいオーラはなんだ?
名称 魔窟光
説明 使用者の意思を反映し、力となって具現化した光。
他者に触れると、触れた者を飲み込み吸収する。
願望・欲望などを根源とし、使用者が渇望するほど光は成長する。
要約すると、むらむらすると出てくる恐ろしいオーラらしい。
ってかもう魔法とかこれあればいらなくね?最強、いや最凶じゃね?
ぼけーっと魔窟光さんを見ながら、ドス黒いオーラ的な何かを伸ばしたり縮めたりしていると、
頭の中に聞き覚えのある声が響いた。
『あー・・その・・、うん。まぁとりあえず色々ごめん!』
この声はミセスボーイッシュ!アシェラト先生の声だ!
『そのオーラで気づいたと思うんだけど…。転生したばっかりで、まだ身体組織が完全に安定してない状態で魔素の強い所に連れてきちゃったせいで、キミ色々と凄い事になっちゃったみたい。でも前にも言ったけどハナコはこっちの世界にそんなに干渉出来る訳じゃないし私も忙しいし、可哀想だけどずっと面倒見てあげれる訳でもないのよね。それにいくら見た目は可愛くても、いきなりあんな事してくる子はちょっと遠慮したいというか…』
ち、違う!誤解だよ!あれは事故なんだ!!
身体が勝手に暴走してふじこふじこ
『うん、意識の方もまだ曖昧な所あるみたいだし。それは仕方ないか。』
おお!さすがチョロリスト!チョロリンピック金メダル!
『ただあれ以上魔素の影響受けるとキミの身体が壊れちゃいそうだったから。とりあえず人間界の凶悪な魔物とかいない比較的平和そうな所に送っておいたからさ、キミの能力とその魔窟光があれば生きていくのに不自由はしないと思うし。あんまり人間の生態系を乱してもらうのは困るけど好きに生きて新しい人生楽しんでね!んじゃーねー』
そこまで聞こえるとふっとチョロラトさんの気配も消える。
言いたい事だけ言ってガチャっと切られた感じ。なんかハナコもこいつも軽いな。
だがまぁ、色々と思う事はあるけれど悩んでても仕方が無いし、なんたって改めて第二の人生スタートだしな!
明るく張り切って行くぜ。ひゅーひゅー。
うん。とりあえず腹減った。
向こうの方にヤギみたいなのいるけどあれ食おう。いけんだろヤギっぽいし。
(ぐぬぬぬ・・腹減ったぞぅ!あのヤギ食べたいぞぅ!ヤギ肉!ヤギ乳!ヤギ祭り!
伸びろ!俺の魔窟オーラっ!欲望よ、力となれ!)
ゴゴゴゴ…
身体の周囲に展開していたもやもや部分的に突き出て、その一部がヤギもどきに向かって本当に伸びていく。
結構いい勢いだ。こりゃ楽でいいな。
もわもわモワモワ…
ヤギもどきがオーラに気付いて逃げようとしてるけれどもう遅い。
俺の魔窟パワーを舐めるなよ。ふひっ!…おっと。でもこれでテンション上がらない方が無理だろ。
すごいスピードでヤギもどきにたどり着くと、そのまま覆いつくしてみる。
哀れヤギもどき。触れたら飲み込むは伊達じゃないぜ!
あっという間に暗黒粒子に包まれたヤギもどきは消え去り、引き換えにお腹に満腹感が満ちていく。
料理の出来ないダメ男君でも安心の仕様。便利過ぎるぜ魔窟パワー!
さて、腹ごしらえも済んだことだし。
まずは村でも探してみるかな。