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やってきた異世界

 気が付くとベッドの上だった。

 上半身を起こすと同時に身体に違和感を覚える。



「ん?なんか身体軽くね?」



 思わず声を出して呟いてしまったが、それにより更に驚く事となる。



「んぉおぉぉ!?」



 みっともない叫び声を上げてしまったが、仕方の無い事だと理解して欲しい。

 なぜか女声になっていた。…というよりはこの感じ。声変わりする前の子供のような…、いやまんまそれだった。



 慌てて近くに置いてあった鏡を見ると、そこには可愛らしい子供が一人。


 そしてまるで鏡を見る事を予測したように鏡にメモ書きが貼ってある。




『異世界へようこそ^^』




 段々思い出して来たぞ。


 確か夜中に変なお化けが出てきて、30で童貞だし魔法がどうのこうの…、ってか完全に煽ってるよなこれ。


 なんだ?異世界にくると若返るのか?あのクソ生意気な妖精。ハナコって言ったっけ。あいつの存在自体がデタラメだったし。そう考えれば今の状況も納得、、否。すぐには納得出来ないのだが、そんなものだろうと半分受け入れてしまっている自分の頭の軽さに逆に驚く始末である。



 まぁ、なってしまったものはしょうがない。ここが魔法が使えても違和感の無い世界ってことか。



 改めて自分の寝ていた部屋を見渡すと、広くもなく狭くもなく何の変哲のない部屋のように思えたのだが、よくよく見ると色々とおかしい。


 まず一見ログハウス調に見える内装なのだが、なんというかその内装がおかしい。

なんで壁に剣やら斧やら飾ってあるんだ。外国とかで偉い人の部屋とかに飾ってあるのを映画で見た事があるけれども。

 アレだよ、初代バイオのコルトパイソンの赤い宝石のあの部屋だよ!分かってくれ!


 だが問題なのはその数だ。あきらかに余剰というかもう完全に溢れかえっている。短剣や杖、果てはどこかの狩猟民族が使いそうな先端が大きく丸みを帯びた曲刀?のようなものまでその種類は多岐に渡る。


 杖は魔法使い用、つまり俺用か?まぁどう考えてもあれで殴るんだったら剣でズバッとブッた切った方が強そうだよな。お年寄りが使っている以外で杖なんて初めてみたぞ。


 それともう1つ気になったのが外の景色だ。部屋の中は天井に据えられたランプで若干暗いがまぁ明るいといえるものだったが、窓の外は大量の木々が鬱蒼と生え広がりなんとも不気味な雰囲気を醸し出している。真っ暗なのは夜だからだろうか。



 なんとなく現状を把握し終わると部屋の中央のテーブルに置かれたメモ書きのようなものが目に入る。



『無事に目が覚めたですか?いきなり目が覚めたら知らない場所にいて混乱してるであろうケイさんの為に優しいハナコちゃんの「教えて異世界生活」のコーナーです』



「あの野郎…」



 あのふざけた態度の妖精を思い出し若干腹が立ったが続きを読む。それにしても虫が這った様な汚い字だな。



『まずは隣に大きい水晶が置いてありますよね。それを手に取ってみて下さい』



 確かに占い師さんが使ってそうな水晶が置いてある。手に取ったらいきなりビリッとか無いよな。どうもあいつの言う事は胡散臭い。


 だが、じっとしてても仕方ないので水晶を手に取ってみることにする。




名前  ケイ タカラ


種族  人間


称号  子供(超むんむん才能の原石丸出し)


年齢   5


レベル  1


HP   15

MP    8


力    1

知力   3

魔力   3 

耐力   1

速さ   3

特殊 355


備考  運命の女神の加護 (ハナコ)




 一瞬ぼやーっと曇ったかと思うと水晶に俺のステータスのような物が浮き出る。

 …うん。やっぱり子供になってた。もう色々いいや。まず現実を受け止めよう。

 レベル1だからこんなものだろう。特殊という項目が気になるが。やたら高いぞここだけ。

 それにしても才能すげーんだな今の俺。自重とか全くする気はないぞ。



『見れました?ご自身のステータス。大体レベル1の平均的なステータスなのですがここからどう成長するかは貴方次第ですね。剣を取ってバッサバサ的をなぎ倒すもよいですし、魔術を磨いて念願の魔法使いになるもよし。せっかく魔法使いになれるチャンスをものにしたんだから私としては後者を押しますね。それと、注目して欲しいのが特殊の値です。ここだけは平均からズバ抜けて…、というか変態レベルです。

