6話 ビフィズス菌生命体からの贈り物
格納庫に投げ込まれたかのように、白い何かが飛び込んできた。
一瞬で格納庫が、その白い物でいっぱいになってしまった。
「「何?何?何?」」
あゆみと錬は楽しげに大騒ぎだ。
「雪?」
「アイスクリーム?」
「チーズ?」
「ヨーグルトじゃねぇ」
宇宙船の格納庫は、濃厚な乳製品の香りに満たされた。
「人類の諸君。我々ビフィズス菌生命体からの贈り物だ。受け取れ」
「人類だけか?機械猫の俺のも何かくれよ!」
あゆみは迫ったが、知佳は一瞥して、
「機械は・・・好かぬ」
「えっ!こんな可愛いなりした機関猫が好かぬだって!お前らどんなセンスしてんねん!なあ!」
あゆみは参謀に同意を求めた。
参謀は少しだけ首をかしげただけで無言だった。
「あのさ~こう言う時は怒るもんだぜ!」
「我々は、嫌われるのには、慣れている」
「そうだけれども」
「それにビフィズス菌は、大腸を持たない機械の体内には住むことが出来ない以上、仕方ない」
沙羅は、積もった雪の様なそれに触れて見た。
触り心地はチーズに近い。
見るからに美味しそうだ。
「これは?」
沙羅は、ビフィズス菌生命体が憑依した知佳に聞いた。
「諸君の食料だよ。困っていると思ってね」
あゆみは、
「沙羅、待って」
「ん?」
「ビフィズス菌さんよ~このチーズみたいな食料の中には、ビフィズス菌が入っていると想定して良いのか?」
「想定して貰って構いませんよ」
あゆみは沙羅に視線を送った後、
「要するにこいつらの体内に、あんたらが侵入するって事だろ?」
「侵入?言い方は兎も角、そうなりますね」
「・・・」
「あっそう言う事でしたか、まあそうですよね。我々は出会ったばかりな訳ですから、体内に取り込むのは躊躇しますよね。でも気にしないで下さい。我々は至って、普通のビフィズス菌ですから。」
沙羅は空を飛ぶ龍の様なビフィズス菌生命体を見た。
つづく