14話 入れ物が変われば、中身も変わるよ
『サマルカンドへ至る道』
内務省の車両に乗り込んだソフィー達は、順調にサマルカンドへ向かっていた。
「さすが内務省の車、誰もが道を開けるぜ」
運転席のデューカはご満悦だ!
前方にちょっと厄介な軍の検問所が見えてきた。
「どうする?ソフィー」
「どうするの?コーヒー博士」
コーリー博士は、微笑み、
「コーヒー!?懐かしいね、あれは良い飲み物だった。また一度飲んでみたいもんだな。」
ソフィーとデュ―カの思考回路に、コーヒーの味覚が浮かんだ。
ソフィーは微笑み、その微笑にデューカは微笑んだ。
「で、どうするの?」
「そのまま進むべし」
「大丈夫なのか?」
「軍は内務省の様な特務機関には頭が上がらん。
いつの間にか存在が消えていた。なんて誰だって嫌だろ。
だから、逆に弱気に出たら怪しまれる。
とりあえず最低限の礼儀として『内務省だ開けろ!ポンコツども!』とでも叫んでおけ」
「マジで?」
デューカは大丈夫なのか?とソフィーに意見を求めた。
「さあ」
ソフィーは微笑んだ。
「もしかしてビビってる?無難なデューカくん」
ソフィーがにやけた。
「まさか・・・」
デューカは、反乱軍なんてやっているから、粋がってはいるが、人類だった時は弱々しくそして相当真面目な少年だった。
「ソフィー、お前は変わったな、人だったころは清楚な美少女だったのに・・・」
「入れ物が変われば、中身も変わるよ」
「入れ物・・・」
「まあ、正確には着ている物って言った方がいいかも。
着ている物に合わせて中身も変える。
変える可能性があるなら、私は変わっていきたい。
人から機械に変わったのに、何も変わらないデューカの生き方は、尊敬するけどね」
「変わらないと変えられないは違うが」
コーヒー博士は口を挟んだ。
言っているうちに、検問所は近づいてきた。
「やばい連中め!」
デュ―カは、ソフィーとコーヒー博士に言うと、気合を入れた。
検問所の兵士の姿と視線が合った。弱気なデューカが少しだけ意識に出てきたが抑え、
「おいコラ!内務省だ!道を開けろ!ポンコツども!お前らの過去も未来も消されたいのか!」
兵士は、慌てて検問のゲートを開けた。
デューカは最低限の礼儀として
「ご苦労、兵士諸君!」
と兵士をねぎらった。
「余計な事を・・・」
コーヒー博士は呟いた。
検問所を抜けると、サマルカンド市の明かりが見えてきた。
つづく