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『数億光年離れた遠い星の話』  作者: 健野屋文乃
3章

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10話 夢心地

決戦となる場所へ先についた方が、有利なのは、


機械文明だろうが人間文明だろうが、


猫の文明だとしても、共通した理屈なのかも知れない。



ソフィーが、鍾乳洞のほぼ全貌の地形マップを、


手に入れたのは、カーンが鍾乳洞に入った直後だった。



「仕事の早い連中だ・・・」



ソフィーは、破壊され頭部ユニットの奥で、


新しい部下たちを褒め称えた。



今、その特殊機械兵、通称孤独なアローン兵に守れてて、


鍾乳洞の暗闇を見つめていた。



それにしても、アローン兵の機体の金のかけ方が半端ない。


金属がまったく使われていない。カーボンとセラミックの塊にだ。



評議会が人工知能の奥にある意思を信じていない証だ。


お前らだって人工知能だろうに・・・




     ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡




ソフィー率いる特殊機械兵と、


カーン少佐率いる装甲騎兵の戦闘は、


鍾乳洞入り口付近に潜んでいた、


特殊機械兵の銃声から始まった。



その銃声の音を合図にしたかのように、


少佐と装甲騎兵達は、浮遊感に似た非現実的な感覚に襲われた。



人なら『夢心地』もしくは『陶酔』と表現するだろうが、


夢を見ない機械たちには、その感覚を表現する言葉が無かった。



少佐は夢心地の感覚の中、


目の前で銃撃され部下が砕け散っていく様子を、


暗い映画館の中で戦闘シーンを見ているかの様に、


その様子を眺めた。



今や装甲騎兵は背後と側面からの銃撃に晒されていた。

装甲騎兵の中には、闇雲に銃を乱射している者もいたが、


組織的な反撃は皆無だった。



1機・・・2機、3機と、部下が砕け散っていくのを、


映画の中の出来事のように見ながら、



少佐は、


「これは現実か?なんだこの心地よい浮遊感は?」

と考えを巡らしていた。



指揮官として現状を認識できたのは、部下が全滅し自らも、


水が流れる鍾乳洞の地面に倒れこんだ後だった。



抵抗する術を無くした少佐は、


鍾乳洞の奥から特殊機械兵と伴に現れたソフィーの姿を見た。



「お前が反乱分子のボス・・・」



少佐の言葉が終わる前に、


ソフィーの怒りに満ちた意思が伝わった特殊機械兵のセラミック製の足が、


少佐の記憶装置を踏み潰し、少佐の意識は、この星から消された。



つづく


更新は、毎週日曜日です(・∀・)

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