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6話 首都のアンドロイドたち
「カラーライズまで各自撤退」
と、コード暗号が各自に伝わり、
サインの部隊は静かに撤退していった。
深夜未明、首都からも、闇夜の中、
怪しく炎を上げる発電所の光が見て取れた。
電力の60パーセントの供給が止まり薄暗くなった首都では、
アンドロイドたちが不安な面持ちで治安当局の発表を待ていた。
明け方近くに、首都報道局のキャスターは、
淡々と原稿を読み上げた。
「昨日未明、反政府組織サインを名乗るものにより、
タタール発電所が襲撃され、
発電所勤務の職員及び、警備兵、特殊機械兵の、
記憶及び機体を破壊されました。
治安当局は、教会司祭長アレム神父を、
反政府組織サインの首謀者と見て、捜査を開始しました。
当局に送られた犯行声明によると、
反政府組織サインは政府に対して、政治犯の即時解放と、
拘束した政府要人の身代金を要求した模様です。」
数千年、安穏と暮らしていた首都のアンドロイドたちは、
噂でしか聞いたことが無かった反政府組織サインの出現に、
恐怖した。
つづく