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『遠い星の話』  作者: 五木史人
5章
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15話 機械の猫はご機嫌らしい

『サマルカンドへ至る道』


サマルカンド市街を目前に、ソフィーが表情を曇らせた。


「ソフィー大丈夫か?」


内務省の装甲車の中でデューカは不安げな表情を浮かべた。



「心の奥で・・・何かが動いてる。何かが凄い勢いで回転している。

何これ?何かのエネルギー源?」

ソフィーは自らの思考回路の深層を探った。


装甲車を運転しながらデューカは、心配そうにソフィーを見つめた。



「おいおい早くしろよ!」と言う言葉を押さえたコーリーは、チラッとバックミラーを見た。

「おい!デューカ、アローン兵の車が着いて来てないぞ!」


デューカも慌てて背後を見ると、アローン兵が運転する装甲車が、遥か後方で動きを止めていた。



「ソフィーどうする?」



しかし、ソフィーは放心状態のまま、呟いていた。

「これは私の心の奥?それとも参謀の心の奥?それともアローン兵の心の奥?」



「心の奥って・・・」



高価な機密兵器を放置し続けるのは危険極まりない。


しかし、デューカには、アローン兵を動かす手段などなかった。



デューカは、リモコンの電池が切れた時のエアコンを思い出した。


リモコンに新しい電池を入れて、「ピッ」としたくて仕方なかった。


そしたら、アローン兵も動き出してくれるのではないかと夢想した。



「こう言う時、リモコンが欲しいな」


そう言ったのは、コーリーだった。



こいつと同じことを考えていたなんて!


デューカは自分の夢想を悔やんだ。





『渓谷・B地点』



この星には、愛玩用の猫ロボットと言う物も存在はしている。


そして、違法ではあるが、その猫ロボットに思考回路を移すことも可能だ。



その機械の猫が、ロボットなのかアンドロイドなのかは解らないが、魔改造を繰り返されたその機体は、かなり高額な金を掛けていた。



機械の猫は、天に聳えるような大樹の枝の上から渓谷を見下ろし、尻尾を振った。


遠い昔生きていた動物の猫と同じように、感情が尻尾に伝わる仕組みらしい。



猫は、興味津々なものを見た時、尻尾を大きく振る。


余程楽しいのか、その機械の猫の尻尾も大きく振れていた。




その大樹の下でソフィーの参謀は、ハミルに告げた。



「降伏勧告に応じて頂けませんか?」


「良く冗談を言う、機械め!」


「残念です」



大樹の枝の上で、機械の猫の尻尾がさらに大きく揺れた。




つづく




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