5話 限りなく機械的だが真剣だった。
『サマルカンド郊外・地下鉄遺跡』
異常にテンションの高いコーリー博士に、
嬉しそうに駆け寄られても、感情の揺さぶりなど、
何もないのだが・・・
コーリーは、ソフィーに駆け寄ると、
「ソフィー会いたかった!」
と、ソフィーにジャンピングハグを実施したが、
その寸前、黒い装甲を纏ったアローン兵に、
ハイキックを浴び、サッカーゴールに、
突き進むボールの様に、壁に飛ばされた。
「回路が壊れるわ!ビビったー」
ソフィーはコーリー博士を、冷たい視線で見つめた。
「酷い出迎えだな!これが同志を迎える態度か?」
コーリーの言に、デューカは苦笑した。
「しかし、どうしてこいつが、俺達がここにいることを知ってるんだ?」
デューカは銀次を睨んだ。
「俺はみんなのアイドルであり、俺を慕う者は公平に扱う。
俺はね、仲間外れなどしたくはないのだよ。
みんな仲良く理想郷を作ろうではないか!」
銀次は、銀髪をキラキラと輝かせた。
商都・サマルカンドにかぶれたのか、かなりのキャラ変だ。
「訳、解らね~」
コーリーは、表情を真剣なまなざしに変えるとソフィーに
「鉱物資源企業団公社が内務省に占拠された。
アレム神父も公社総裁も、逮捕された。
今、デモ隊が武器を取って奪回を試みている。
至急、デモ隊に合流してくれないか?」
「デモ隊が武器を取った?
武器を取れば、内務省は容赦をしない。
何故そんな事を!」
「色々混乱しているようで私にも解らん。
とにかく急いで合流してくれ。」
ソフィーは青い視野レンズの参謀に視線を送った。
「我々はサマルカンドに突入し、デモ隊を援護する。」
「お待ちください。」
「デモ隊のほとんどは私達と同じ、人類の帰還に涙を流した、
人類の記憶を持ち続ける純粋なアンドロイド達がほとんどよ。
それを、サムエルとニナの様に、
むざむざと消されるのを黙って見てろと言うの?」
ソフィーは参謀を責めた。
「落ち着いて、お聞きください。我々の現状を・・・」
参謀の言動は、限りなく機械的だが真剣だった。
つづく