5話 止まったライン
森の影に潜んでいたソフィーの仲間達は、
炎上する発電所を呆然と見つめた。
発電所のいたる所で爆発が起き、
発電所の過去の面影は完全に消え失せてしまった。
「俺達とんでもない事に、巻き込まれてんじゃないか?」
殿で撤退中のデューカは、今さらながら呟いた。
あの人類に似た生命体を乗せた宇宙船が、
この惑星に来る前ソフィーとデューカは、
ICチップ工場のラインの作業員として働いていた。
人類に似た生命体を乗せた宇宙船が、
この惑星に降り立ち、この惑星で最も権威があるアレム神父が
「我らの創造主の帰還だ。」
と叫んだ。
機械たちは千年以上流したことがない涙を流し、
自らの記憶の奥に仕舞われた、人類だった頃の記憶を蘇らせた。
街は異様な熱気に包まれ、ソフィーもデューカも、
抱き合いながら涙を流した。
機械ではなかった時代の想いが、
これほどまでに感情を揺さぶるとは、
今まで誰も思いもしなかった。
街が異様な熱気に包まれている時に、
ソフィー達はコーリー博士に
「我々はこんな場所にいるべきではない。
君らも今すぐ我らが創造主の元へ、はせ参じないか?」
と声をかけられた。
あの熱気の中、コーリーの話を断る理由も判断力も、
ソフィーたちには持ち合わせてはいなかった。
「いいのか?俺達こんな事してて・・・
工場のラインに止まったままだぞ・・・」
デユーカは1人呟いた。
つづく