11話 少年は機械の兵隊を見つけた♪
『大気圏外・人類を乗せた宇宙船』
宇宙船の窓からは、青く大きな惑星が見下ろせた。
その窓の近くで、機械の兵隊は動きを止めていた。
少年にも、その機械の兵隊がとてつもなく高価な事は理解していた。
そして、今の現状から考えて、これを分解しても誰にも怒られないであろう事も理解していた。
「ふっふっふっ」
少年は恐る恐る機械の兵隊が、動かないのかじっと観察した。
「大丈夫・・・」
動きを止めた機械の兵隊の頭部ヘルメット部分に、ネジの凹みを発見した。
「もしかすると開くかも。」
呟くと、マイナスドライバーを、その凹みに押し付けて、ドライバーを回した。
多少、銀河標準規格とはちょっと違うが、丁寧に整備されたものらしく、ネジは滑らかに回った。
15箇所のネジを外すと、機械の兵隊の頭部ヘルメットは、簡単に取れた。
機械の兵士の頭部は黒いカーボンで覆われていた。
少年がさらに15個のネジを空け、その黒いカーボンの覆いを取り除くと、複雑な電子回路が現れた。
大まかには銀河標準規格だ。
「何か情報が取れるかも、ここで、銀河系共通規格変換機!」
少年は一人呟くと、共通規格変換機を通じて、モニターに回線を繋げた。
宇宙船内のパソコンやテレビモニターを、
かき集めて記憶装置と思われる部分に、モニターの配線を当ててみた。
数時間の苦闘の末、映像らしき情報を受信した。
モニターには、深い霧に包まれた地上の映像が映し出されていた。
映像には霧の中で蠢く、アンドロイドたちの機影が映し出されていた。
「うほっ!さすが、やればできる子じゃん。」
『サマルカンド郊外・渓谷上空・空軍機コックピット』
「どうした?こちら早期警戒機、地上応答せよ。」
突然、地上との通信が途絶えた早期警戒機の通信員は、無線機に向かって叫んだ。
数秒の沈黙の後、
「こちら地上、アローン兵1000機の回収は完了した。貴校は帰還せよ。」
「正確な情報がまだ・・・。」
「貴校らは、既に時間外勤務だろ。貴校らを酷使すると空軍から内務省に苦情が来る。
出来ればその種の苦情は聞きたくない」
「しかし・・・」
「解るだろ。現場同士融通し合おうぜ!」
パイロットは少し考えた結果
「了解しました。」
と。
早期警戒機は、一度上空を旋回した後、空軍基地に向けて帰還した。
つづく