 普通の人はレベルが上がってもこの特殊の値だけはほとんど上昇しませんし特殊値が10もあればそれだけで凄いことになりますが、ケイさんには私の加護を与えましたのでここら辺で大きく他者と差が出てきます。特殊の値が高いと全体的な成長の幅が増えたり色々と他にも影響があったり…。感謝しやがれですよフフフ。』



 なにが『フフフ』だ、ハナコの得意げなドヤ顔が浮かんで再びイライラする。…だがこれはいいな。なんだかチートっぽい気がする。それと加護だと?あいつあんなんで運命の女神なのか?ずいぶん胡散臭い女神もいたもんだ。



『んで肝心の魔法なんですが、もうイメージ重視。というかそれが全てです。ハナコちゃん魔法はそんなに得意じゃないのです。がんばれ。以上。』



 ……。チュートリアルが大雑把すぎる。



『あ、そういえばこの手紙は日本語で書いてありますけど、当然ここは異世界なのでそんな言葉は通じません。あしからず。』



 手紙の最後に、多分自身の似顔絵であろう。目がやたらデカくて輪郭がシャープ過ぎてむしろ尖っているハナコの隣にそんな事が書いてある。希望の船って実はすっげぇコワイとこなんだぜ?絵面で不安になるわ。



 得られた情報が少なすぎるが、、とりあえず魔法を試してみよう。

 ってかこの状況で試さない奴はいないだろ

 …でも本当に出来るのかなこれ。



 再びベッドに戻り腰掛け、目を瞑りイメージしてみる。

 どこかの偉い人は言った。成せば成ると。

 きっと出来る。出来るハズだ。思い込みって大事なんだぜ。




 火、出ろ。火、出ろ。うぉおぉぉぉお…火!出ろ!!




 その瞬間手の平からマッチの炎のような火が現れた。不思議な事に手のすぐ近くで燃えているというのに熱くない。


 だが、いや、まさか本当に出るとは。未だまだ半信半疑だったがやはり嬉しい。

 自身の身体が子供のそれになったのにも驚いたが、実際に魔法のようなモノが使えた驚きはそれ以上だった。なんかわくわくする。やばい興奮してきた。次だ、次行ってみよう。うっは、何これ超楽しい!




 水!水!ウォーター!じゃぶじゃぶー!!




 今度は手の平から水が出てくる。ついでに感動で下半身の小さな突起からも出そうになったので慌ててキュッと閉じたが念じ続けると拳大の大きさまで水が出てきた。

 だがそこで吹き出す水は止まり、気を緩めたらビチャンっと床に落ちてしまった。



 まだレベル1だしこんなものだろう。と思うと同時に若干の目眩を感じる。

 MP切れか?あんまり多様するとヤバいのかも。



 大人しく魔法は一旦中止にして改めて状況把握に努めることにする。



 まず、さっきの水晶のステータスによるとケイ君5歳まで若返っちゃたみたいだ。昔の俺って自分で言うのも何だがこんなに可愛らしかったか?再び鏡を見ると不自然に脱色したものではなく、生まれ持って生え揃ったような綺麗な金色の髪がセミロングに整っていて、クリっとした可愛いお目目にキリッと伸びた鼻筋。なんかあれだ。ロシアとかあっちの方の見た目チートな方々の、その更に上位グループのとびきり抜きん出たイケメンと美女が子作りしたらこんな感じの子供が生まれるのだろう。中身がおっさんのままなのが問題だがこの見た目も反則ギリギリのチートだな。



 ただ、いくらその秀でた見た目で転生しても小さな小屋の外は鬱蒼とした森が広がってるだけで周囲に人影らしきものは皆無である。隔離政策万歳。俺って人付き合い苦手だったけど、やっぱりここまで孤独だとちょっぴり寂しいよね。もっと場所選んで欲しかったよねハナコさん。



 というか落ち着いたら腹が減ったな。なんか食い物は無いものか。

 開き直りが早いのが俺の良い所。とりあえず部屋の中の棚を漁るとパンとミルク?っぽいものが出てきた。匂いを嗅いでみるが多分大丈夫な気がする。牛乳を常温で保存って前の世界なら危険すぎる気がするがこっちではそういうの大丈夫なのか。

 パンとミルクだけでは少し物足りない気もしたが空腹は満たされた。が、いきなりの環境の変化や初めてみるものの情報量の多さに足りない脳が疲れたのか再び睡魔が襲ってきたので、逆らわず大人しく最初に寝ていたベッドに戻り目を瞑る。



 明日からどうしようかなぁ…。

 そんな事をぼんやりと考えながら転生1日目の夜は更けていった。

 状況受け入れるの早すぎとかそういうツッコミ勘弁な!

 さわりが長いとみんなそっ閉じしちゃうしな!

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