3話 幾つかの計画
「1つ、気にかかる事はある」
背後のビフィズス菌生命体の代表であるかのように、知佳は言った。
「気にかかる事?」
沙羅が言葉を掛けた後、知佳は深く思考に耽って、
「大昔地上に人類の基地があった。今では溶岩の中にとじ込まれてしまったが、そこに行けば、コードネーム・コサインとやらが、何をしたのか解るかも」
「場所は解ってるの?」
「場所か?なにせ5000年前だからな・・・」
錬は沙羅の横顔を少し見た後、
「コサインが何かをやったとして、今の僕らになにか関係があるの?」
と沙羅に聞いたのだが、あゆみが口を挟んだ、
「おいガキいいか?」
「ガキじゃないけど」
「3姉妹はお前らの帰還を予知して、幾つかの計画をこの太陽系に残した」
「うん」
「しかし、我々サインは、イマイチ機能がしなかった」
「猫に任せるからだよ」
「事実を言うな、ガキ!」
「ガキじゃないけど、話を続けて」
「そこで、まだ起動していないコサインとタンジェントを起動させるって話だ」
「マジで!」
「マジだ」
「やるね、猫ちゃん」
「当たり前だ」
「他力本願」
「猫だからな」
そんな錬とあゆみを見ていた知佳の目が鋭くなった。
「上昇して!」
知佳の叫ぶ声に、アローン兵は素早く反応した。
直後、緑がかった黄金色の炎が、地上から吹き上げられた。
「地上の恐竜たちが、吐き出した熱線だろう」
知佳は説明した。
「熱線?」
参謀兵は知佳にさらに説明を求めた。
「時々あの子たちは、我々を攻撃しようとする」
あゆみは笑うと、
「確かこの惑星の主でしたよね?」
「昔は良い子たちだったのに・・・きっと何かに憑かれてしまったって噂だ」
つづく