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『遠い星の話』  作者: 五木史人
5章
89/251

9話 おもちゃの世界を作るために・・・

『サマルカンド郊外・小高い丘』


見下ろす峡谷は、神話の世界の様に美しかった。


ソフィーとデューカは、高性能双眼鏡でその美しい景色を眺めた。



「デューカらしい発想ね。


機械のおもちゃに過ぎないアンドロイドだからこそ、人類の宇宙船がこの星に降り立った時、あれほど熱狂したのかもしれない。


私達は人類だった頃の記憶を持っているからなおさらね。


でも、私はこのおもちゃぽさ、好きよ。


私たちがこうやって生きてるのって、お菓子のおまけのおもちゃみたいなものなのよ。」



「お菓子のおまけか・・あれ俺好きだった。俺はおまけ目当てで買ってたわ」



「だとしたら、おまけの人生の方が、本当の人生と考えられなくもない。


5000年前の人類は、このおもちゃの世界を作るために、高度に科学文明を発達させた。


そう思うと楽しいじゃない?」



「ソフィー、お前、相当ポジティブだわ」



「そうお」



「もし、また人類として生きられたら、戻りたい?」


「さあ、人類って色々面倒だしね。」



太陽が地平線に沈みかけた頃、空軍機が上空を旋回し始め、峡谷の底に放置された1000機の特殊機械兵を、眩いサーチライトで照らし始めた。



「来たみたい。」



ソフィーはデューカに言った。



渓谷は、見ようによっては難攻不落の砦の様に思えた。




『サマルカンド郊外・峡谷』



装甲騎兵を率いて到着したハミルは、車両から降りると、深い霧が出始めた峡谷地帯を見つめた。


高層ビルの様な巨石達が、ハミルの前に立ちふさがるように聳えていた。


「これ以上の、車で進むのは無理だな。」



ハミルは、装甲騎兵達に徒歩での進行を命じた。



『サマルカンド郊外・小高い丘』


うつ伏せで丘の下を監視しているフィーの機体は柔らかな曲線で構成されており、女っぽさを醸し出していた。その曲線は人だったころのソフィーを完全に再現していた。


デューカは、その機体をチラッと見た。

おもちゃにしてはかなり高価な機体だ。



人だったころと同じ声質のソフィーが言った。



「そうね・・・装甲騎兵の数、ざっと2000から3000。」



「楽勝だな。」



「ここでの作戦は、始まりに過ぎない。」




参謀兵から暗号通信がソフィーの思考回路に届いた。



「・・・アローン兵5000機、配置に着きました・・・」


「・・・了解・・・。」

ソフィーは意思を送った。


「私たちも、行くよ。」



ソフィーとデューカとアローン兵20機は、地面を這うように持ち場へ向かった。


つづく

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