20話 ドレス
『首都郊外・地下鉄遺跡』
ソフィーは銀髪のアンドロイドの拘束を解いた。
「民兵組織への合流は認めよう。ただし条件がある。」
銀髪のアンドロイドは、関節の動きを確かめ、
「何なりと。」
「アローン兵の指揮権は渡さない。
そして、鉱物資源企業団の民兵組織の指揮下には入らない。
しかし友好的な関係は認める」
「それでは、合流とは言えない。企業団はそっちに、
補給とメンテナンスを提供しようと言うんだぞ。
貰うものだけ貰って、我々の指揮下に入らないとは、
盗賊集団に等しい。」
「どう思おうと、そちらの勝手だ。
こちらの条件を飲めないので在れば、
我々は今すぐ空軍基地を襲い、宇宙へ旅立つ。」
銀色の髪が光を放った。光ファイバーの様な物だろう。
それで、戸惑い、もしくは怒りを表したつもりなのだろうか?
ソフィーはその安っぽい仕掛けに笑いそうになった。
しかし、銀髪のアンドロイドは、かなりのドヤ顔だ。
「俺の一存では、決められない。」
「あなたの一存で、今、決めろ。戦いは速度が命だ。
一々上の意見を聞いていては、戦いには勝てない。」
銀髪を輝かせながら銀髪のアンドロイドは、
シンキングタイムに入った。
ソフィーは、アローン兵に指示して、
地下鉄遺跡に設置した照明を消させた。
すると銀髪は、光り輝くイソギンチャクの様に、
ちょっとだけ幻想的に見えた。
「おお!」
デューカは、感嘆した。
「お前ら、馬鹿にしてんだろ!」
怒った銀髪は光を失った。
ドヤ顔から、気まずい顔になった銀髪は、
「解った。条件を飲もう。」
「後、1つ。」
「何だ?」
「私の顔を作れる技師を、手配して欲しい。」
銀髪のアンドロイドは、鉄兜の様な、
ヘルメットを被っているソフィーを見て
「そのくらいなら、今すぐにでも手配しよう。
俺だって前のソフィーの方が気に入っていた。」
ソフィーは微笑むと、
「アローン兵1万2千機揃い次第、サマルカンドに向けて出立しよう。」
と。
『地下鉄遺跡・地上』
技師によって、昔の優しげな面影の表情を取り戻したソフィーは、
気の利いた技師が持参したドレスを、何千年ぶりに纏うと、
人類が残した遺跡から、西都サマルカンドの方角を見つめた。
ソフィーの元へ、青い視野レンズの参謀兵が駆け寄り、
アローン兵1万2千機が、揃った事を告げた。
ドレス姿のソフィーを見て、機械の参謀が何を思ったのかは、
何も読み取れなかった。
ただその青い視野レンズが、夕焼けの光を浴びて、
優しく輝いていたのだけは、確認できた。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
【小説家になろう 勝手にランキング】に参加中。
↓クリックしてね♪\(^ ^)/