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『遠い星の話』  作者: 五木史人
2章 退化する世界の中で・・・
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11話 人類愛好会 vs 陸軍

『カラーライズ・朝』



ニナが新たな右腕をつけ、その感覚を確かめている時、


白い雲の中に何かの機影を発見した。

ニナは目を凝らして、その機影を見つめた。


「ソフィー!陸軍だ。陸軍の偵察機だ。」


「陸軍?」

ソフィーは戸惑った表情のまま、ニナを見つめた。


「何、ボーっとしてるの!早く、迎え撃つ準備の命令を出して!」

ニナは怒鳴った。



ソフィーの側にいたデューカは、

「陸軍を迎え撃つだって?ニナ、戦争を始める気か?」




「何、言ってるの。デューカまで、私達は、


世間では発電所を爆破したことになってるのよ。


えらいさんが、治安当局の手に負えないと判断した。


だから陸軍が出てきたそれだけの事でしょう。」



「それだけの事?俺達が爆破したわけじゃないのに?」



「何度も言わせないで。現状は火遊びじゃすまなくなってるの。


ソフィー、早く迎え撃つ準備を。」



ソフィーは、小声で呟いた。

「待って、待って・・・・


私はただ、人類に似た生命体に心を惹かれて、


追い出すべきじゃないと思っただけで・・・


正規軍と戦うなんて・・想定外よ」



ニナは舌打ちをすると

「何言ってるの?ソフィーらしくもない。


もう、いい。いつまでも言ってなさいよ。

サムエル!部隊長を集めて、作戦会議を開く。


陸軍の偵察機が上空を飛んでいる以上、


もうすぐ陸軍の本体がやってくるはず。」



「了解」


サムエルは素早く部隊長の招集に走った。








「純粋なリーダー役、お疲れ」



ヂューカは、ソフィーに言った。



「嫌いじゃない、この役・・」



まだ人として生きていた頃、


ソフィーは小さな劇団の女優をしていた。



2000年前の、


それもメジャーとは言えない小劇団の女優など、


誰も覚えているはずはないと思っていたが、


コーリーは覚えていた。


それも熱狂的なファンだったらしい。



公演の初演日には必ず、彼はやってきて、


笑うところじゃない場面で、笑い。


泣くところじゃない場面で、泣く。


ちょっと困った客だったような。



ソフィーは、そんな客を薄らと覚えていた。




デューカは、コーリーから渡された、


古ぼけた本を開いた。


本の中には、ディスプレイが隠されており、


コーリーが隠し持っている、


衛星からの情報を受信できるらしい。




「どうした、弱気になった?」




「まあ・・・その類いね」



ソフィーは、空を眺め、


航空機から放たれる対地ミサイルが、


自分の機体を粉々に打ち砕く光景を想像した。



「どうせなら直撃が良いね。動力部分が残って、


憐れな姿で動き続けるのは避けたいよね。」



「その往生際の悪さ・・・それはそれで、魅力的だぜ」



「デューカらしい・・・


ねえ・・・生まれ変わりって言葉覚えてる?」



「転生だったか?」



「そう・・・私たちは生まれ変わるのかな?


それとも、人として死んだ時点で、


他の生命として生まれ変わったのかな?」



「う~ん、どうかな・・・」





「ソフィー!デューカ!早く来て!」


ニナの叫ぶ声で、2人の会話は終了した。




ハードカバーの本に隠され受信機は、


何も受信する様子はなかった。



「・・・って言うか、これ何も映んねえよ。


コーリーの奴!衛星持ってるって言うのも嘘じゃねえの!」


デューカは1人愚痴った。





つづく


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